13
前回のあらすじ
主人公、友達ができたことを信じてもらえない。
カイトの案内を頼りに、目的の店にたどり着いた。
木造のこじんまりとした喫茶店。隠れ家的な感じで、ちょっとテンションが上がる。
ドアを開くと、からんからん…っと、小気味よいベルの音が聞こえてくる。
すぐに店員さんが現れ、笑顔で席へ案内される。お昼を少しずらしたおかげか、そこまで混んでいないようだ。
席に着くや否、カイトが話しかけてくる。
「で、どういうことなんだ?」
「え?なにが?」
「友達のことだよ。いったい何があったんだ?」
「えぇ…なんでそんな事件があったみたいな感じなの。」
「だ、だってよぉ、ノゾラって俺以外に友達作らなかったじゃねえか。」
「さらっとリクオを除いたね。」
「それなのに高校に入ってもう友達ができるなんて…うぅ…」
「え?泣くほどのことなの?」
というかここで泣くのやめてほしい。
イケメンが腕で目を覆って泣く姿とか、周りの視線が集まってしまう。
…おばさんがなんかすごい睨んでるんだけど…
「ね、ねえお願いだから泣くのやめて?」
「だ、だってよぉ…ノゾラが、友達ができたなんて見栄を張るから…悲しくて…」
「嘘前提?!い、いや!僕だって本気出せば友達ぐらいできるよ!」
「…そうなのか?」
「リクオまでそんな懐疑的な目を?!え、僕の信用低くない!?」
あまりにも信用がなさ過ぎて、僕の方が泣きたくなってきた。泣けるぜ…
本当に二人は僕を見くびっている。本気出せば、友達100人ぐらい…10…いや、2人ぐらいはできる…はず。うん。宝くじの一等が当たるよりも確率は高いはずだ。
「と、ともかく!本当に友達ができたの!」
「…宗教の勧誘は断った方がいいぞ?」
「ありそうなこというのやめて?!ちょっと怖くなってきたから!」
「友達料とか請求されてないか?」
「そろそろ泣くよ!?もうちょっと信用あってもいいじゃん!」
「「………」」
「Fu〇k!!」
全く信じてくれない二人を無視して、メニューに目を向けることにした。
こうなったら、財布の中身が尽きるまで食べてやる。怒りに任せて、適当に注文。
サンドイッチやナポリタン等、様々な料理が机をうめ尽くしていく。…頼みすぎたかも。
「で、どんなやつなんだ?」
「つーん…料理おいしいなー。」
「悪かったよ。機嫌直してくれって。」
「…後で友達料払ってあげようか?」
「悪い!ほんとごめん!お前も謝れよ!」
「悪かった。こいつは切っていいから、俺とは友達のままでいてくれ。」
「あってめ!さらっと俺を友達から外すんじゃねえ!」
「先に外したのはお前だが?」
「あ"あん?」
「な"んだ?」
「はいはい、もういいからケンカしないで。…店員さんこっち見てるから。」
お客さんが少ないと言っても、これだけ騒げば迷惑だ。ちょっと反省。
それに店員さんの目つきがやばい。あれ、人を何人かやってそうな目つきだよ…さっきの優しい笑顔を返して。
「で、実際どんな奴なんだ?」
「隣の席の子。」
「どんな野郎だ?」
「野郎じゃないよ、女の子。」
「「はぁ?!」」
「ちょっ声抑えてって!」
二人そろって大声を上げそうになるのを何とか抑える。これ以上あの定員さんに目を付けられると、帰り道が怖い。なんか包丁構えてこっち見てるし…何枚におろされるんだろう。
「ちょっおま…まさかノゾラが女子と仲良くなるなんて…」
「そこまで驚くこと?」
「ど、どんな奴なんだ?」
「…言っとくけど、低身長じゃないよ?」
「………そっかー。」
「こいつ…!」
カイトは昔からモテる。
当然だ。イケメンで高身長、それに勉強ができるときたらモテるに決まってる。
そんな彼だけど、彼女がいたことは1度もない。告白はされるというのに。
なぜかというと…
「ロリじゃないのか…」
「……」
生粋のロリコンだからだ。完全に神様からのデバフだよ。
子供の頃、何気なく勧めたアニメを見た影響でこうなってしまったらしい。
本人曰く、初恋は木〇元さくらだそうだ。たしかにかわいいけどさぁ…
「でーどんなやつだー」
「もうちょっと興味持とうか。えっと、長い黒髪がきれいな子かな。物静かで、優しいと思う。」
「ふーん…ん?」
「?どうかした?」
「悪い、容姿についてもうちょい詳しく聞いていいか?」
「いいけど…っは!もしかしてロリを卒業」
「それはない!さくらちゃんへの思いが簡単に消えてたまるか!舐め回したいほど好きに決まってんだろ!」
「うわっ…」
ちょっときも…げふん、好みが変わったのかと期待したのに。
まあカイトも現実では子供に手は出さないと思うし、そのうち何とかなるだろう。
後数年もすれば…でも、もう十年近く好みが変わってないような…
………あれ、すごく不安だぞ。
「…えっと、それで容姿だっけ。えっと腰まである長い黒髪で。」
「ふむふむ。」
「眼鏡をしてて。」
「ふむふむ…」
「細めの体系ですらっとしてる。それに姿勢がすごくきれいな子…かな。」
「…ほー。ちなみに名前は?」
「望月春奈さん。」
ガチャ―ン!
僕が名前を言った瞬間、背後で何を落としたような音がした。
?なんだろう、誰か手が滑ったのかな?火傷してないといいけど。
「なるほどね…ふーん…で、ノゾラはそのこの事どう思ってるんだ?」
「どうって…んーきれいな子とは思ってるよ。」
ガチャ―ン!
…また後ろで音がした。なんだろう、今日は食器をよく落とす日なのかな?
「へ~、それでそれで?(ニヤニヤ)」
「なんでそんなに笑顔なの…まだあんまり話してないからさ。まあでも、おとなしくてすごく真面目な子だと思ってる。多分周りがちゃんと望月さんのことを知れば、モテモテになるんじゃないかな?僕も可愛いと思ってるし。」
どんがらがっしゃーん!
どんだけ器落としてんの?!そろそろ床一面破片まみれになるよ!?
それともこういう店なの?!え?僕がおかしいのか?!
「ふーーーーん?(ニヤニヤ)」
「だから何をさっきからそんなにニヤついてるのさ。」
「いやー別にー?そろそろ食い終わるし、出ようぜ。」
「はいはい。…というか、なんで僕の注文したのばっかり食べるのさ!」
「「ノゾラそんなに食えないだろ?」」
「…はい。ありがとうございます…」
ちょっと悔しいけど、代わりに支払ってくれるので許した。
結構美味しかったしまた来よう。
…そういえば結局、器落としまくってた人なんだったんだろう。
出る前に一目見ておけばよかったかな。…まあ、いっか。
「んだと?」
「あ"あ?」
「お"お?」
「…だから喧嘩はやめなって…はぁ…」
二人をいさめながら、喫茶店を離れるのであった。
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