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Chapter of Begine  作者: Tkayuki 冬至
異世界に迷いこんだ者達
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何が自分にできること

なんとかできましたー!



『悠、お前はまだGランクだ。この依頼には参加させることができない。だからこの街で待っててくれ』



ハクさんからはそう言われて僕は緊急クエストから外されてこの街でブラブラしている。それはそうだろう。こんな僕なんかが行っても足手まといにしかならない。


できることはこの場所でハクさん達が無事に帰ってくるようにと願うだけだ。


肩にはギン、腕の中にはバジリスクの卵を。傍らにはハクさんの召喚モンスターである狐のキュナさんだ。


キュナさんは護衛する騎士の様に付き添ってくれている。その頭には白い子猫モンスター、シロさんがふにゃふにゃと眠っていた。二匹とも美しくて可愛いい。ちなみにどちらも女の子だということだ。



人化するとかなり可愛いモンスターっ娘になるのではないかと思ってしまったのは秘密だ。



何故キュナさんとシロさんがいるかというとハクさんが何があるかわからないから僕に護衛をつけてくれたのだ。本当に頼もしい。


ふと僕は空を見上げる。


空は曇っていて青い景色は雲で覆われてしまいいつもより暗くなっている。朝からこんな感じだ。何となく嫌な予感がしてしまう。


既にハクさん達は緊急クエストを受けて各自、各クランに別れて討伐に向かっている。帰るのは何時になるかわからないが……。



ギルドの建物の上には陰陽師、ギルドマスターのメイレ・ベルターアさんが札を使い街に薄い幕のような結界を張り、加えて人形の形の札を5枚程を放すと小鳥に変化しハクさんが向かった方向に飛んでいった。



メイレさんは僕が見ているのをわかっていたのか、僕の方を向いて微笑むと横からギルド職員が現れ何かを話すとテレポートの様に姿が消えていった。



すりすり



横からキュナさんが僕の身体に擦り寄せていた。それは『安心して』と励ましてくれているようだった。


ギン達モンスターがいても大丈夫なのか思うかもしれないが契約モンスターだと判別できるように目印がある。


ギンであれば首にスカーフを。


キュナさんは両側の耳の間から後ろへ流れる人の髪の様な美しく長い毛にピンクのリボンで結われている。


シロさんは黒い首輪をつけており小さなプレートには『シロ』と書かれていた。


いつもは街中でモンスターと共に過ごしたり仕事をしたり戯れたりしているが今は騎士の様な人やギルド職員達が街の警護をしている。人々は緊急避難場所の冒険者ギルドにいるか店の中や建物の中に入って外出しないようにしていた。日本で例えるなら台風がきたという感じだろうか。


「……どうしようかな?」


ハクさん達が帰ってくるまですることが無い。なら自分にできることは……?


「孤児院に行ってみようかな?」


確かあそこも避難場所であったはずだ。それに広いし他の人もいるだろう。


「きゅい!」

「(……コクン)」

「にゃ!」


三人とも賛成なようだ。


僕はバジリスクの卵を抱えて少し小走りをしながら児寺院へと向かっていくのだった。



僕はこの時気づかなかった。





バジリスクの卵が微かに光輝いていたことを。





~~~~~





深い森林の中、ハク達は『グラトニークロコダイル』がいるであろう目的地へと向かっていた。


先頭にはハク、後方にはクレハが続いて走っていた。


「ディオン、反応はあるか?」

「うん、大分先だけど大きな反応があるよ。」


横からマグナが声をかける。


「で、見つけたらどうする?」

「即襲撃~?」

「それとも様子見~?」

「……とりあえず様子見だな。ギルマスが言ってた通り何者かがいるかもしれない。」


ギルドマスターが言っていた何者かが操り、何かを探しているのだ。おそらく『グラトニークロコダイル』だけの戦闘では終わらない可能性がある。先に襲撃してもいいが何が起こるかわからない。ハクはそう考えながら慎重に行動しようと考えていた。


「悠さんは大丈夫ですかね?」


ディオン、大狼形態の上に跨がっているミルは街に置いてきた悠の事が心配な様だ。


「今はキュナとシロが護衛をしている。それにギルド職員も悠には気にかけてくれているからな」

「というよりその気をかけているギルド職員は女性のみですよね。」

「仕方がないぞソフィア。あの悠の様な愛らしいショタっ子を見ていると何というか……母性本能が擽られるのだ!」

「それはクレハがショタコンだからです。」

「女性ギルド職員達もクレハさんの様でしたもんね」

「何を言っている!私はショタコンではない!可愛いを愛しているのだ!」


何故か堂々と宣言しているクレハに他の者達は軽く溜め息をついてしまうがこれがクレハという存在であるので別に彼女を否定しようとは思っていないのだった。


悠は女性ギルド職員から人気があるがそれ以上にハクも人気が高い。



余談ではあるが女性職員だけでなく街にいる一部の女性はあるファンクラブが結成されていたのだ。その名は『ハク×悠』という腐女子達が結成したものだ。男の娘であるハクとショタっ子の悠のやり取りを盗み聞きしてどちらが受けでどちらが攻めかという討論になっているらしい。今の所は攻めがハクで受けが悠ということとなっているらしい。当の本人達はその事を全く認知していないようだ。


わかると思うがそのファンクラブの会員にクレハは加入している。そしてその創設者は……。



突然ソフィアの横に飛んでいたアイズは何かを察知したのか全員に聞こえるように報告する。


「……皆様、この先に戦闘が起こっています!数は……『グラトニークロコダイル』と思われる大きな気配が一体、他に10の気配……おそらく先に行った冒険者達ですね」


アイズの報告に全員がさっきとはうってかわって気を引き締めた表情に変わる。



「仕方がない、俺達も応援に行くぞ!」























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