少しずつ確実に回り始める「双子世界の物語」
投稿遅れてすみません!!!
「ふぅ、ここら辺ですかね?」
緑広がる大自然の中、その丘の上でサツキと右肩にライム、右手にはデュランダルを持ちその場で立ち止まっていた。
『Heyサツキ、一体何をするんデスカ?』
「迷子になってしまったので迎えに来てもらうんですよ」
『(Oh……さっきから同じ場所をグルグルと辿っていると思っていましたガ、まさか迷子だったとは)』
「さあ、私達の居場所を知らせましょうか」
デュランダルをライムの触手で持ってもらい、サツキは三味線を響かせるとそのいる地面から直径3メートルの魔方陣が現れる。その魔方陣は特に何をするわけでもなく、発光していただけだ。
『(ホント、何をしてるんデス?)』
デュランダルが不思議そうにしている中、サツキは魔方陣の中央にいた。1分も経たない内に彼女は発光する魔方陣を消してしまう。
「……来ましたね」
『何がデス?』
「迎えに来たんですよ。ほら、あそこに!」
示す青空の上空には黒い何がある。最初は小さくて点にしか見えなかったが徐々にそれは大きくなっていった。
その姿は龍、又はドラゴン。頭から足まで漆黒の黒、爪や角は黒くも輝きを持つ綺麗な色だ。大きさは約4メートルはあるだろうか。降り立った様は龍、ドラゴンの中でも最高位の存在だと一目でわかるほど勇ましく、そして凛々しい。青と金色の混ざった様な二つの眼をサツキに向けられる。
『サツキ、やっと見つけたぞ?』
「迎えに来てくれてありがとうございます、バハムート。」
バハムートと言えば神話等で登場する怪物だ。一部では巨大な魚では?と思われるかもしれないがバハムート自身その巨大な魚の時はあった。
太古の昔に暴れていたりしていたのだがある導師に戒めとして巨大魚に変えてしまう。しかし長い年月を経て戒めが解かれ本来の龍の姿に戻ったのだ。
バハムートの背中から一人の人物が舞い降りた。赤銅色の長いにスカイブルーの瞳、そして黒のスーツの上に黒いコートを身に纏った超美青年……ではなく女性だ。
「相変わらず方向音痴だな、サツキ」
「アジュリカさん、お迎えに頂きありがとうございます」
「構わないさ。オルゴート教会の司教殿?」
「あはは……。教皇様、怒ってました?」
少し怯えた表情を浮かべるサツキだがアジュリカは顔を左右に振った。
「セイラ様は別に怒ってはいないさ。君が彼女の墓参りをしているのは知っていたみたいだからな。だが次からは一言告げてから行って欲しい。あといい加減部下の一人連れていけ、とおっしゃっていたぞ?」
「……まさか、知っていたとは」
驚いた表情をするがアジュリカは苦笑いしながら付け加える。
「まあ、大元帥とチェスをしながら言ってたからな」
「大元帥……シキ・ゲンリュウ様ですよね。本当にあのお二方は仲が良いですね」
「シルヴィニア軍大元帥で『大戦の覇帝』の異名を持つシキ・ゲンリュウにオルゴート教会の教皇で『大戦の女神』の異名を持つセイラ・アルフォーヌ様は昔からの親友だからな。あれだけ長い年月が経ってもあれだけ仲が良いのは羨ましいな」
「そうですね」
二人は遊戯をしている二人の上司の光景を想像しながら微笑むがアジュリカはライムとデュランダルの事を尋ねる。
「どうしたんだ、その……トランススライムと、聖剣は?」
「この子はライム。この聖剣はデュランダル。彼女等は私の親友が眠る地で出会いました……」
サツキはこれまでの経緯を教えるのだが、ハクが右腕を切断された事にアジュリカの表情が無に変わる。だが右腕を治した事と無理矢理デュランダルを使用した相手は解放されたデュランダルによって報いを受けたことを聞くと安心した様に息をついた。
「ありがとう、サツキ」
「いえ、まさかあのハクがアジュリカさんの息子さんだったとは知りませんでした!」
『申し訳ないデス。幾ら無理矢理使われていたとはいえ斬ってしまったのはミーなのデス。ミーは色んな人やモンスターを斬ってきましたが、ミーの意識以外で誰かに使われて斬る事は聖剣として屈辱的でシタ。ですが貴女の息子に助けられて今があると思うのデス。だから……』
「デュランダル、君が気に病む事は無い。ハクが無事ならそれでいいさ。……ところで君はこれからどうするんだ?」
『これからデスカ……。主を探そうと思っているのデスガ』
「そうか、なら私がその手伝いをしよう」
アジュリカは徐にデュランダルを手に持った瞬間に激しい光が輝き出した。デュランダルの形は更に鋭く破壊力のある姿へと変化したのだ。
「これは……?」
『……タ……』
「タ?」
デュランダルは更に姿を変えるがその姿は剣でも無く、武器でもない。
デュランダルは可愛らしい少女に変身したのだ。
