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Chapter of Begine  作者: Tkayuki 冬至
異世界に迷いこんだ者達
53/71

『魔剣カラドボルグ』

今回は神埼桜花の話、視点です。




最後はもう登場しないであろう人物の視点となります!



木々が生い茂る森の深淵の中、そこに突如として大きな結晶が存在していた。


美しく白いが中はよく見えない。モンスター達は気味悪がって近づこうともすなかった。


暫くすると卵から孵化するように結晶は粉々に砕け散る。


そしてその砕け散った結晶から一人の人物が現れる。


その人物は地面に落ちる前に気が付き、倒れずに済んだ。


「……何だ、ここは?」


一人の異世界人(にほんじん)がその世界に迷い混んだのだ。



~~~~~



「ここは、森か。これじゃあ、転生じゃなくて転移だろ……」


神埼桜花、29才独身。……只今異世界に来ちゃいましたー。


てか、ここは本当に何処だ!?


木や草も地球では見たことは無い。てかデカ過ぎだろ!


「……どうすりゃいいんだ?」


いきなり詰んだそ、創造神さん。


俺は何となくその場を歩いてみた。


それがいけなかったんだ。森には草木だけではないことを。



ーーーグルルルルゥ……。



「ベンガルトラ……より一回りでけぇ……何だあいつは!?」


そう、ドでかい虎が唸り声をあげながら睨みつけていたのだ。おぉぅ、やべぇな。若い頃は熊や虎に襲われた事があったが蹴散らしていた、が俺も年だ。かなり力も衰えているから……うん、喰われるな、これ。


ーーーグガガァァア!


デカ虎が咆哮をあげる。あちらさんはヤル気満々か。……やるしかねぇか。


デカ虎は格下と思ってか真正面から襲い掛かってきたが、俺はシンプルに正拳を撃ち込んだ。……すると。



ーーーギャンッ!?



見事にデカ虎は面白い様にぶっ飛び、太い木に叩きつけられ地面に落ちてしまう。


あ、痙攣して……止まった。


「……は?」


いや、いやいやいや!何か倒したぞ、俺!え、何で!?


……そう言えば目線が少し低いし、身体も全盛期の様に身体が軽いし動きやすい。


……まさか。



俺はまず水があるところを探すが意外と近くに湖が存在していた。


そして俺は恐る恐るその湖へと覗き込むと……。



「若返ってる……。」


大体10代後半位だろうか。


そう言えば創造神さんが若返えるとか何とか言ってたな。本当に若返るとはな。にしても俺の全盛期の実力がこの世界でも通用するとはな。


よし、この森を探索してみよう!



~~~~~



はい、桜花です。さっそく心が折れてしまいそうです。


何だよ、ここは!


周りを見ても壁、壁、木、壁、壁、通路、壁、木、壁、壁、通路、草、壁、壁、壁……。



何でそんな所にいるのかって?……森を探索していると大きな洞穴があったから入ってみたんだ。そこには迷宮みたいだったのだが……まあ、 好奇心を擽られて更に奥に入ってしまったのだ。中のモンスターはデカイ蝙蝠や蛇、大蜥蜴等がいたが、相手が仕掛ける前に脳天を正拳で沈めた。何度かヤバかったが……何とかなるもんだな。


階段とかあったがさっきから下りしかない。もう何回かも分かっていない状況だ。ぶっちゃけ数えるのがめんどくなってきた。


「……早く出たい」


それに何時間経ってるかも分かっていない。……一週間は経っているだろう。食料はモンスターの肉を焼いて食べるか木の実を食べて凌いでいる。


毒が無いかって?


そこは大丈夫。


腕などの皮膚が弱い部分でパッチテストに味見、一口食べて暫く様子を見て確認している。


モンスターの肉は意外と美味い。特に大蜥蜴のな。木の実は結構微毒があるものが多かったが下の階層に行くほど毒が無いやつが現れている。


さて、只今俺はドでかい扉の前に仁王立ちをしていた。


開くべきか、開かざるべきか……。


「テンプレがあったらいいな……」


……わかってる。そんな事が本当に起こる訳無いと。いや、一度起こったな。


「期待しても、いいのか?」


今更だがここはダンジョン迷宮だ。そしてこの扉の奥はボス部屋だということだ。もしかすると、これが単なる通過点かもしれない……だったら凹むな。



まあいい。



「行くか!」


多分この部屋にはヤバい奴がいるだろう。だが……それを考えると何も始まらない!


俺はそのドでかい扉を開けてその奥へと進んでいった……。



~~~~~



漆黒の大きな広い空間、そいつはそこにいた。


黒い甲冑に身に包まれた剣士が。


その騎士はかなりの実力者だと勘でわかる。



その黒騎士は剣を前に掲げている。試合を始める前の礼だろうか。


剣を降ろすと俺に向かってこう言った。


「初めまして、地球の者よ。我はこのダンジョンの主であり、魔剣の守護者なり。」


やっぱりダンジョンだったか。それに魔剣だと?


「魔剣って……あの?」

「いかにも!超自然的な現象を起こしうる魔の剣だ!お主も魔剣を求めていたのだろう?」

「……いや、いらん」

「なぬっ!?」


何か黒騎士驚いてるな。……だって魔剣って何か怖そうじゃん?何か血を寄越せー!とか力を使う度に命を削られるとかそんなんだろ?


「……まさか、魔剣に対して毛嫌いしているのか?」

「あぁ」

「何と……!まあ、地球の者ならそう考えているのが普通、なのか?……まあいい。お主は勘違いしているらしいが、別に魔剣も聖剣も同じ様なものだ。それに何かを対価にすることは無い。」

「そうか……ん?アンタ、俺が地球人だってわかるのか!?」

「わかるぞ、我も地球の者だったからな!」


マジかよ!黒騎士も同郷だった!


「我の事はどうでもよい。さあ、地球の者よ。戦おうかっ!」



そして俺と黒騎士の戦いの火蓋が切られたのだった。



~~~~~



ぶっちゃけ言おう。


めっさ強い!


