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Chapter of Begine  作者: Tkayuki 冬至
異世界に迷いこんだ者達
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できましたー!







ハク達が『グラトニークロコダイル』との戦闘を繰り広げている頃、悠は孤児院の子供達と纏まって一緒にいた。


子供達はキュナやシロ、ギンと戯れていたが何処か不安そうな表情をしている。まだ10歳前後の子供達だ。最年長で12歳、最小が5歳の子供達が親を失ってここにいる。


「ねぇねぇ悠お兄ちゃん。ハクお姉ちゃんは?」

「お姉ちゃんじゃないだろ。ハクお兄ちゃんだぞ」

「え~、お姉ちゃんだよ~」


わかると思うがハクさんは孤児院の子供達にも人気がある。男女共にだ。


しかし女の子達全員ががハクさんは女の子だと思っている。男の子達は一緒に温泉に入った事があるのでわかっているのだ。


ハクさんが人気なのは何となくわかる。子供同士の喧嘩があった時、ハクさんは攻める事無くその子供の目線に合わせる為しゃがんで何があったのかを頷きながら聴いている。そして理由が何であれ決して誰が悪いかと決め付けや否定をしない。だからこそ子供達はそれが起こった根本的な理由を聞き出せるのだろう。



そのハクさんの行動を見ていると何だが虐められていた事を思い出す。ハクさんの様な人があの時にいれば僕も少しは楽しく学校を過ごせてたかもしれないと。



だがそれはもう過ぎたことだ。忘れよう。


「ねー悠兄さん!ハク姉は何してるの?」

「ハクさんは今依頼をしに行ってるよ」

「そーなんだ!」

「ソフィア姉ちゃんも?」

「そうだよ」

「そうなんだ~。」


もちろん『アルティリナ』のメンバー達も人気がある。


周りを見ると避難してきた人達もいるが殆どが女性に子供のだ。多分男達は他の人達の避難を手伝う為に動き回っているのだろう。



クイッ、クイッ!


横からギンが僕の服を尻尾で引っ張ってくる。


「きゅい。」


指し示す方向には外から見える窓で、近くにある木に一匹の蝙蝠がじっと監視するかの様にぶら下がっていた。



その蝙蝠の二つの赤い眼を見た瞬間、ゾワリっと背筋が凍りそうな悪寒が走る。それは獲物を捉えている様な目だ。



「どうしたの?」



一人の女の子が心配そうに僕を見ていた。彼女だけでない。ここにいた子供達がだ。


僕は勘が良いわけではないがここにいるのは不味い。


この子達を巻き込んでしまう。


「大丈夫だよ。……ちょっと思い出した事があるから出ていくね。君達も院長さんの言うことを聞くんだよ?」


子供達は頷く。


いい子だ。こんないい子達を巻き込むわけにはいかない!



僕は孤児院から離れて人がいない場所へと向かう。それに気づいたのかキュナさんとシロさんも着いてきていた。キュナさんは僕の意思を尊重してくれるみたいだ。シロは変わらず眠そうに欠伸をしていた。多分シロさんもこの状況に気づいているはずだが……。




















「……よぅ。てめぇが地球人だな?」


















一瞬呼吸が出来なくなりそうな程の何かの圧力が身体全体にかかる。……これが殺気なのだろうか。呼吸が詰まり、空気を飲み込むのも辛い。


「だっ誰ですか……?」


僕は後ろを振り向くと漆黒のローブに身に纏った男性がいた。顔は何故か包帯で巻かれていて余計に気味が悪い。


「あ゛?今から死ぬ奴に言っても仕方がねぇだ、ろ!!!」


男は一本の細い剣を僕の顔に向かって放たれる。


避けられない!



もう駄目かと思っていたがその前にキュナさんがその放たれた剣を六本の尾で難なく掴み破壊した。



「……へぇ、多尾狐……しかも特異種か。だがその地球人のモンスターじゃねぇよな?それにその頭にいる白守猫もな」


すると男は被っていたフードを脱ぎ、包帯を無造作にほどかれる。



「うっ……!」



その男の素顔は正直言って酷い。元々の容姿はよかったのだろうがその顔の半分が焼け爛れていた。


かなりグロい。


蛇竜(ワイバーン)を解体したときは思わず嘔吐しそうだったがそれ以上に酷い。彼は何であんな酷いことになったのだろうか?



「何故こんな顔になっちまったか知りてぇか?」


顔に出ていたのだろうか?とりあえず聞いてみる事にする。


「……はい」

「くはっ、いいだろう。この顔はな……てめぇら地球人につけられたものだよ!」


……地球人、だって?


「くははっ!その顔じゃあ、知らねぇみていだなぁ!地球人が何をしたのかを!」

「しっ知りません」

「……良いことを教えてやろう。この世界はてめぇら地球人を酷く嫌ってるんだぜ?何故かってか?てめぇら地球人が馬鹿な事をするからだろ。例えば、地球にある一つの国の代表が闇森族(ダークエルフ)魔族(デーモン)岩族(ドワーフ)等に肌が黒い、褐色、青白いからと言って罵声を浴びせたり射殺しようとしていたんだぜ?またある国には森族(エルフ)獣族(ビースト)の女に強姦とかしてたんだよ!まあやった地球人(くそったれ)等は処刑されたがな。しかも全員その国の権力者、その子供だったりだ!それに加えて目を盗んでモンスターの密猟もしていたなぁ?そう言えば魔王様を殺害しようとしていた地球人もいたんだぜ?他にもこの世界を手に入れようとした国もいるんだ!知ってたか?あぁん?」

「そっそんな……」


まさか地球人がそんなことをしていたなんて。そう言えば最初地球人だと知った人達は何処か怯えた様だった。……そう言う事だったんだ。



「そして決定的になったのがある『兵器』だ。……わかるか?地球人」


『兵器』?地球の兵器なんてこの世界じゃ通用しない……。


「わかんねぇのかぁ!?ちっ、ヒントだ。てめぇら地球人が大きな戦争、確か『第二次世界大戦』だっけか?それを起こした時に使用した大量殺戮兵器、自然を破壊する兵器だ!」



『第二次世界大戦』……『兵器』……まさか!?



「どうやらわかったよあだな。そうだよ!てめぇらが作り出した『兵器』、『核兵器』のせいで俺の妻を!娘を!幼馴染みを!親友を!村の仲間達を!苦しめて殺しやがったんだよ!てめぇらが!?俺の大切な!大事な者達を奪ったんだよっ!?」




































いつもお読みいただいてありがとうございます!

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