17
前回のあらすじ
おや?隣の席の子の様子がおかしいぞ?
その日は朝から大変だった。
休憩時間の度、望月さんを落ち着かせるのに費やした。
昼休み前にようやく落ち着いてくれた。…カバンをあさるのを見るたび、刃物が出てきそうで怖かった…
落ち着いて話を聞いてみると、どうやら初めての友達でテンションが上がりすぎて、ちょっとおかしくなっていたそうだ。…ちょっと?いやなんでもないです、だからペンを振り上げるのはやめてください死んでしまいます。
…そして、それとは別に気になってい事がある。それは…
「じーーーー。」
「……」
「じーーーーーーーーーー。」
前の席の子。獅子堂さんがずっとこっちを見ている。
いや見てるなんてものじゃない、凝視してるよ。視線で穴が開きそうなほど見てくるよ。
それが気になって仕方ない。こっちが見ると目を背けるし…なんなんだろう。
いやまあ普通に聞けばいいんだけど、残念なことに僕にそんな勇気はない。パラメーター全然上がらんな。バグかな?
そんなこんなで昼休み。いつもの様にリクオと昼食を取りに行く。
いつもの様に、人気のない階段での昼食。
ただいつもと違うことが一つある。それは、
「は、ははは…はじ…はじめ…」
「大丈夫だよ望月さん。リクオは見た目がちょっと怖いけど、いいやつだから。」
「そ、そうなんですか?」
「うん。かじられたりしないから安心して。」
「…おい。」
「ぴぃっ!」
「ちょっとリクオ!怖がらせないでよ!」
「っ悪い。…いや、理不尽じゃないか?」
そこに望月さんがいる事だ。
僕が教室から出ようとした時、彼女に誘われた。
しかし、リクオと約束があるし断るしかなかった。リクオの奴、断ると目に見えて落ち込むから罪悪感がやばいんだよね…
けど、せっかく誘ってくれた彼女の好意を無下にするのもしのびない。
そこでふと思いついた。望月さんをこっちに連れて行けばよくない?
そのことを彼女に聞くと、不安そうにしながらも承諾。その結果、怯えた小動物のようになってリクオとご対面となった。…可愛いな。
まあこの機会に、リクオとも友達になれれば彼女にとってもいいだろう。
リクオも友達はあまりいないし、お互いwinwinになると思う。
「改めて。この人が望月さん、この前に友達になったんだ。望月さん、こっちはリクオ。僕の昔からの友達なんだ。」
「よ、よろしく…おねがいします…」
「…ああ、よろしく。」
「……」
…もしかしてこの二人悪い?お互いあんまりしゃべらないし、沈黙がやばい。
い、いや、ここは僕が場を取り持って、盛り上げる場面だ。二人には仲良くしてもらいたいし、頑張らないと!
「さて、それじゃあ食べようか。」
「ああ。」
「はい。」
……
………
…………
……………誰かしゃべれよーーーーーーーーー!!!
なにこの気まずい空間は!?3人いて、5分も沈黙が続くってどうなってんの?!いや僕もsyばってないけどさぁ!
くっ…な、なにか話題を…!
「ね、ねえ!」
「なんだ?」「なんでしょう?」
「……今日はいい天気だね。」
「そうだな。」「そうですね。」
……………………。
……カイトーーーーーーーー!!お願いだから、この場に来てーーーーーーー!!
この二人に会話をさせる。僕には無理げーだったよ…やっぱつれぇわ…
「あ、あの星乃君。お弁当おいしそうですね。」
「え?ああうん、ありがとう。まあ、冷凍食品ばかりなんだけどね。」
「それって…もしかして、自分で作っているんですか?!」
「そうだぞ。ノゾラは料理上手だからな。」
「いやなんでリクオが答えてるのさ。」
「そうなんですか…私、料理はあまり上手じゃないのですごいです。」
「そうだな。ノゾラは昔から家庭的なところがあるからな。すごいやつだ。」
なんか急に褒められて恥ずかしい。
望月さんもお弁当だけど、お母さんが作っているのみたいだ。
リクオはいつもコンビニか、スーパーで買ってくるし。そう考えると、自分で作るのって珍しいのかも。…てかさ、
「リクオ…その見た目がやばそうなパン何?」
「…新作らしくてな。おかずもらったから代わりにやる。」
「え?あっ!ハンバーグがない!ちょっとリクオ!」
「本当ですね。すごくおいしいです。」
「望月さんも!?」
いつ抜き取ったんだ…全く気付かなかった。
知らない間に半分以上おかずが消えていた。今日は結構自信作だったのに…ぐすん。
そして押し付けられるゲテモノパン。今日は何だ?