黄色と青のが交互になったさらさらな長い髪に目は髪と同じで黄色と青のオッドアイ。白いドレスを着ていてそこから出ている手足は白く綺麗だ。顔も絶世の美少女と言っても良い程愛らしく可愛い。その少女になったデュランダルはアジュリカに抱きついた。
「主様!!!」
「「はっ!?」」
二人は呆気に取られたもののアジュリカは抱きついたデュランダルを優しく受け止めていた。
「デュランダル……だよな?何だその姿は?」
美少女デュランダルは顔を紅潮しながらも目を輝かせてアジュリカを直視した。
「ミーは『聖剣』から『神聖剣』に昇格したのデスヨ!!!」
「どういうことだ?」
「さあ?」
アジュリカとサツキは理解が出来ない中、眠っていたバハムートの頭から一体の白い小さな龍がやってきた。
「おそらくそのデュランダルはアジュリカの魔力を無意識に吸収して新たな高みに到達したのだろう」
「クラドか起きていたか」
クラドは何故今までバハムートの背に居たのかは、サツキの元へと向かう道中にアジュリカにナデナデしてもらった結果、余りにも気持ちが良すぎて眠っていたのだ。
「主様、ミーの主になって欲しいデス!お願いしマス!!!」
アジュリカは殆ど素手で戦うのだが武器も使えるし持っている。しかし彼女デュランダルは土下座までしていたのだ。それに断る理由もない。
「わかった。私で良ければデュランダルの主になるよ」
「ありがとうデス!愛してマース!!!」
デュランダルは正面からアジュリカに抱き付き涙を浮かべながら喜んでいた。
アジュリカはデュランダルを受け止めて頭を撫でながらバハムートにサツキを乗せた後、最後にデュランダルとクラドと共に飛び乗る。
「さあ、シルヴィニアに戻ろうか!」
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ある山の山頂に一つの影と複数の影が対峙していた。
一つの影は忍者の様な服装で身に纏っており顔はよく見えない。性別も中性的でどちらとも言えないが、どちらかと言うと背も小さく華奢なので女、少女だと思うだろうか。片手にはその忍者の背より長く大きな灰色の大剣が握られていた。その大剣から刀身から幾つもの刃が生えており一つの一つの刃が血肉を抉るようで一度刺されれば上手く抜くことは難しいだろう。
一方複数の影は黒いローブで身に纏っているが何かの組織の者だとわかるだろう。その者達はどれも大した者ではない。全員が傷ついて腕を押さえたり地に膝を着けたりと忍者の者にやられたのだろう。
忍者の後ろには茶色い四足の龍が存在していた。茶色い龍は背中からは左右に前から大中小の角が飛び出ていた。
「……これ以上敵対するなら……葬る」
忍者から8つの鎖が生きている様に現れる。尖端は鋭く尖っており普通の盾をも貫く程だ。
黒いローブ達の一人が忍者に向かって剣で攻撃しようと駆けようとするがその行動は封じられてしまう。
忍者が生み出した鎖によって。
「……重力鎖」
鎖に拘束された黒いローブの者は凄まじい重力によって地面に叩きつけられて気絶してしまう。
「……やるの?」
さらに鎖を黒いローブ達に向かって尖端が向かれるが懐から転移結晶を取り出して気絶した者を含めて離脱していった。
「すまねぇな、助けてくれて」
「……構わない」
忍者が持っていた大剣が光ると一体の針鼠に変化する。その光景を見て茶色い龍は驚いた表情をしていた。
「おぉ!聖獣じゃねぇか!」
その大声に驚いた針鼠の聖獣は慌てて忍者の服の中に隠れてしまう。
「……この子……キュン。……臆病……さっきの大声……驚いて隠れた」
「す、すまねぇな」
「いい。……キュン……自己紹介」
忍者の服から顔を出した針鼠の聖獣は怯えた様に茶色い龍に自身の名を伝えらる。
「はっはじめまして、きっキュン……です。」
「俺はグラチアムだ。さっきは助けてくれてありがとな!で、忍者のお前の名は?」
「……カズキ。カズキ・アキサ。」
物語の歯車は 少し、少しずつ、動き始める。
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かつて、宇宙に双子の姉弟が産まれた。姉の名はオルティニア、弟の名はアース。二人は互いに愛し合い夫婦となりやがて一人の子が産まれ幸せに暮らしていた。
しかし、ある不幸が起こってしまう。その不幸のせいでオルティニアがその影響でアースが命を落としてしまう。その二つの世界を任されたのはその二人の子だった。
「さぁ、どうなるんだろうね?僕の父と母の世界はどうなっていくんだろうか。どう変化し、どう生まれ消滅するんだろうか。それはーーー」
「創造神様っ!!地球に召喚魔法が発生しある日本の中学生等数十名がオルティニアに召喚されました!!!」
「……ホント、退屈しないよ。この双子世界の物語は……」
これでこの章は終わりです。
新章の前にこれまでの登場人物等のステータスを投稿したいと思っています。