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前回のあらすじ
誰よあの女!わたしの事は遊びだったの?
教室に向かう間、望月さんを正気に戻そうと奮闘した。
怖かったよぉ。カバンに手を入れるたびに、中から何か出てきそうで…背中なんて冷や汗でべっとべとだ。後で着替えよ。
数分ほどの短い時間のはずなのに、数時間のような長さに感じられる体験だった。できれば二度と体験したくないです。下手なホラー映画よりも怖かった。
ひとまず、休日に遊びに誘うことで難を逃れた。まあ彼女と仲良くなるいい機会かもしれない。
望月さんも嬉しそうにしてくれて、僕もうれしい限りだ。
一応その場には、リクオも誘う予定だ。二人きりだと絶対に気まずい空気になりそうだし、リクオとも仲良くなってほしいからね。
それを伝えたら、大きなため息をつかれた。…なんか間違えた?
まあ最終的には納得してくれたからよしとしておこう。そのうちカイトも紹介したい。
さてと。僕はスマホを取り出し、リクオにメッセージを送る。
獅子堂さんの告白が成功するように、少しでもあいつの好みを引き出さないといけない。
どう送ったものかな…
「……」
あ、あらためてそれを本人に聞くの恥ずかしいな…
そうだ。ちょっと砕けた感じで聞いてみればいいかもしれない。そうすればリクオも、軽い感じで返してくれるはず。
『ねえリクオ。今ってさ、恋…してる?』
全然軽くないし、なんだこのキモイ文面は。
こんなのを同性に送るのはどうなんだ?
文章を削除して、もう一度打ち込む。
『やっほー!ねえリクオって今好きな人とかいる系?』
…なんか思春期の男子丸出しで、これはこれで恥ずかしいな。エイプリルフールに、好きな人に送って反応を確かめるような文面だし。
また全文を削除して改めて打ち直す。
『なあリクオ。僕たちって結構付き合い長いよね?いつも一緒だけどさ…お互い知らないことがあると思うんだ。…好きな女子とか。』
なんだこの、浮気した人が送ってくるジュリメールみたいなのは…
んー難しく考えすぎかな。また消してっと。
「星乃ースマホは閉まっておけー。」
「っ!は、はい。すみません…」
先生に注意されてしまった。まああれだけ画面凝視してたら気づかれるよね。
…ん?メッセージまだ消してないはずなのに消えてる。なんでだ?
ちらりと画面を見る。
「っ!」
それを見て飛び上がりそうになった。
あれれぇ~おかしいぞ~?なんか文章が送信されてる~。
しかも~中途半端に消した文が送られてる~。
『なあリクオ。僕たちって結構付き合い長いよね?いつも一緒だけどさ…お互い知らないことがあると思うんだ。…好き』
「………スゥー…」
やっちまったーーーーーーーー!?
これだと僕が告白したみたいじゃないか?!なんで僕はあんなアホな文章を入力したんだ!
ま、まずい。早く訂正をしないと!
『さっきのは冗談だから!勘違いしないでよね!』
よし!これでいいはず!ちゃんと冗談だと分かるし、告白みたいなのも勘違いだと伝わるはずだ。
先生の視線がまたこっちに向いてきているし、スマホはしまっておこう。
あっ、結局リクオの好み聞けてないじゃん。まあ、あとでまた連絡すればいっか。
HR後。僕はスマホを取り出して画面をつける。
するとなぜか、リクオとカイトから何件もの通知が来ていた。
なんだろう。なにか緊急の用事かな。何気なくカイトのメッセを開く。
『結婚したのか?俺以外のやつと…』
「……」
なにいってんだこいつ。そう思いながらログをさかのぼっていく。
…このメッセージの理由が分かった。
『なあノゾラ。お前リクオに告白したんだって?あいつから珍しく連絡来てたけど、なにかの遊びか?俺も混ぜてよ!』
「はあ!?」
思わず声が出てしまい、周囲の視線が集まる。
いやいやいやいや!?してない!断じてしてない!
もしかしてさっき僕が送った奴か?でもちゃんと訂正を送ったはず。
このとおり!
『さっきのは冗談だから!勘違いしないでよね!』
……あ、あれ。これなんか、ツンデレの定型文みたいだぞ?
い、いや大丈夫なはず。リクオのメッセージもきっと、何かの冗談か?みたいなのに決まってる。
震える指先で、リクオのアイコンをタッチする。
『ノゾラ。いきなりの事で困惑してる。悪いが、少し考える時間をくれないか?』
いかーん!これ冗談だと思われてない!完全に僕が告ったみたいな流れになってる!
ど、どうする?またメッセージで訂正する?いや、なんかまた勘違いが起きそうだ。
仕方ない、直接会って誤解を解きに行こう。
授業が終わり、休憩時間になるとすぐに教室を飛び出した。
なんとかこの10分で誤解を解いておかないと。じゃないと、獅子堂さんに教える情報が聞き出せない。
リクオの教室に行き、席に近づく。
「リクオ!さっきの事なんだけど…」
「ノゾラ。悪いが返事はもう少し待ってくれないか?お前の気持ちはちゃんと伝わった。だから俺も、ちゃんと返事をしたい。」
「い、いやそれは誤解で…」
っく!なんでこんな時まで真面目なんだ!
というか、なんか周りの視線が集まってる気がする。それにさっきまで騒がしかったはずなのに、急に静かになって…いったいなぜ。
そう考えていると、一人の女の子が話しかけてくる。
「ね、ねえ大我君。」
「ん?なんだ。悪いが今はノゾラと話していてな、要件なら後で。」
「か、彼と大我君はどういう関係なの!?」
「関係?んーそうだな…」
女の子の目がキラキラしてる。なぜ…
【ノゾラ。悪いが返事はもう少し待ってくれないか?お前の気持ちはちゃんと伝わった。だから俺も、ちゃんと返事をしたい。】
おいこれ告白待ちみたいな言葉じゃねーか!
だからか!さっきから僕らに視線が集まってるのは!
となると…まずい!リクオの返答次第では、さらに勘違いが加速してしまう!
頼むリクオ!絶対変なことは言わないで!
大丈夫!リクオは僕を困らせるようなことはしない。だから…信じてるよ!
「…一番大切なやつ…だな。」
「「キャー―――!!」」
あっ…終わった。
…僕はその後の記憶がない。
リクオのクラスメイトに質問攻めにあった気もするし、すれ違う女子から熱っぽい視線を向けられた気がする。
気が付いたら放課後になっていて、昨日と同じ場所に行くと獅子堂さんが待っていた。
そして、
「…あなたが大我君に告白して、OKをもらったって噂があるんだけど…どういうことか説明してくれる?」
「……」
「返答次第では……分かるわよね?」
「ご、誤解だーーーーーー!誤解なんだーーーーーーーーーーーー!!」
放課後の校舎に、僕の叫び声が響き渡った。
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