作者の幸せ
また新たなネタが出来たから紙に設定を書き留めていた。思ったことはとりあえず書く。不要な物は後から削るも良し、再利用するのも良し。残しておかなくては何に繋がるか分からない。
一度瞬きをして、詠利の顔を見る。 へらりと笑ってこう言った。
「自分の作品に自信とかないけど、書くのが好きなんだ」
「だろうね。顔見なくとも、癖の強い表現見てれば何となく分かる。なんつーかな、媚びてない」
見ているのはこの間完成した小説と設定集。渡す約束をした、あの紙屑達だ。それでも彼女は御満悦だった。数多の宝石を眺めているように悦に浸っている。
それに対し、私は瞬きをした。媚びてない。とは?
「うん?」
「万人受けは狙ってないけど、ドツボにハマる奴向けに書いてる感じがある」
よく分からない。確かに私の文体はかなり癖がある。何も癖を付けて書いているつもりはなく。そうなってしまうのだ。自然と。読みにくいので、滑らかにしたいのだが、なかなか上手くいかない。でも、その中でもこの個性を愛してくれる人がいる。それはとても嬉しいこと。
凄くプライドが高い恵美ですが、結局書くのが好きなんですよ。
それがどれだけ生半端であっても。




