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178:ミランダさんとの約束を果たすのです①

 ――卒業パーティーのホールを後にし、アルデートさんと別れた後。

 セデルー公爵令嬢と一緒に学園の門を出ると、そこには豪華な馬車が待ち構えてました。


 西方の辺境伯領へ向かった時に同乗させてもらったビューマン伯爵家の馬車より一層輝いているそれは、セデルー家のもの。これに乗ってセデルー公爵領まで行くのです。


「どうぞお乗りになって」


「では、失礼します」


 公爵領までは馬車で五日ほどかかると聞きます。

 でも馬車の乗り心地は随分良さそうですし、何より今回の旅は異性と同乗するわけではないので随分気が楽でした。せっかくですから道中を楽しもうと決めて、私は馬車に乗り込みました。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 女子トークをしたり恋バナしたりセデルー公爵令嬢の婚約者の話を聞かされたり……。

 考えてみれば全部彼女の惚気話なのですが、ともかく、そんな風にして馬車旅の日々は過ぎて行きます。


 この時ばかりは貴族のしきたりやら聖女としての勤めやらを考えず、一人の女子として語らうことができる。

 異世界に来てから一番、楽しいと思えた時間かも知れません。


 ちなみに、再び名前呼びを許されるようになりました。ある程度親しい仲だと認められたのでしょうか。


 しかしそんな薔薇色の時間はあっという間。気がつけば馬車はセデルー公爵領に入り、公爵邸に到着していました。


「先に手紙は寄越してありますので準備は整っているかと思いますので、中へどうぞ。ヒジリ嬢、歓迎いたします」


「ありがとうございます」


 ミランダさんのお屋敷は、さすがに学園ほどとまでは言いませんがかなり大きいです。が、異世界慣れしてしまったのか今回はそこまでの驚きはありませんでした。

 屋敷に入ると使用人に案内され、応接間に通されます。そしてお茶を振る舞われつつミランダさんから今回の仕事についての話をされました。


「ヒジリ嬢にお頼みしたいことは三つ。

 近年流行している農作物の病気で、我が領の農民の四割ほどが苦しんでいるのです。一つ目がそれの浄化。

 そして二つ、魔物駆除。近年はこの辺りにも魔物が出没するようになって、私一人では手に負えません。

 最後はヒジリ嬢のおっしゃっていたお風呂を我が領に広めていただくことです。私の印象としては泥水のようにしか思わないのですが……本当にヒジリ嬢のお力で奇跡が起こせるのですか?」


「できますよ。色々準備は必要ですけど、時間と材料さえあれば」


「ならお願いします。父にも話は通してありますので、ヒジリ嬢には何日滞在していただいても構いませんから」


 そう言ってもらえるとありがたい、と思いながら、私は頷きます。

 現在住居なしの私にとっては今、ミランダさんが命綱です。失敗して追い出されたりしないように頑張らないといけません。


 ――さて、ここからが私の仕事です。

 まずは一番目、農作物の病気から解消して行きましょうか。お風呂はミランダさんにも言った通り時間がかかるので後回しですね。


「頑張りますか」

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