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さて、気を取り直して次の作戦だ。
ちなみに昼食は、和やかなムードで会話をしながら終わった。…表面上は。
いや~まさか食べてる途中で、獅子堂さんが箸を真っ二つに折るとは。
パッと見ステンレス製に見えたけど、アルミ製だったのかな?
笑顔で折れた箸を見つめる獅子堂さんに近づいて、代わりの割り箸を渡したら耳元でつぶやかれたんだよ。
次はないから。
……。
怖ええええええええええええ!!!
えなに?!もしかして、次もやらかしたら僕の背骨をあんな感じにするって…ことぉ!?
やばい…もう絶対にミスれない。もし失敗したら、脊髄を引き抜かれてグロい感じの絵面になっちまうよ!
お、落ち着け…だ、だだ大丈夫だ…問題ない。
落ち着いて次の作戦を実行するんだ。ほーら深呼吸~…オエッ!口の中に虫入った!
次の作戦はこうだ。
自由行動。それを利用して、ある場所にリクオをおびき出して二人っきりにする。
リクオにはすでに、一緒に自由行動を回る約束を取り付けてある。…というか、向こうから誘ってきたんだけど。
あとは上手く誘導して、あの場所に連れて行くだけだ。
昼食の片づけをし、点呼へと向かう。
その後、従業員の話を聞き自由行動へ。一回集まらなくてもいいのに…サボり対策かな。
すぐにリクオに連絡を取り、二人と共に合流場所へと向かう。
その道中、背後から殺気を感じたけれどきっと気のせいだろう。うん、気のせい。だから睨むのやめてほしいなぁ。今度は絶対上手く行くから!大丈夫!泥船に乗った気でいてよ!
建物を出て外へ。平日とはいえ、人が多いし外の方が合流しやすい。
それに目的の場所も外だ。
連絡した場所に着くと、既にリクオがいた。
「ごめん、おまたせ。」
「いや、今来たところだから。」
お前は待ち合わせをする彼氏か。
「それで、どこを回るんだ?」
「あーっと…僕行きたいところがあるんだよね。」
「そうか。俺はどこでも構わないが、二人はいいのか?」
「うん。二人もそこでいいって。それじゃあ行こうか。」
…さて、今度は失敗できないぞ…僕の背骨が掛かっている。
3人を連れて、目的の場所へとたどり着いた。
それがどこなのかというと、
「ノゾラ。見たいのってこれか?」
「うんそう。これ。」
「…いや、これ見て面白いか?噴水だろ?」
そう噴水広場だ。
ここの噴水は、地面の穴から水が噴き出る仕組みになっている。故に、ずっと水が流れてるわけじゃない。
一定の間隔で色々な水の吹き出し方をして、一種のパフォーマンスを見ている気分になれる。
まあ、それだけじゃないだけど。
「…時間はあと少しか。」
スマホで時間を確認し、タイミングを待つ。
幸いなことに、周りにはあまり人がいない。これなら邪魔される心配もないだろう。
「ねえ、せっかくだから噴水の中央に行かない?」
「…濡れたくないんだが…」
「大丈夫。中央に立っていれば濡れることはないだって。二人もどうかな?」
「私はかまいませんよ。」
「わ、私も…いいわよ。」
よし、これで準備は整った。
後は…
「へえ…中から見ると、外とは違った風に見えるもんなんだな。」
「そうだね。こう全体が見えない代わりに、水柱がしっかり見えよね。」
「そうですね…日の光が当たって綺麗です。」
「楽しんでくれてるみたいで嬉しいよ。獅子堂さんはどう?…獅子堂さん?」
返事がない。振り返って彼女を見てみると、
「大丈夫…大丈夫…告白…好きっていうだけ…言うだけだから…」
「し、獅子堂さん?」
「しゅ、しゅきです!…っちが!ふ、噴水が好きなだけだから!勘違いしないでよね!?」
「お、おう。」
ツンデレかな?
というか、今この状態で本当に告白できるのだろうか?
まあでも、それに関しては僕にはどうしようもない。獅子堂さんを信じるだけだ。
…そろそろ時間だ。
「せっかくだから写真撮ろうか。僕外から撮るよ。」
「いやそれなら俺が」
「いいからいいから。…ウーン、リクオデカイカラハイラナイナー」
「…っは!わ、わたしーでますねー…えっと…ひ、ひとまずーふたりでとってくださいー」
「いやなんで二人ともそんな棒読みなんだよ。」
「流行ってるんだ。」
「…流行ってるのか?そうか…」
よかったリクオが単純で。
よし…時間も完璧。
望月さんが外に出て、円形に空けられた穴の中央に二人が残される。
僕はスマホを構えて写真を撮る振りをしながら、その時を待つ。
そして、その時が来た。
ぷしゃあーーー!
今まで少しずつしか出てなかった水がすべての穴から吹き出る。
一斉に吹き出ている為か、少し音を立てている。中にいる人の会話は聞こえないだろう。
それに高さもさっきより高い。中にいる人が見えなくなるくらい。
そう、この噴水は時間によって吹き出し方が変わる。
色が変わったり、高さや水量が変わる。
そしてこの時間は、全部の穴から噴き出して円を作る。
この状態は5分ほど続く。事前に調べて、獅子堂さんには伝えてある。
お膳立ては済んだ。あとは獅子堂さん次第だ。
…頑張って、獅子堂さん。
僕と望月さんは、水が引くのを待った。
スマホの画面を凝視して、時間がたつのを待つ。
あの水が引いたら、二人はどんな顔で出てくるのだろう。
上手く行っているのだろうか?それとも…
期待と不安が入り混じり、今か今かとその時を待った。
そして、
「あっ水が引いていきます。」
高く噴き出していた水が、少しずつ低くなっていく。
まずリクオの顔が見える。あいつの表情は、いつもと変わらない。
そして、獅子堂さんの姿が見えた。
けど、うつむいていて顔が見えない。
僕たちが駆け寄って声をかける。
「獅子堂さん?」
「っ…ほ、星乃…」
顔は見えない。でも、今どんな表情をしているのか…声で分かった。
…泣いている。よく見れば、肩を小刻みに振るわせている。
…そうか…ダメ…だったんだ。
「その…大丈」
「みんなっ、私…先帰るね。先生には…上手く言っておいてほしい…それじゃ…」
「あっ!」
引き留めようと声をかける前に、走り去ってしまった。
「……」
リクオを見ると、少し気まずそうにしている。
別にこいつが悪いわけじゃない。リクオにだって選択権はあるのだから。
「リクオ、告白断ったんだね。」
「……」
「ま、まあでも、リクオが悪いわけじゃ」
「違う。」
「え?」
この後、リクオが言った言葉が、
「おれは…告白される前に、しないでくれって言ったんだ。」
「…は?」
僕をキレさせた。
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