03:ここはどこでしょう?
ほっぺたをぎゅっとつねり、さらにもう一度つなり。
それを何度か繰り返して私は確信しました。
「夢じゃない……ですね」
今までの裸騒動がどうか夢であってくれと願ったのですが、思いは届かず。
ここは確かなる現実のようです。
けれどそれならむしろ、おかしくはないですか?
だって、風呂場から突然にこんなホールに来ているわけですし。
……てか、ここどこですか?
裸ショックで当然な疑問を後回しにしていたことを思い出した私は、唖然となりました。
不可解すぎる。こんな場所、見たことも聞いたこともありません。
私は一も二もなく、目の前の銀髪の美男子に問いかけていました。
「あなたは誰ですかここはどこですか私は誰ですか何の目的ですか!」
おっと、怒涛のテンプレ質問を投げつけてしまいましたね。
『私は誰ですか』は勢いで言いましたが、当然ながらわかっています。私は聖、早乙女聖です。
でもそれ以外はわかりません。全部が全部謎なのです。
青年はきっと何か言いたかったセリフがあったのでしょう。しかしそれを喉元で堪えたらしく、私の質問に答えてくれました。
「セージョ様、まずは……」
「あのあの、その『セージョ』って何なんです?」
「うん? えーと、それはですね」
「そもそもあなた外国人ですよね? どうして日本語しか喋られない私と言葉が通じてるんですか? 日本語ペラペラってことですか?」
次々と湧いてくる疑問をぶつけていると、相手もさすがに口をつぐんでしまいました。
ああ、やりすぎました? 私も混乱していて、少し色々と余裕を失ってしまっているのです。
「すみません。とりあえずあなたが誰なのか、ここはどこなのかだけでいいです」
それを言うと、美男子は気を取り直したように口を開きました。
「お答えしましょう。一つ、俺はショーカンシャのアルデート・ビューマンです。そしてここはスピダパム王国の王城、一階の広間。ご理解いただけましたか?」
うーん。
意味不明な単語が多すぎて要領を得なかった私は、首を傾げることで答えを返しました。
唯一まともに理解できたのは、ここがどこかの王城の広間であるということだけ。
けれどスピダパムなんていう名の王国は聞いたこともありません。それに『ショーカンシャ』に関しては全く頭がついていきませんでした。
今の時代、王国などと呼ばれる国家は少ないはずです。
思いつく限りではヨーロッパにある数カ国と、その他有名な幾つかだけ。一応地理の勉強はしたはずなのですが、まさか私の知らない孤島にスピダパム王国という国家があるというのですか? もしもそうならどうして、日本にあるはずの我が家から突然そんなところへ移動してしまったというのでしょう?
情報過多により脳がパンク寸前だったので、私は考えることを諦めました。これ以上思考すれば爆発してしまいます。
とりあえず、銀髪美男子――アルデートさんに質問攻めを仕掛けるしかないようですね。
「はぁ。どうしてこんなことになったんですか……」
ため息を吐き、肩を落とす私の様子を、その他の方々はただただ一心に見つめていました。
私は一体、あなたたちにとっての何者なのですか?
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