「えーっと…青汁焼きそばパン…生クリームを添えて…」
緑色をした焼きそばと、苔みたいに所々緑色のパン。パッと見カビが生えてるのかと思った。
その上に鎮座する、存在感を放つ真っ白の物体。なんだ…これは…
震える手で封を開ける。瞬間放たれる青臭い臭いと、油とソースが混じった香り。そしてほのかに香る甘い匂い。
「……あかんやつやろこれ。」
「あ、あの…わたしが食べましょうか?」
「っ!…僕が食べるよ。」
こんなやばいものを望月さんに食べさせるわけにはいかない。
大丈夫。偉い人が言っていた。
食べ物なんて、腹に入れば一緒だって。…自炊してる身としては嫌だな、この言葉。
意を決して一口。
……うん、この会社に今度電話しておこう。
青臭い匂いに混じって、焼きそばの香ばしい味。そこにさらに、侵略者のように現れる生暖かいクリームの甘味。せめて抹茶ならまだ…いや、焼きそばを混ぜんなよ。
「うぅ…吐きそう…」
「だ、大丈夫ですか?お、お茶をどうぞ。」
「あ、ありがとう望月さん…」
ゲテモノをお茶で流し込み何とか完食する。…これ550円もすんの?え?正気?
「ふぅ…ねえ、リクオお願いだから適当に買うのやめてよね。」
「すまない。毎回ノゾラが食べてくれるのが嬉しくてつい…」
「いやもったいないし。結構高いんだから、無題遣いはダメだよ。」
「…ああ、気を付けるよ。」
「あっこれまたやるよ。はぁ…」
「…ふふ。」
僕らの会話を聞いてなのか、望月さんが笑った。
「あっすみません。その…お二人がとても仲良さげで…つい…」
「気にするな。」
「うん、そうだね。望月さんが楽しんでくれたみたいで、僕もうれしいよ。」
「そ、そうですか?」
「望月。…その…ノゾラ。」
「はいはい。ねえ、望月さん。もしよかったら、明日からもこうしてみんなで食べない?」
「…いいですか?」
「もちろん。リクオもその方が嬉しいと思うし、僕も望月さんと一緒だと楽しいからさ。」
「そ、そうですか…えっと…その…こちらこそ、よ、よろしく…お願いします。」
うつむきながらそう言う望月さん。
リクオも少し恥ずかしかったのか、頬を掻いてごまかしている。分かりやすいやつめ。
ということで、明日からは三人で食べることになった。
望月さんも、こうやって人と関わっていけば、他にも友達ができるかもしれないし、協力してあげたい。それに放っておくと、またヤンデレかしそうだし。
その後も、会話は少ないが三人でそれなりに楽しく食事ができたと思う。
「ちょっと飲み物買ってくるね。」
そう言って席を立つ。
階段を下りていくと、なぜか獅子堂さんがいた。どうしてここに?
気にはなったが、時間もないし横を通り抜けていくことにした。
しかし突然、
「待て。」
「ぐぇっ!」
そういって服をつかまれた。く、首が締まる…
「星乃…だったよね。あんたに聞きたいことがある。」
「な、なんでしょうか?」
「…昼休みももう終わるし、放課後で。予定を開けておいて。」
「今日は空手の稽古が…」
「今日は休め。」
「…はい。」
あっこれ断れない奴だな。進研ゼミで見た奴だ。
彼女は僕の服を離すと、階段を下りてい
ぐぅぅぅぅぅ~~~
「…………」
「…………」
「え、えっと…もしかしてお昼食べてないの?」
「あ、あんたが彼といるから気になったんだもん!あんたのせいだもん!」
「あたっ!?」
脛に蹴りを入れられた。僕が膝を抑えている隙に、彼女は走って行ってしまった。
…彼って誰やねん。
僕はため息をつきながら、ジュースを買い二人のところへ戻ることにした。
二人のところに戻る途中、スマホが震える。
ん?なんかメッセージが来てる。カイトから?
『なんか呼んだか?』
…ひぇ。
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