何とか避けてはいるが黒騎士の攻撃は多様で避けても更にキツイ攻め方をしてくる。あ~、うっとい!!


「避けてばっかりでよいのか?」

「ちっ!?」


本当この黒騎士(おっさん)鬱陶しいなっ!?徐々に確実に殺してきてる!


「さぁ、詰めだ!」


黒騎士(おっさん)は黒の剣を俺の額に向かって突き刺そうとしてきた。


だが、俺はその黒い剣、刃が無く平な部分を軌道を反らす様に右拳で殴り付けた。


「むっ!?」

「らぁっ!!!」


それはすかさず剣を持っている腕に目掛け全力で下から上へ、アッパーを放った。


「ほぅっ!?」

「これで、詰めだぁ!!!」


黒騎士の持った黒の剣を手から手放し、がら空きになった所を俺は顔面に向かって正拳を放ったのだった。



~~~~~



「……見事だ。しかし、何故止めを刺さない?」

「……。」


俺の拳は黒騎士の目の前スレスレで止まっていた。


「……何となくわかる。お主は力はあり、喧嘩もしたことだろうが……相手の、人の命を奪った事はないな?」

「……あぁ、そうだよ。アンタも何でこの状況で反撃しないんだ?」

「……さぁ、な。」


暫くの静寂の後、俺は静かに拳を収め、黒騎士はその場でじっとしていた。


「……地球の者よ、お主の名は?」

「桜花、神埼桜花だ。」

「桜花か……。うむ、桜花よ、この戦いは我の敗けだ。さあ、我を殺せ」

「なっ!?」


俺は……この黒騎士(おっさん)を殺さなくちゃいけないのか!?


「……安心しろ、桜花よ。我はこの通り……」


黒騎士は自分の顔に覆われた兜を取り外した。



その兜の下には、肉一つ無い骸骨だったのだ。



「我は既に死んでいるのだから」


だが、俺はこの黒騎士(おっさん)を殺す気にはなれない。そしてそれ以上に……。


「何で、本気を出さなかった!」


「わかっておったか……桜花よ、このダンジョンは土地の関係か殆ど入る人が圧倒的に少ないのだ。それに我は……長い、長い間、この場所にいたのだ。だが、誰一人この場に来る事は無かったがな……。桜花、お主に……お主になら我のかつての相棒を託したいと思ったのだ!」

「……くれるのか?魔剣を」


黒騎士は黙って頷く。……まあ、貰える物は貰っておこうか。


「魔剣はこの少し先の祭壇に祀られてある。……我に付いてこい。」



俺は黒騎士に言われるがままについていく。


祭壇には一つの剣が刺さっている。その存在感は半端無い。あれが魔剣なのだろう。


「……そう言えばお主、その格好以外に何か無いのか?」


……あ、そうだった。若返ってもスーツ姿だった。よくもまあスーツだけでここまでこれたな!


「まあよい……さあ、桜花よ!その魔剣を手に握るのだ!」

「お、おぅ」


俺は少しびびりながら魔剣の柄を握るとその魔剣から汚れが落ちる様に魔剣と呼ぶには惜しい程の綺麗な剣と変化したのだ。色は漆黒で、形は槍の様に鋭いが剣としても充分魅力的だ。見ても分かるがこの魔剣は強固ではあるが逆に軽そうにも見える。


すると俺の足元が激しく光輝いた。


「なっ!?黒騎士(おっさん)!!!」

「……魔剣に認められたのだ。桜花よ、これをお前に渡そう!」


黒騎士は漆黒のコートを俺に投げつけてきた。そのコートは俺の肩に引っ掛かる。


「おぃ!これはっ!?」

「桜花よ!お主はこのダンジョン、我のダンジョンを攻略したのだ!このダンジョンは特別でな、一度攻略されると破壊され、崩れてしまうのだ。」

「それって!」

「そうだ、我もこの場で永遠の眠りにつく。そしてお前の足元に光輝く魔方陣は転移魔法だ。このダンジョンの入口前に出るだろう。そして!」


黒騎士は俺が握っている魔剣を指差した。


「その魔剣はかつて我の相棒、その名を『魔剣カラドボルグ』!お主なら、その魔剣を我以上に使いこなせるだろう……」


そして魔方陣は白く包み込むのと同時に俺の意識を手放してしまったのだったのだ。




~~~~~






「……桜花、か。あやつを見ているとあの息子を思い出す……。あの世にいる仲間達と……」






~~~~~








「お~い、親父!」


何だ……?


「何やってんだよ、親父。」


……お前は!


「そうだせ、親父。皆待ってたんだぜ?さあ親父、俺達の話を聞いてくれよ!」


……あぁ、聞かせておくれ……お前達の……これまでの話を……。


「あったり前だ!親父も何かあるだろ?それも話してくれよな!」

「ロイの話か!面白そうじゃねぇか!」

「ほら、久々に俺達で酒を飲みながら話し合おうぜ!」


あぁ!……じゃあ、聞いてくれ、俺の話を……。








さぁ、この後何書こうかな?

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