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『裸の聖女』が世界を救うまでの物語 〜異世界召喚されてしまった少女は、早くおうちに帰りたいのです〜  作者: 柴野いずみ@『悪女エメリィ』一二三書房WEB小説大賞銀賞受賞!
第1章 お風呂に入っていたら見知らぬ世界に召喚されてしまいました

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89:赤潮?

「キミの聖魔法の精度は高いというのは『光の騎士』からのお墨付きなんだよね?」


「は、はい。それで間違いないと思いますが……」


「やはりキミの力は本物ということだね。なのにこうなるなんて、一体どういうことなんだろう?」


 浄化の力を跳ね返された。

 しかもあれだけの反動があるほどですからかなりの威力です。今まででそんな経験のなかった私は正直、困惑していました。


 全身打撲の傷を癒しながら、再び赤い海の方へ目をやります。

 異臭の漂う血みどろの海。何をしたらここまでひどい色になるのでしょう。


 もしかして呪いか何かの類? 私は全然呪いには詳しくないのでまるでわかりませんが、ここが異世界なのを考慮して充分にあり得る話だと思います。実際、伯爵様のお屋敷に行った時に呪術の国というところがあるという話を聞いたような気がしますし。

 私の浄化にどれほどの力があるかはいまいち把握しきれていないものの、多分かなり強力なはずなのでそれを上回るというのは、もっとすごいのでしょう。……あくまで推測に過ぎませんが。


「もう一度やってみましょうか?」


「危ないからやめた方がいいと思う。また吹っ飛ばされたら危ないし。……この海は絶対、何かある。聖女の力に頼れば可能性はあるかも知れないと思ったけど、甘過ぎたみたいだ」


 押し黙り、難しい顔をするエムリオ様。

 イケメンはどんな表情を見せても様になるとよく言いますが、それはどうやら本当のようです。美形、羨ましい。私も美人に生まれたかったなぁ。

 いけない、今はそんなことを言っている場合ではないのでした。


「困りましたね……」


 海が赤くなるなんて事例、地球では聞いたこともありませんし。

 ……?


「あっ、そういえば!」


 思い出しました。

 テレビか何かで、一度だけこれと似た真っ赤な海を見たことがあったのです。

 ――赤潮。海水中でプランクトンが増え過ぎるせいで変色する現象だったはず。


 そして至った考えは一つ。

 もしかしてこれ、ただの赤潮では? そもそも汚染ではないからこそ私の浄化魔法が効かなかったということなら納得がいきます。しかも赤潮は臭いという点や魚に被害をもたらす点でも一致します。

 考えれば考えるほどこれしかないように思えてきました。どうして今まで気づかなかったかの方が不思議です。


 これで光明が見えた……気がしたのも一瞬の話。


「私、赤潮の改善方法とか知らないんですよね」


 私の知識はギリギリ赤潮の存在を知っている程度で、改善方法などは全くもってわからないのです。

 工業汚染? でもこの世界はまだ工業技術が発展していないため、その線は薄そうな気が。ああ、こんな時にスマホがあればと思わずにはいられませんでした。 


「どうしたんだい、ヒジリ。何かいい手でも思いついたりした?」


「いいえ、何も。海がこうなったわけについては思い至りましたけど、そこ止まりなんです。ご都合主義系ラノベ主人公みたいに現代知識チートで無双できたら良かったのですが、残念ながらそうもいかないらしくて」


「らのべ云々は何を言っているのかわからないけど、そうか……。いや、理由がわかっただけでもすごいのだけど。その理由をボクに教えてはくれないかい?」


「もちろんいいですけど」


 私は赤潮の話をしました。

 が、エムリオ様はさっぱりという感じです。そもそもプランクトンすら知らないといいますから困ってしまいます。

 それでも私が言える範囲でなんとか説明してみようと努力してみたのですがそれでもわからないらしいので、これ以上話しても無駄だろうと思い諦めました。


 科学知識ゼロのこの世界で、海の専門家でも何でもない私が一体どうやって赤潮対策をすればいいのか。

 私は頭を抱えてしまったのでした。

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