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第十二話「授業とは違う」

「……やっぱり授業で潜ったダンジョンとは雰囲気が違うわね」


 移動すること一分半。

 薄暗い一本道を抜けると、まず広々とした空間へと辿り着く。そこはたいまつがいらないほど明るく、小麦色のレンガで囲まれている。

 

「授業で潜った時もそうだったけど、ダンジョンってどうしてこんなに明るいんですかね?」

「そうだねー、一説によればダンジョンを模っているこのレンガにあるって言われてるね」

「そうなの?」

「ですが、科学者達が調べたところこのレンガはマナが普通のよりも濃いだけど。普通のレンガだったと結果が出ています」

「そっかー」


 ダンジョンがいまだに謎だらけ。

 調べても調べても次々に謎が出てくる。だからこそ、冒険者も科学者もダンジョンには積極的に調べている。

 いつか全ての謎が解けるまで。


「さて、ダンジョンに潜ったけど……また一本道だね」


 広々とした空間にある進むべき道は、一本。

 が、冒険者を目指すシルビア達は、目に見えている道だけを信じず、壁や床などをくまなく探す。

 隠し通路などがある場合が、ダンジョンにはあるのだ。

 

「他にはなさそうね」

「てことは、あの道を進めってことですか」


 全員で隅々まで探したが、隠し通路や隠し階段のようなものはなかった。そうなると、進むべき道は最初にめについた一本道のみ。

 それが正式な道であるのだろうが、罠という可能性もある。


「マイキーくん! ゆくのだ!」

「わかりました」

「何をするつもりですか?」


 皆が見詰める中、マイキーは一本道の入り口付近で魔力を解放する。それを振りまき、しばらくすると大丈夫だという合図を送ってきた。


「さっきのはね、罠かどうかを確かめる探知魔術だよ。系統としては、特殊にあたるかな」

「へぇ、聞いたことはありましたが、あんな感じなんですね」

「夏の長期休みが終われば習うはずだよ。ダンジョンに関わらず、色んなところで使えるから! しっかり覚えておこう!!」


 探知魔術は、冒険者としては必要な力だ。

 罠を見つけるのにも、隠した宝箱を見つけるのにも。術士でなくとも、使う魔力は少ないため魔力があれば誰でも使える。


「魔物が急に出てくる時があるわ。気をつけてね、シャリオ」

「うん!」


 返事と同時に鎧を身に纏う。

 魔物は、急に出現する。

 壁からだったり、床からだったり。ダンジョンは、魔物を生み出す核のようなものがあると言われている。そのため神ではなく、悪魔が創ったのではないか? とも言われているのだ。


「そういえば、ずっと気になっていたんですが」

「どうしたの?」

「授業用のダンジョンってどこのダンジョンなんでしょうか?」


 ふと、ユネの疑問にはシルビアを初めとした一年生達全員が思った。授業用に使っているダンジョンは、学校の地下から転移陣で転移する。

 そのためどこのダンジョンなのかがわからない。

 おそらくここに居る一年生だけではなく、全員が思っていることだろう。


「ナナエは知っているか?」

「残念だけど、あたしも知らないなぁ。あそこかもーっていうのは、いくつか予想したけどね。マイキーくんはどう?」

「特に思いつくところはありませんね。それに、学校を信用していますから」


 確かに、ダンジョンへと続く転移陣は信用がないと設置することはできないだろう。そして、それは生徒のほうにも言えること。

 学校側を信じていなければ、どこにあるかわからないダンジョンへと行くなど無理だろう。


「おー、模範みたいな言葉だね」

「そうですか?」

「そうだよ。でも、やっぱり気になるよねー。どこのダンジョンなのかっていうのは……おや?」


 ここまで魔物にも襲われず、罠にもかからず進むことができた。何もなかった一本道を進んだ先には、ドラゴンの石像と分かれ道が。

 

