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10:宣言

「昨日は突然のことで取り乱してしまい、申し訳ありませんでした」


 国王様のお部屋に通された私は、そう言って頭を下げました。

 何しろ昨日は急に異世界に呼び出された上に真っ裸でしたから……とんだ醜態を晒してしまったと思います。反省してもし切れない思いでいっぱいです。


 ちなみに部屋と言っても、寝室ではなく執務室のようなところです。王様は玉座に座ってふんぞり返っているだけのイメージがありますけど、実際は想像以上に大変な仕事なんでしょうね。王様の他にもたくさんの文官がいましたが、私が部屋に入るなりすぐに人はらいがされて私と国王様以外には誰もいなくなっています。


 国王様は少々私の訪問に驚いていたものの、すぐに「うむ」とまんざらでもない返事をくれました。

 それにしても改めて見てみれば、王様って結構かっこいいですね。燃えるような赤い髪に深い緑色の瞳。その二メーター越えの長身も極まって思わず平伏してしまいそうなオーラが漂っています。年齢は中年程度でしょうが若く見えました。

 そういえば異世界人の寿命って何歳くらいなんでしょうね? 地球人より体が大きいことを考えて平均百歳程度? それとも逆に中世ヨーロッパ風なありがち世界観だとすれば病気などで早死になのでしょうか。気になりますね。


 ……おっと。あらぬ方向に思考が飛んでいくところでしたね。

 私は用件を思い出し、改めて国王様に向かって高らかに宣言しました。


「私、決めました。聖女になります。聖女がどんなお仕事なのか、よくわからないんですけど……。そしたら家に帰れるかも知れませんし。ですから私、頑張ります!」


 昨日とは打って変わった私の態度を国王様はどう思ったのでしょう。

 しばらく静寂が落ちましたが、やがて、静かな首肯が帰って来ました。とりあえず認めてもらえたということでしょうか?

 そういえば、もしも私が今でも「嫌だ」と拒み続けていたらどうなっていたんですかね。もしかしたら拷問とか……? まさかせっかく呼び出した聖女を野放しにするわけがありませんもの。そう考えるとゾワっと寒気が走り抜けました。聖女になることを決意して良かったです……。


「――そなたが認めてくれたなら、こちらとしても手荒な手を使わずに済むので助かる。そうだ、では早速聖女歓迎会を開こうではないか」


「やっぱり手荒な手を使うつもりだったんですね……」


「まもなく準備させる。自室で着替えて待っているように。その格好ではいけないからな」


 あ、そういえば私、まだ寝間着のままでした。

 私は言われるがままにあてがわれた部屋へと足速に帰り、歓迎会とやらの準備を始めたのでした。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 歓迎会――と言ってもちょっと特別な朝食会という感じだそうです――までの間、私はちょっとおめかしされました。

 たくさんのメイドさんが私を取り囲んでお化粧してくれるのです。髪も綺麗にとかしてもらいましたしお肌のクリームなんかも塗っていただいてしまって、なんだかお姫様になったみたいでちょっといい気分でした。


 服は適当なワンピースを選んで着ます。日本では滅多に見かけないような乙女心をくすぐる可愛いピンク色のワンピースに決定しました。

 鏡で自分の姿を見てみたら聖女というよりはお嬢様という風なキラキラフリフリの女の子がそこにいました。馬子にも衣装とはこのことで、まるで私自身も輝いているように見えます。これ、いいですね。


 鼻歌なんか歌い出してしまいそうなほどのルンルン気分で私は再び部屋を後にします。

 聖女としての一番目の仕事は朝食会に臨むこと。とにかくいっぱい食べていっぱい楽しんで……じゃなかった、聖女の務めを果たすように精一杯頑張らねばいけませんね!

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