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45:王子の呼び方について

 仮面の剣士の正体が、この国の王子様だったなんて。


 あまりの驚愕の事実に息を呑むしかありませんが、彼の容姿を目にしてしまえば嘘だなんて思えませんでした。

 赤髪に緑色の瞳。この特徴がレーナ様と酷似していたからです。柔和な顔つきは彼女とは若干違いますが、王妃様の生き写しのようでしたし。


 これがレーナ様が兄様と言って慕う方なのかと思うと、なんだか感慨深いものがありました。王城で会えなかった唯一の王族である彼との初顔合わせ。少し……いえ、かなり緊張して来ました。


「えっと。その。レーナ様からお話は聞いてます。その昔、ニニにコテンパンにやられたんだとか……」


 いくら緊張しているからってこの話題の選択は間違いだったとすぐに気づきました。なんてことを言ってるんですか、私は!

 でも王子様はといえば別に気を悪くした様子はありませんでした。


「『光の騎士』に本気で勝てる人間はそうそういないからね。ボクみたいな一般騎士が敵うはずもない相手だよ。……へえ、それにしてもレーナと知り合いなのか。素直じゃないあの子と仲良くするなんてなかなかだね」


「は、はい! お褒めいただきありがとう……ございます?」


 褒められているんでしょうか。私にはよくわかりません。


「あの子は昔から両親とボク、それからボクの幼馴染にしか心を開かなくてね。だから異世界から来た聖女と親しくなるなんて思ってもみなかったよ。まあ、そもそもボクは聖女自体をあまり信じていなかったのだけど……キミを見るとボクが間違いだったとわかる。黒髪に黒瞳だなんて、この世界にはない特徴だ」


「そうなんですね。どうりで黒髪の人を見かけないと思っていました」


 じゃあなぜあの男たちは私のことを怪しまなかったのでしょう? 不思議です。

 それはともかく、


「こんな形ですけど、お会いできて良かったです。本当に助かりました」


「いや。聖女の危機を救えてボクの方こそ良かったと思っているよ」


 そう言ってにこりと微笑む王子様はあまりに美しく、思わず気絶しそうになりました。

 ああ、イケメン。イケメンの笑顔はこんなにも眩しいのですね。


 ……などとどうでもいいことを考えていたその時。


「ところでだけど、その王子様って呼び方、ちょっとむずむずするからやめてくれないかな?」


「えっ、どうしてですか?」


「うーん。昔の世話係がその呼び方をされていてね。だから幼少期のその、恥ずかしい記憶が蘇って来るというか……。ごめんね」


 私は頷きました。王子様も人間、当然羞恥心は何かしらありますよね。

 でも困りました。じゃあ王子様のこと、なんと呼びましょうか。


「王太子様……これは呼びにくいですね。じゃあ、エムリオ? さすがに出会って早々名前呼びとか失礼すぎますよね。エムリオさん? エムリオくん? これもなんか違いますし……」


 そしてしばらく考えた結果、


「一番無難なのはやっぱり様付けですよね。それじゃあ、エムリオ様でいきましょう。エムリオ様、これでいいですか?」


「ははは。キミは面白い人だね。いいよ、その方がボクとしても肩の力が抜けていいし」


 どうして面白いなどと言われたかはいまいち理解できませんが、とりあえず彼の呼び方はエムリオ様で決定しました。

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