「……どうやら、正しい道を選ばないといけないみたいだよ」


 石像の台座には、文字が刻まれていた。古代文字、というわけではないのでシルビア達にも読める。

 刻まれていた内容はこうだ。

 この先、試練あり。

 正しき道を選ばぬ者、命を奪われるであろう。


「命をねぇ……それで、いったいどうやって正しい道を選択するわけ?」

「普通なら何かしらのヒントとかがあるはずですが」


 授業用のダンジョンにも似たようなものがあった。その時は、近くにあったヒントをもとに、謎解きをして正しい道を選択したのだが……見た限りでは、ヒントらしいものはな見当たらない。

 いや、あるにはある。

 おそらく、道の真ん中に置かれているドラゴンの石像。

 これが何かしらのヒントになっている可能性が高い。


「あっ! わかった!!」


 すると、シャリオが正しい道がわかったのか叫び出す。


「どうしたのよ?」

「えっとね、このドラゴンの尻尾! 尻尾がね左の方に向いてるから左だよ! きっと!!」


 そう言われ、確かめると。シャリオの言うように、尻尾が左のほうへ向いている。

 だが、これだけで進むというのはどうなのだろうとピアナは首を傾げる。


「どう思う? 皆」

「私はいいと思うよ。ここはドラゴンに関する情報があるダンジョン。ドラゴンが正しい道へ導いてくれるって、私は思うな」

「ユネもそう思います。それに、他にヒントらしいものが見当たりませんし。ここは、シャリオの言う通りに進んでみましょう」

「大丈夫大丈夫! もし、何か遭ってもあたしがどうにかしてあげるよ!」


 その後、シャリオが信じてと言わんばかりに上目遣いで訴える。

 うるうるとさせるその瞳に、ピアナは何も言えず折れてしまう。


「そ、そうね。じゃあ、左に行きましょうか」

「うん!」


 冒険者を目指す者、挑戦あるのみ。

 とはいえ、念のためマイキーに先行してもらい、罠がないかどうかを探知してもらいながら進む。

 命を奪われるということは、魔物が大量に襲ってくるか罠が大量にあるかのどちか。

 

「……」

「どう? マイキーくん」

「今のところ、罠らしいものはありませんね」


 左の通路を進み、しばらくして何もない。正しい道だったか? そう思った刹那。


「皆! 魔物だ!!」


 魔物達が、壁から出現した。

 

「も、もしかしてはずれだった!?」

 

 悲しむシャリオだったが、それは違うとシルビアが首を横に振る。


「これぐらいダンジョンでは普通だ。もし、命を奪うほどだった場合はこれ以上に出てくると考えていいだろう」

「ええ、そうね。どう見ても、大したことない数だわ」

「そ、そうなんだ。よーし! じゃあ、頑張って魔物を倒すぞ!!」


 それほど広い通路ではないため、大きく動けない。

 が、それは相手も同じだ。

 通路の広さは、人が横に七人並べるほど。その限られた広さで、どう戦うのか。授業ですでに習っているシルビア達にとっては、さほど苦労はしない。

 

 更に、こちらには生徒会長に副会長がついている。

 これほど心強い仲間はいない。

 安心して、魔物達と戦うことができるというもの。


「はいはい! 動きを止めちゃうよ!」


 さっそくナナエが動いた。

 空間を捻じ曲げ、魔物達の動きを封じる。そこへ、シルビア達が一気に押し寄せ一方的に攻撃を与えた。


「よし!」

「楽勝ー!」

「やっぱり、空間を操るって凄過ぎますよね……」

「うん、相手にしたくない力だよね」


 味方ならば心強い。しかし、敵だった場合を考えてしまうとかなり恐ろしい力だ。


「大丈夫よ、皆。あたしが皆の敵になるなんて、絶対! ありえないから」

「ですね。そんなことがあったら、異変ですよ」

「ふふん! あたしは、美少女を裏切らないのだ!!」


 そんなことありえない。ナナエは、ものすごいドヤ顔で言い切った。

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