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Chapter of Begine  作者: Tkayuki 冬至
異世界に迷いこんだ者達
57/71

過去、目的、そして頼み事

なんとかー投稿できました!


説明が長いかも……(´д`|||)


夕食を終えて宿に戻った後、ハクは一人でギルドに向かって歩いていた。

日は既に落ちており、辺りはすっかり夜になっている。


町並みは夜であっても店はまだ開いている。理由は夜遅くに依頼を開始する者終えた者達や夜に活動する種族達が主に利用しているのだ。只大都会の様に光が強く無く、ほんわかとした光が通る人、訪れる人に優しく照してくれている。


「おぉ?そこの可愛い君、僕達と一緒に飲みに行かない?」

「いいだろぉ~」


何やら野郎共にナンパされてしまうが、ハクは美少女な容姿をしているが男なのだ。


「あ?」


そのドスの効いた声に野郎共は思わず腰を抜かして尻餅をついてしまう。


「お、おぃ!何やってんだお前ら!この人はSランクで美人だが男だぞ!」


偶々通りかかった冒険者の一人が慌てて説明する。それを聴いて二つの意味で驚いていたが野郎共は頭を下げると逃げていった。


「大丈夫か、『アルティリナ』のリーダーさん。Sランクだから大丈夫だとは思うが気を付けろよ?」

「ああ、すまないな……。」


冒険者達はそれだけを言うと去っていった。服装を見ると恐らく彼等はこれから依頼をしていくのだろう。


この町では『アルティリナ』は有名になっている。特にハクとマグナだろう。だが冒険者達にしてみればSランクと言えどまだ若いから彼等よりランクが低かろうとこうして彼等を守っているのだ。



そしてハクはギルドに到着する。中に入ると様々な冒険者達が依頼を見たり常備品を揃えていたり等依頼に向けて準備、受付で受注していた。


「あ、ハクさんですね」


そう声をかけてきたのはギルド職員のドラナだ。彼女の種族は妖族で吸血族(ヴァンパイヤ)。容姿は人族と変わり無く銀髪の長髪に真紅の目、スレンダーであるがその美しい線がその彼女の身体をよく現している。

吸血鬼と言えば人の血を吸うと言うのが地球人のイメージだが、確かに血は吸う。だが人を干からびる程ではなく一滴二滴程の雫程でいいのだ。そもそも血を吸わなくても問題は無い。吸血をする時は求愛行動であるということなのだ。


「トーカに会いに来たんだ。」

「そうなんですかっ!……まさか今夜がハクさんとトーカさんの初夜に……グヘヘヘヘ~」


……彼女は美人ではあるが地球で言う腐女子なのだ。別に悪い事ではないが、彼女の悪い癖で男同士二人がいるのを見れば完全に脳内が御花畑になってしまう。


「いや、マッサージを……」

「マッサージとか言いつ厭らしい手つきでトーカさんの大事な場所を弄んだ後に色々して発情させ快楽堕ちにさせるんだね!?そして『ハクのが欲しいのにゃ……』『トーカ、いくぞ……』『にゃっ!?いっ」

「そこまでだ馬鹿野郎!」


完全に暴走しかけた彼女の頭をハクがスパーンと叩いて撃沈させた。近くにいた闇森族(ダークエルフ)魔族(デーモン)のギルド職員が撃沈した吸血族の彼女を回収してこの事件は未遂で終わった。


