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102:入学初日から最悪です

 この世界のこと、嫌いとか言ってしまいましたよ……。

 別にあなたたちのことが嫌いというわけではないんです、神様が悪いんです、と弁明したいところですが時すでに遅し。ドレスだらけのこの学園でビキニという格好の歪さも相まって、すぐに私は笑いの種となりました。


「あれ、本物の聖女様か?」

「全然神聖なものに見えねぇけどな。とんだ聖女様もいたもんだよなぁ」


 教室の後ろの方でザワザワ騒いでいるのは二人の男子生徒。貴族なのでしょうが、全然紳士的には見えません。

 一方で女子たちは私の方をジロジロ見て、視線を向けられているだけなのに「何よあんた」という声が聞こえて来そうになるほどです。


 ベッキー先生も非常にやりづらそうな顔で私を見下ろして来ました。そんな彼女に私は、小声で「すみません」と返すことしかできません。

 ああ、我ながら本当に情けないです。


「こ、こんな私ですがどうぞ仲良くしてくださいね!」


 少年たちがブッと噴き出し、半数ほどの令嬢が口元を手で覆うのが見えました。

 ……これから始まる私の学園生活は、どうやら前途多難のようです。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 この教室は、上級生下等クラスと呼ばれる場所。

 私と同じ十五歳、その中でも身分が低い子爵家や男爵家の令嬢令息たちが学んでいるということです。


 本来私は貴族で最高位の公爵家にも匹敵するような身分ではあるらしいのですが、この世界での学が全くないものですから、勉強が比較的簡単な下等クラスから始めるようです。

 成績優秀であれば中等、上等クラスへと上がることもできると学園長先生から言われましたが……それは難しそうだと、入学初日にして思い知らされました。


 まず、字が読めない。

 これが一番の難関でした。何しろ教科書を渡されてもそこに何が書いてあるのか全くわからないのですから。

 入学前からわかっていたことではありましたが、まさかこれほど困るとは……。会話だけ翻訳されて文字は翻訳されないこの異世界のシステムは何なんでしょうね、まったく。

 おかげで初日の授業内容がちんぷんかんぷんで、


「サオトメ・ヒジリ嬢。この魔術式の生成方法を答えてくださいませ」


「は……?」


「魔術式の生成方法です。おわかりになりませんか?」


「ごめんなさい」


 ベッキー先生の質問に答えられず、教室中から笑い者にされてしまったのです。

 入学初日からこんなのって最悪過ぎます……。羞恥で顔を真っ赤にしながら、私は俯くことしかできませんでした。

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