冒険の始まり?
今回の話の中に長文の会話分が出てくるので、見やすいように会話の終わり事に一行開けています。
僕とセノーテさんはある部屋へと案内された。
「こちらにお座り下さい」
そこの部屋の扉には特別室とかかれていた。なぜ僕達が特別室に案内されているかはよく分らなかった。
「すみませんが、なぜ私達だけここの部屋なんですかね?」
「それは…」
自分の質問に案内役と思われる女性はごもるような口調をした為セノーテさんは、少し怒っているように見えた。
「…言えないのか?」
「………!?」
「俺はな、こうやってだまられるのが一番ムカつくんだよ」
「あ、あの、セノーテさん?これ以上は…」
これ以上長引くとセノーテさんが一人悪い意味で白熱してしまうかもしれない為、僕は止めに入った。
「…黙れ」
「…ぇ」
今のセノーテさんは、どこか様子が異なっていた。
「さぁ…早く答えろ!」
「すみません!私にはここへ案内しろとしか、言われていないので…」
セノーテさんの肩の力が一瞬にして緩んでいるのが徐々に確認できた。
「……そうか。事情も知らずにすまなかったな」
これでまずは一安心と思うと僕はとてもほっとした。
すると、ドアを二回ノックした音が部屋に響いた。
「どうぞ」
「…これは久しぶりだな」
小声でセノーテさんは呟いた。その目先に居るのは真っ黒なスーツを着ている男性だった。
「覚えているか?セノーテ・ワイト」
「ええ。もちろん」
「何やら、私の部下がお前の気に障る事をしてしまったらしいが許してくれ」
「全然大丈夫です。むしろ、私が一方的に怒気を押し付けていましたから」
セノーテさんと男性との会話を聞いていると、見るからに二人は知り合いのようだ。
「それでセノーテが今の時期に来るなんて珍しいな…もしかしてお前の横にいる子が今日来た理由か」
「そうですね。今日ここへ来たばっからしく、俺が案内してたんですよ」
「それではなぜ、わざわざここまで来たんだ?セノーテが案内するのならばここへ来なくてもよかったんじゃないか?」
「それはですね…シティギルドへの申請を貰いに来たんですよ。それでついでに、説明も聞きに来たってとこですね」
「お前が新人をシティギルドへ入れるとは、それだけ何か理由があるのか?」
正直今の僕には、何の話をしているのか想像もつかなかった。ただ、シティギルドと言う初めて聞く単語は何となく想像はできた。
「まぁそうですね」
「それで君の名前と階級は?」
「僕の名前は、爆雷と言います…階級は…」
僕はまた階級を言うと笑われるんじゃないかと思った。そう思うと、僕は自身の階級を口に出すのがとても怖くなっていた。
「階級は……超初心者級です」
しばらくの沈黙が続いた。
「そういう事か…爆雷、お前はいつか強くなるだろうな」
なぜ僕が強くなると確信できるのかは分からないけど、この男性は笑わずに真剣に聞いてくれていた。
ただ本心ではどう思っているかは分からない。
「それじゃあ、私はこれで失礼する。セノーテまた会おうな」
男性が部屋から退出すると、セノーテさんは僕の方を見て言った。
「お前は強くなりたいか?」
「はい!」
「分かった…それじゃあ後はお願いします」
女性の人に声をかけるとセノーテさんは扉を開け、部屋から出ていった。
「終わったら入口で待っている」
「それではこちらに座って下さい」
扉が完全に締まり終わると女性は説明をしだした。
「まず爆雷さん。あなたはエンプレイへ来たのは本日という事でよろしいでしょうか?」
「はい」
「それでは、エンプレイに関しての特に重要な説明を始めます」
「まず、エンプレイと言う国に関しての説明をします。エンプレイの人口は現在約二万人、地形は一般的なゲームコントローラーの形をしています。」
