ハクの父親
どもー!
実はこの作品以外にもう一つ作ってみました!
タイトルは
『双子世界の物語~他の異世界に召喚されたけど自由気ままに旅をしよう~』
です!
よろしければ見ていってください!
男は自分の剣が防がれた事に驚きつつ、乱入してきたハクに睨み付けていた。
「てめぇ……何で邪魔をしたっ!」
「俺の仲間だからだ。」
「はっ!こんな弱っちぃ地球人を守って何になる!地球人は死んでしまえばいいんだっ!お前もそう思うだろ?」
「残念だが、それは賛成できないな。それにお前には言っておかなければならないな。……俺の父親は地球人だぞ?」
「……っ!くそがぁぁぁぁあ!!!」
男は怒りを爆発させ何度もハクへと斬りかかってくる。
「てめぇ、確か『グラトニークロコダイル』に……」
「あぁ、それは俺の召喚したモンスターが教えてくれたからだよ」
「……ちっ、思念かっ!」
遅れてソフィアがやってきた。
手には青い太刀と薙刀を持っている為かかなり威圧があるものだった。
「悠さん、ここから離れましょう!」
「えっ!?ハクさんは?」
『マスターなら大丈夫です。悠はソフィアさんの言う通りにしてください。』
「えっ!?」
強みがあって心暖かな女性の声が直接悠の脳へと響いてくる。
「……まさか、キュナさん?」
『えぇ、私ですよ。』
「きゅい!きゅい!」
『思念を教えてほしい?ギン殿なら直ぐにとはいきませんが練習を重ねればできるようになるでしょう。』
「キュナさんもそんな事言ってないで早く離れますよ!」
ソフィアさん達と共に離れるとハクさんと男の戦闘が始まる。
どちらも互角に見えるがハクさんの方が優勢に感じる。
太刀捌きが早く男の剣を押していった。その威力に耐えきれなかったのか男の黒い闇の剣は砕け散りハクさんはその首へ狙い横へと太刀を振るうが、男もただ待っているだけではなかった。
「『闇之剣』、『二刀流』!」
男の両手から二本の闇の剣が生み出されると首に迫り来る太刀を二本の闇の剣で大きく上へと斬り上げて軌道を剃らした。
しかしハクさんはそのまま男のこめかみに向かって蹴りを放つとそれに反応して距離を取っていった。
「さぁ、行くぞ!」
「(……その純白の太刀は……まさかっ!?)……ククク、クハハハハ!」
「何だ?」
突然笑い出した男にハクは警戒を強める。
すると男は何かを思い出した様な表情をして声をかけてきた。
「純白の太刀にその真白な髪にその顔……加えてその仏頂面な表情にその性格……ククク、思い出したぜ!お前、アルシルト・ウェードと柊雅之の子供だろ?」
「っ!?!?何で両親の名を知っている!」
「懐かしいぜぇ。俺とあの二人とは知り合いでな。……なぁ、お前、お前の父親柊雅之は何故この世界にいたのか、知っているのか?」
「……何が言いたい」
「その反応じゃぁ知らねぇみたいだな!お前の父親はなぁ!地球人に見捨てられたんだよ!」
「なっ……!」
男の発言に酷く狼狽するハク。
だが男が嘘を言ってるとは思えなかった。
「確かぁ、25年位前だったか。柊は日本の自衛隊員でな。ある任務でこの世界にきていたわけよ。確か御偉いさんの護衛だったか。だが、あるトラブル、まあモンスターに教われてしまってな。どうなったと思う?教えてやるよ、その御偉いさんとその当時の自衛隊隊長は柊ともう一人の自衛隊を無理矢理囮にして逃げて帰っていったんだよ!」
「それは……」
『その話は事実だよ。』
「ディオン……」
「まあ、そのモンスターは柊ともう一人の自衛隊員とで倒したみたいだがな。お前の父親は地球人から捨てられたんだ。……だからもう地球人じゃねぇ。この世界の人間だ!もう彼奴の事を地球人なんて言うんじゃねぇ!」
「……。」
「なぁ、餓鬼。俺達と一緒に来ねぇか?お前の父親を見捨てた地球人に復讐しようぜ?」
「ハク……」
「ハクさん…」
俯いていたハクだったが、太刀を男に向ける。
「あん?どうした?」
「悪いが俺の父親は少なくとも地球人を恨んでなんかいない。それに俺にはやるべき事があるんだ!」
「……交渉決裂か」
「悪いが、これで終わらせてもらう。ディオン!」
『わかってるよ!』
純白の太刀は光輝いてハクの身体へと吸収されていく。
そして唱える。
ハクとディオンの力を一つになるために。
『「『聖纒』!!!」』
その瞬間ハクを中心に眩い光に埋め尽くされるのだった。