「すまんな。変わりに私がトーカさんの場所へ案内しよう」


魔族の男性ギルド職員に着いていきトーカの場所へと向かうのであった。



~~~~~



「……んっ……ぁあ……ぃいっ……はぁ……んんっ!?」


ある一室の中、甘く少女の様な吐息が微かに響き渡る。


その部屋には二人の少女がいた。


ベットの上には一人の美少女が猫耳美少女に跨がっていた。そして……。


「……あっ……んっ……にゃぁんっ!」

「……冗談抜きでその変な声を出すな。さっきからうっとうしい。」

「にゃ~ぁ、こんな気持ちいい事されたら声を漏らしちゃうにゃ~。」

「たかがマッサージに何を言って……る!」

「にやぁ!!!」


マッサージしている背中に向かってハクは強めに押したのが痛かったのかトーカは身体を丸めながら悶絶していた。



「にゃっ今のは強すぎるにゃ!あとちょっと強かったにゃら今頃失神してたにゃよ!」

「……それは面白そうだ」

「にゃ!?何にゃその頬笑みは!」


無言で頬笑むハクにトーカは涙目になってうるうるしてしまう。だが元からそんな事をする気が無かったハクはトーカの今の表情を見て笑ってしまう。


「あはは、冗談だよ。」

「にゃは……?」


トーカは笑ったハクに呆気を取られたように呆けていたが暫くするとホッ、とした表情に変化する。


「……。」

「ん、どうした?」

「……やっと、笑える様ににゃんたんにゃね。」

「……。」

「『あの時』は仏頂面な表情で誰も近寄りがたかったにゃよ。それに、とても暗かったにゃね。……あれからここまで笑える様ににゃったことが嬉しいにゃ。」

「……。」


ハクはさっきの表情に打って変わって俯いてしまう。


「『あの時』のハクに何かあったのか調べたにゃよ。」

「おい、冗談は……」

「ティーネ・キャルネート」

「っ!?」


トーカが出した名前にハクはマッサージの手を止めてしまう。トーカはうつ伏せに寝ていて表情は見えないがハクが動揺している事は直ぐにわかった。


トーカは起き上がるとハクを見て更に話を続ける。


「やはり元婚約者にゃった女の事は忘れられないみたいにゃね。……数年前、あるダンジョンの洞窟で3つのクランがある調査の調為に潜っていたにゃ。内容はそのダンジョンは難易度が低いダンジョンにゃったけどその時から強力的なモンスター達の目撃例が多かったからにゃ。その調査に行ったクランが『ロットテスタ』『バルノニム』『ボルティムト』にゃ。その3つのクランメンバーのランクは大体BかCランクにゃった。でも『ボルティムト』にはその3つのクランの中で最小年齢でありながら最高ランクのAランク冒険者がいたにゃけど、その調査で消息不明ににゃったのにゃ。いきなりダンジョン内が崩れてそのAランク冒険者は同じクランで婚約者の女性を庇って地下へと落ちていった。ギルドはAランク冒険者を捜索するために崩れたダンジョンの中に行くと、更に巨大なダンジョンがあったのにゃ。その深さは測定できず確認できただけでも40階層であり専門家は80階層はあると言ってたらしいにゃ。半年の捜索は何の成果も無く打ち切られ皆はその冒険者は亡くなったとされたのにゃ……。にゃけど、その消息不明の冒険者のギルドカードが使用されている事がわかったのにゃよ。」

「……。」

「……ハクにゃね?その消息不明になっていた冒険者というのは。」

「根拠は?」

「わかってるにゃろ?ギルドカードの使用履歴にそのギルド支部にも確認したにゃよ。しっかりとハク・ウェードと記されていたにゃ。」

「まさか、ティーネに……」

「にゃぁ、言ってにゃいよ。もちろんそのクランもにゃ。」

「そうか……。」


ハクは安心した様な表情をするがそれを見てトーカは不機嫌な様になる。


「……そのティーネって女の事、今でも好きにゃんか?」

「それは……。」

「人それぞれだと思うにゃけど、愛する婚約者が消息不明になって数ヶ月後に他の男と結婚するにゃんてどう思う?」


その言葉にハクは苦痛の表情を浮かべ、目を逸らしてしまう。


「ハク、お前の婚約者は本当に愛していたのかにゃ?そんな次から次に乗り換える女に騙されていたのかにゃいか?」

「トーカ……っ」

「噂を聴くにお前とティーネは相思相愛だったと聞いてるにゃ。それなのに愛する者を失って数ヶ月で結婚するにゃ?それにその婚約者と結婚した相手を知ってるかにゃ?その相手はーーー」

「『ボルティムト』のリーダー、ジャス・ストーメン……。」

