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Chapter of Begine  作者: Tkayuki 冬至
七天龍、緑剛龍ノ章
41/71

おぉ、ハクよ。倒れてしまうとは情けない

何とか投稿できました!



『やあ、ハク』

「あぁ、クトゥリナか」


白い世界の中、ハクの目の前にはクトゥリナがニコニコとした笑顔で喜んでいた。クトゥリナの服装は白いワンピースに髪型はツインテールをしているため余計に美少女らしくなっていた。他者から見てみれば二人共美形で瓜二つなのでハクも女装すれば良い勝負になるだろう。


『よく頑張ってくれたね!』


クトゥリナは抱きつくとそのまま顔をハクの顔に近づけていく。クトゥリナは男でありながらハク同様美少女しか見えない。加えてワンピースから見える白く細い華奢な手足が艶かしく見えてしまう。男だと言わなければ一目で惚れ墜ちる者は多いだろう。


一方ハクは冷めた表情でクトゥリナを見ていた。

そして、冷静に。


クトゥリナを背負い投げで下に叩き落とした。


『ギャンッ!?』


投げられた途中に上手く逃げようとしたが失敗してしまい尻餅をついてしまったクトゥリナだった。


『酷いよぉ~』

「用件は?」


渋々立ち上がろうとするクトゥリナだったが何かを思い出したかなの様な仕草をすると座ったままハクに向けて両腕を伸ばし、両手を出した。


『立たせて?』


甘えた口調と表情は男女問わず見惚れてしまいそうだが、クトゥリナ自身ハクに殴られるだろうなと思っていた。


「……ほら、」

『(あ、あれ~?)』


意外にもハクは両手を伸ばしたクトゥリナの両脇を掴んで立ち上がらせたのだ。


「で、用件は?」

『(うぅ……びっくりした……)えっと、前に言ってたもう一つの頼み事なんだけどね』


クトゥリナは少し頬を赤く染めてはいたが一度咳払いをすると真剣な表情に変わる。


『緑剛龍ヘルクガム以外に、青水龍アクアリウス・紫毒龍ポルクト・茶土龍グラチアム・黒闇龍ネダミア・金光龍サラアス・銀氷龍フギナラがいるんだけど、その彼等が今どうしているか調べてほしいんだよ。ヘルちゃんを捕らえようとした奴等がいるからね……嫌な予感がするんだ』


ハクはふとミルが言っていた事を思い出し、尋ねる。


「クトゥ、その七体の龍を集めると何かが起こるのか?」

『いや、何も起きないよ』


その言葉に安堵するがただ、とクトゥリナは忠告する。


『彼等を全ての力は強大だよ。それを避けた方がいいと思う。……で、僕の頼みを受けてくれない?本当は後世とは言え、無関係な君を巻き込んでしまうんだけど……』


不安な表情を見せるクトゥリナだがその表情を見てハクははぁ、と溜め息をすると彼の頭を優しく撫でていた。


「受けるさ」

『あ、ありがと~!』


ハクの言葉にクトゥリナは感激し思わず涙を浮かべてしまう。


「だが、俺は龍達の居場所は一切知らないんだが……」

『そうだね。ちょっと待ってて!』


クトゥリナは両目を閉じると瞑想を行うと同時に身体の表面が白く輝いていた。それはまるで天女が降臨した様な風貌だ。

輝きが収まると目を開け龍の居場所を伝える。


『分かるのは青水龍アクアリウスだね。居場所はここから北東にいるみたいだね。』

「北東か……。確かマリヴィーンか。」


マリヴィーンとは海に面している都市であり漁業が栄える都市の一つだ。ハク自身行ったことは無いが魚料理が逸品だと言われている。


『他の龍達の居場所は分からないね。遠い場所にいるからだろう。次に龍を探すならアクアリウスに教えてもらうといいね。わかるはずだから』

「わかった。」


徐々に白い世界が霧の様に消えていく。そろそろ目覚める頃なのだろう。


「じゃぁ、そろそろ……」

『待って、ハク!』


クトゥリナはハクを呼び止めるとしっかりと声が届くように恋人同士がキスするほどの距離で顔が近づいていた。


「なっなんだ?」

『僕、クトゥリナの事は絶対に他人には教えないで。例え君の大切な仲間でもね』


そう言い残すとハクはこの白い世界から消えていった。



『七体の龍を集めても何も起こらない。それ以外にも必要な存在が居てこそ何かが起こるんだよ。その存在を教えることはハク、君でも教える事は出来ないんだ。』



~~~~~




「うっ……うん?」


ハクは目を開けるとまず最初に右手に何かを感じていた。とりあえず状況を確認すると何処かの部屋のベットの上で眠っているらしい。

上半身を起き上がらせると右手に誰かが繋いでいた。


「ソフィア?」

「……すぅ……すぅ……」


右手にはソフィアが恋人繋ぎの様に手を繋いでいた。服は動きやすい服装で髪も乱れている。

ソフィアの頭の上にはアイズ。ハクの股の間にはディオンが眠っていた。


「……ハク……」


よく見るとソフィアの目元には涙の痕が残っている。

ハクは思い出した。自分の右腕が切断されていた事に。だが今は少し重いように感じるがその右腕はしっかりくっついていた。


ガチャ……


誰かが部屋に入ってくる。

茶髪の美少年、マグナだ。


「おぉ、ハクよ。倒れてしまうとは情けない」

「……。」

「冗談だ。一度言ってみたかったんだよ」


とりあえずハクとマグナは倒れた後の事を説明してもらった。


リーダー達は転移結晶で姿を消したこと。

ヘルクガムは新たな主を探す為に何処かへ行ったこと。

右腕はサツキが治したこと。

ライムは生きていてデュランダルと共にサツキと何処かへ行ってしまったこと。

今いるこの部屋はゴーンさんの部屋で他の者達も此処に泊まっているということ。


するとマグナはハクにあることを伝える。



「なぁ、ハク。俺達5人でクランを作らねえか?」


クランというのは冒険者の中で活動する組織的なものだ。クランを作るには最低4人が必要でそれ以下はパーティーと称される。誰でも作れる訳ではなくBランク以上の冒険者から設立することができる。一部のクランでは都市に定住しそこで活動する者達も存在しているのだ。



「クランか、いいぞ」

「じゃぁ、名前はどうする?」

「それは後でもいいだろう?」

「ま、そうだな。ちなみに次の目的地とか決まってるのか?」

「あぁ、マリヴィーンだ。」






次でこの章は終わります。



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