表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

227/239

227:急変する事態

 朝更新が間に合わなかったのでお昼の更新です。

「一体どうなっているんだ」

「魔女ですって……?」

「おい、あれの意味を誰か説明してくれ」


 人の声が飛び交うパーティー会場は混乱の渦に呑まれようとしています。

 逃げ出そうとする者、それを引き止めようとする者。この場の指揮を取らなければならないのは国王様でしょうが、突然の事態にまだ困惑しているようです。


「皆様、落ち着いてください!」

「無理に外へ出ると危険な場合がございます。騎士が会場周辺の安全確認をいたしますのでしばしお待ちを」


 パーティー会場の警備をしていた衛兵数人が、慌ただしくやって来ます。その中にはニニの姿もあり、ただ事ではないのは明らかでした。


「あの声の発生源は王城を取り囲む見張り用の塔の一つに備え付けられた拡声器だ。非常事態の時などのために備え付けられたものだが、それを悪用されたんだろう。つまりそこに、『烈火の魔女』とやらがいる」


 アルデートさんが私に教えてくれました。


「『烈火の魔女』なんていかにも禍々しい二つ名ですね。アルデートさんは聞き覚えはあったりしますか?」


「いや。ただ心当たりはないわけではないな。

 近年、村や町が一人残らず滅ぼされる事例が多発していた。原因不明として放置されていたが、まさか魔女の仕業だったとは」


「町を滅ぼすって……」


 それを先ほどの声の主であろう女性がたった一人でやったとしたらと想像するだけで身の毛がよだちました。


「どうやら君は知らないようだが、『魔女のカケラ』を持つ者は忌み嫌われ、迫害される運命にある。おそらくはそのうちの一人が魔女と名乗り、暴走したのだろうな」


 『魔女のカケラ』なんて初耳です。

 それがどんなものかはわかりませんが、迫害されるというくらいなのですから、人を凶暴化させる何かなのでしょう。


「そんな相手にとっては、聖女の私が邪魔だったということ……?」


「かも知れないし違うかも知れない。『魔女のカケラ』の保有者は今までにも確認されていたが、こんな行動を起こすのはスピダパム王国において史上初めてだからな」


「じゃあ、私は」


 一体どうすれば。

 問いかけても意味がないとわかりきったことを口にしようとした寸前、バタバタと複数の足音が近づいてきました。


「ヒジリ様!」

「ヒジリ、無事ですかしら!?」


 あれほど大勢に囲まれていたはずのナタリアさんとセルです。騒ぎに乗じて逃げ出してきたようでした。

 もみくちゃにされたせいか、二人とも髪や衣装が乱れまくっています。


「大丈夫です! 首から上と胴体、しっかり繋がってますから」


 いつ狙われてもおかしくないので怖くてたまらないですが。


「それは良かったですの。可愛い義妹を喪うことになるなんて考えられませんの」

「先ほどの悪質な声明を耳にした時は生きた心地がしませんでしたわ!」


 ホッと安堵を見せる二人。

 しかしセルはすぐにアルデートさんの方をじろりと睨んで。


「……あら、ビューマン令息。まさかヒジリと踊っていたりはしませんわよね?」


「独り者同士で一曲だけ。悪いか」


「美しく素晴らしいアタクシとは一度も踊ろうとなさいませんのに」


「別にどうでもいいだろう。タレンティド公爵令嬢が口を挟むようなことじゃ」


 混乱を極めるこの状況には似つかわしくない会話を交わす二人。

 放っておいたらいつまでも続けていそうなので私が止めました。


「そんなことより! セル、エムリオ様はどこに?」


「外の状態の確認をしていますわ。もうすぐ戻ってくるはずでしてよ。ほら」


 セルがそう言うが早いか、パーティー会場の裏口から転がり込むようにしてエムリオ様が現れました。

 ダンス用の華やかな衣装から一転、騎士の鎧を纏った彼は、恐ろしい事実を告げるのです。


「大変だ。城の方が燃え上がってる」

 面白い! 続きを読みたい! など思っていただけましたら、ブックマークや評価をしてくださると作者がとっても喜びます。

 ご意見ご感想、お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