「続いて、エンプレイ内にある街についての説明です。この国には全体で五つの街があります。一つ目は、アンファングブルグを中心に見た時の北東側に広大な街、ゲームネーションがあり、この街は現在の帝王、キイ帝王が総裁となっています。2つ目は、北西側にバグー、三つ目は、南西側にクイーンシティがあり、こちらも広大な街となっており、総裁は現在の女王、椿女王がリーダーとなっています。四つ目は、南東側に大きな湖がありとても空気が綺麗と人気なレイクタウンがあります。そして、最後はエンプレイの中心に位置しているサウンドシティです。」
「先程、シティギルドと言う言葉を聞いたと思いますが、シティギルドと言うのは、一つ一つの街が支配力を強める為、ギルドをつくり爆雷さんのようにまだギルドへ入っていないプレイヤーを勧誘しているんです。ただ大事なのは、各街ごと申請する際に必要な条件があるんです。例えばサウンドシティでは、支配力をどの街よりも強くする為に、ゲームの強さや自分のステータスでもある階級が高くなければ入る事は出来ません。しかし、のんびりしている街もあります。レイクタウンに関しては、とにかく楽しくプレイするをモットーに活動していますから、条件は特に無いようです。ですが、当初はたくさんのプレイヤーから批判を受けていました。なぜならここはプロ級のゲーマー達が大勢いる世界なんです。そこに楽しくプレイと聞くとふざけているんじゃないかと誰もが思ったんですよ。ただ、数年前当時の帝王が全プレイヤーの階級の上がり下がりを見て気づいたんですよ、上がっているプレイヤーもいれば全く上がっていないプレイヤーもいるという事に、それでレイクタウンは駆け出しの街の代名詞と呼ばれ始め、今に至っているんです」
「今までの話で何か質問はありますか?」
「あの、総裁ってのは?」
「総裁と言うのは、シティギルドの第一責任者である、いわゆるリーダーの様な位です…それでは、続いてエンプレイへの中身について説明しますね」
「爆雷さんが居た、以前の世界にも四季と言うのはあったと思いますがエンプレイでもあるんです。ただし、こちらの世界では自然現象と言うのは存在しません。例えば四季ならば、エンプレイでは一年は十二か月であり、三ヶ月毎にはっきりと四季が変わるんです。もちろん四季だけではなく、天候、温度、湿度、風の流れ、強さなどその他にもたくさんの自然現象を操作しているんです」
「操作とは何ですか?」
「文字通りの意味です。あまり私の口から言う事はできませんが、アンファングブルグの最上階にエンプレイ全体を管理している部屋があるんです。私も詳しくは分かりませんが、その部屋では様々なサーバー操作をしているんだと思います」
「では話を戻します。四季ごとにエンプレイでは、イベントや大会が行われているんです。例えば今後の予定では本日が四月七日なので、約一ヶ月後に昇級戦と昇段戦の大会が行われます。イベントでは春に合わせたイベントが用意される予定です。ただしイベントでは、ソロやチーム戦などイベントに出場する際に条件があるので出場する場合は注意して下さい」
「最後ですが、エンプレイにもルールは勿論あります。
プレイヤー同士のトラブルの際に暴力、相応しくない発言を行った時、プレイヤーに対し、脅迫、欺罔を行った時、プレイヤーに対し、中傷を負わした時、殺した時、プレイ中での不正行為、商品を窃盗した時、建築物を破損した時。罪を犯した時、軽い場合は注意〜一時活動停止。重い場合は追放などなど沢山その他にもあります」
「以上で重要な説明を終わります。さらに詳しいルールや、イベント、大会、各シティ、武器、装備、階級については、こちらのルールブックを読んでみて下さい」
説明が終わり、僕はセノーテさんが待っている所へ急いで向かった。
この説明を聞いた感じは、分かったと言うよりかは、知ったって感じの方が強い。完全に理解するにはまだまだ時間がかかると思う。
それにしても、セノーテさんはギルドの申請って言ってたけど、僕をどこのシティギルドへ申請したんだろう?
「おい!爆雷こっちだ!」
後方からたくましい声が聞こえた。
「セノーテさん!遅くなってすみません。」
「」
次回の更新日は5月の中旬頃です。