「知ってにゃんか。なら

何で迎えに行かなかったにゃか?」

「もう、どうすることもできなかったんだよっ!!!」


思わず声を荒上げる。いつの間にか彼の目から涙が溢れだし頬を伝ってベットの布団にひたひたと雫が落ちていく。


「俺は、あのダンジョンに落ちて何度も死にそうになったっ!でも!ティーネが待ってくれてると信じて何とか生きてダンジョンを突破したんだ!外に出てみれば、一年が経ってた。そりゃ150階層ならそれ位経つだろう!俺はっ……やっと……ティーネに、会えると……思って、戻ったら……二人は……仲良く暮らしてて……それに、二人には……ティーネが……妊娠してて……」


ハクは嗚咽を漏らしながらトーカが見たことがない悲痛の表情をしていた。


「俺には……あんな……幸せそうな……今の環境を……壊したく、無かった。だから!」

「だから自分の心を犠牲にした……かにゃ?……馬鹿かお前は。てめぇ自身自信を騙して心がそこまで切羽つまってんのに他の奴等を守れるにゃか?只で自分の兄を探してるんにゃろ?それにクランのリーダーにゃ。ほんと馬鹿にゃろ。……悪い事は言わにゃい。そのティーネ・キャルネートの事は綺麗さっぱり忘れろ!……それにまだこれからも出会いがあるはずだにゃ。ほら、涙を拭くにゃ!今のハクには守りたい者があるにゃろ?」


トーカはハクの目から溢れていた涙を持っていたハンカチで拭わせる。


「……あぁ。ありがとう、トーカ。」

「いいにゃよ~。……あと、マグナの事は知ってるにゃね?」

「あぁ。確かマグナの父親が行方不明になったって……。」


マグナの事情はクランの中でもハクしか知らない。


ある時、マグナの父親が行方不明になったのだ。只行方不明になった訳ではなく何者かが町を襲った時に同時に起こった事なのだ。母と弟妹は無事であった。しかしいくら探しても父は見つからない。残っていたのは父愛用のメリケンサックのみだった。恐らく誘拐されたのが妥当だろう。

マグナが言うには父親はSSランクに遜色無いSランク上位冒険者の実力者らしい。マグナは父親を探す為に旅をしているのだ。


「マグナも調べているみたいにゃが手懸り一つにゃいにゃろね。にゃが……」

「何かあったのか?」

「にゃぁ。これはさっき調べて知ったんにゃが……ここ最近行方不明者が多いらしいにゃ。種族、性別、年齢、その他がバラバラでにゃ。……マグナにも伝えておいてにゃ。明日その資料は集めておくからにゃ。明日にギルドへ来る事も伝えて欲しいにゃよ。」

「了解した。」


ハクはそう言うとベットから降り、宿へと帰ろうとするがトーカがそこで待ったをかける。


「にゃぁ。最後に天城悠の事、ギルドマスターに伝えたのにゃ。」

「そうか。で、どうだったんだ?」

「……ハク、悠を『アルティリナ』に入れて欲しいにゃよ。」

「何故だ、日本に返さないのか?」

「今の状況で返せるかにゃ?彼は魔力を使える様にはにゃったが制御はできていない。しかもテイマーにゃよ?そんな彼を地球に返した後に何かあれば一大事にゃ。だからと言って見ず知らずの人に預けるよりか心を許したハク達に任せた方がいいと上は判断したにゃよ。……それに一部の国にゃ地球人を酷く恨んでいる輩達もいることにゃしな。だからって地球人を殺める事はしない、と思うにゃけど。」

「……どうだろうな」

「頼めるかにゃ?」


ハクは少し考えた後、その案を了承した。しかし、あくまで彼の意思を聞いてからだが。



「それにしてもハクは昇格試験を受けないのかにゃ?多分SSランクは受かると思うにゃけど……。」

「まだまだだよ、俺は。」

「そうかにゃ」

「……その……トーカ、ありがと……」

「にゃ?どうしたにゃか?」

「いっいや、俺が泣いた……時に叱って……慰めてくれて……少し気持ちが楽になったから……だから、ありがと……」


ハクは自分の感情が高まって泣いてしまった事を思い出して恥ずかしそうに頬を染めていた。


その様子は男女問わず勘違いしてしまう程に胸がときめいてしまうだろう。だがハク自身それは単なる恥ずかしさだけだ。


それだけを言うとハクはギルドを後にし宿へと帰っていった。




「(今のは反則にゃ~。ハクが女にゃったらここで襲ってたにゃよ……。はぁ、僕も出会いが欲しいにゃ……。)」









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