19
前回のあらすじ
主人公、逆壁ドンされる
「…はぁ。」
「またため息か、今日は多いの~。…その状態でわしをいじめるのは楽しいか?」
「うん。」
「即答!」
テレビの画面には、僕のキャラが勝っている映像が流れている。
いつもの様に夕飯後の対戦、毎回勝つのは僕だ。だというのにあきらめずに挑んでくる。あきらめの悪さだけは僕以上なんだよなぁ…この幼女。
僕がいない間練習しているのか、最初に比べて上手になってきている。でもまだまだ負ける気はしないし、今後も負ける気はない。僕だって負けるのは悔しいし。
「はぁ…少しは気がまぎれるかと思ったけど、やっぱりだめかぁ。」
「そんなに面倒なやつなのか?」
「んーどうだろう。今のところは…怖い。」
「…それは女子の感想としてどうなのじゃ…」
「ああそうだね。次は言わないように気を付けないと。」
「本人に言ったのか…お主勇者じゃの。じゃが、丁度よかったのではないか。関わる機会が増えるじゃろ?」
「まあ…ステラからしたらそうなるよね。はぁ…」
そう。これがため息をつきたくなるもう一つの理由。
獅子堂さんは星のカケラを持っていることだ。
「カケラを出すには願いを叶えないといけない。その願いはおそらく。」
「思い人と添い遂げる事じゃろうな。分かりやすくてよかったの~。」
「簡単に言ってくれるよ…それがどれだけ無理ゲーなのか知らないでしょ。」
カケラを出すには、獅子堂さんとリクオを付き合わせればいいと思う。たしかに条件が分かっている分、望月さんの時よりも単純に思える。
…問題はそれが不可能だという事。
なぜなら、リクオは恋愛に興味がないからだ。
彼との付き合いは長い。年齢=恋人なし。告白すらされたことがない僕とは違って、リクオはかなりモテる。…改めてみるとなんか悔しいな。
だというのに、彼に恋人がいたことは一度もない。告白されても必ず断っている。一度も告白なんてされたことのない僕からしたらうらやましい限りだ。
一度理由を聞いたことがある。彼曰く、
『恋愛に興味がない。』
とのことだ。今に至るまで、その考えは変わっていないだろう。もしかしたら、あいつはロボか何かなのかもしれない。
だからこそ、今回の事は本当に無理ゲーだ。どうやっても、上手く行く未来が見えない。
「どうしようかな…本当に。」
「わしが手伝ってやろうか?」
「ドエロ幼女さんは座っていてください。」
「誰がドエロ幼女じゃ!ってあー!また落とされたのじゃ!」
こいつに手伝わせるなんて、絶対に碌なことにならない。
かといって、僕一人でできるのだろうか。
…まあとりあえずは、獅子堂さんにリクオの事を話してみよう。もしかしたら彼女が頑張ってくれるかもしれないし。
「そうと決まったら、明日また話してみるかな。」
「くっ!今日も勝てなかった…」
「そういえば前に言ってた、いろいろできるようになったって、結局何ができるようになったの?」
「お!気になるのか?気になるのか~?んんー?」
「あ、ならないです。」
「興味持って!」
たわごとをいつもの様に流し、寝る準備をする。
そろそろ、ベッドに戻りたい。
ゲームを消し、テレビを消そうとした時、流れているニュースが少し気になった。
『――市での犯罪率の増加。学生による軽犯罪も増加の傾向。原因はなにか?』
テレビで流れているのは、僕が住んでいる地域だ。
犯罪か…巻き込まれるのは嫌だし、気を付けないと。
僕がそう思いつつ、ふとステラを見る。
…流れているニュースを見ている彼女は、少し悲しそうな顔をしているのが気になった。
翌日。いつもの様に朝食を食べ、学校に行く。
ステラも朝食の時にはいつも通りだった。僕の考えすぎかな?
リクオは今日も朝練だ。一緒に登校できれば、少しは何か聞き出せると思ったのに。
まあいいや。昼休みに聞いて見よ。
「おはよう星乃君。」
「うわっ!え…獅子王さん?」
「獅子堂よ。クラスメイトなんだから、名前ぐらい覚えて。」
「あ、うんごめん。…ってそうじゃなくて、なんで僕の家の前にいるの?」
「そんなの、大我君の事を聞きたいからに決まってるじゃない。」
「いや、どうして僕の家を知って…」
「……偶然よ。」
「いやその間は偶然じゃないよね!?」
一体どこから僕の個人情報が漏れたんだ?まさか財布の中を漁られたとか?いやいやそんなまさか…
ひょっとして教師を脅して…さすがにないか。
「はぁ…昨日、あなたの後をつけたのよ。」
「それってスト」
「あ?」
「いえ、なんでもないです。」
普通に力業でした。いや怖いよ…
このまま話し続けていると、遅刻しそうだったので一緒に登校することに。
…本当に小っちゃいな~。
「ねえ、星乃君。」
「はいなんでしょうか!」
「…あのね。私達同い年でしょ?敬語はいらないから。」
「あ、うん…ごめん。」
「誤らなくていいわ。あなたからしたら、ただ面倒ごとを押し付けてくる女でしかないし。いい印象を持たれないのは分かってるから。」
「そんな事……うーん。」
「フォローするなら最後までしてほしかったわね。」
あれ?なんだろう。最初は怖い人だと思っていたけど、話してみると意外といい人だぞ?
それに、獅子堂さんと話していると…
「まあ…いろいろ迷惑をかけると思うけど、よろしくね。星乃君。」
「…ぐす。」
「え!?なんで泣いてる?!」
「だ、だって…会話が気まずくないから。」
「そんな当たり前のことで!?」
「僕の周りの人、みんな会話しないよ?リクオとか、望月さんも。」
「そ、そうなの?あなたも大変ね…」
微妙そうな顔をされながらも、会話が途切れることはなかった。なんて話しやすい人なんだ!めちゃくちゃいい人だ!
結局、学校に着くまで何気ない会話で盛り上がってしまった。獅子堂さんも、学校が見えてきてその事に気が付いたのかハッとしてた。
「はぁ…結局何も聞けなかった…」
「あっごめん。」
「いいわ。また放課後にでも、彼の事を教えて頂戴。それじゃ先に行くわね。」
「うん、またあとで。」
一緒に教室行くと気まずいし、先に行ってくれて助かった。
さて、僕も…
「星乃君。」
「っ!」
な、なんだ…この威圧感は?全身の毛穴が開いてる。この感覚はなんだ?
こつ…こつ…と足音が近づいてくる。その度に、背筋が凍る。
そんな地獄のような時間。たった数秒のはずなのに、何時間にも感じられる。
…足音が僕の背後で止まった。僕は、油が切れたロボットのように、ゆっくりと振り返る。
そこにいたのは…笑顔の望月さんだった。
ただ、目が全く笑ってない。それに、心なしか光がともっていないような…
「獅子堂さんと…随分仲良しですね?わたしの事はもういいんですか?」
「い、いえ…そんなことは…ないです。」
「どうして敬語なんですか?わたし達、友達ですよね?」
「そ、そうだね!もももも、もちろんだよ!」
「ふふ…そうですよね。それでは、教室に行きましょうか?その間…獅子堂さんとどういう関係なのか、教えてくださいね?」
「あっ…はい…」
…どうして僕の周りには怖い女子しかいないのだろうか…
その後、獅子堂さんとのことを必死に弁明し続け、お昼にまたお弁当を分けるという事で手を打ってもらった。
…あれ、なんで僕だけ損してるんだろう。
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