今となっては良い経験
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ハク視点です。
それではどうぞ!
辺りはすっかり暗くなりその中で明かりがあるのは夜空に見える二つの惑星に散りばめられた星々、そして焚き火の火だけだ。
二つの惑星の名前は白く輝いているのが天星エルヴェンム、黒く輝いているのが魔星デルスマーアと呼ばれている惑星だ。もちろんその二つの惑星にはこの世界と同じ様に人やモンスターが住んでいる。どちらも行ったことはあるがどちらも自然豊かで良いところだ。特徴と言えば天星は空中都市が圧倒的に多く、魔星は自然が多いことだろうか。天星の生活は洋風で魔星は和風の生活をしているな。
閑話休題。
俺達は夕食を食べている。クレハさんはテントの中で眠っている。マグナが作ったのはシチューなのだが美味しい。野宿でこれ程美味な料理を食べれるとは思っていなかった。召喚したモンスター達も喜んで食べている。多尾狐のキュナと白守猫のシロ・ユキ・セツ、スライムのアクアも聖獣達と仲良くしている様だ。彼らは交代交代でクレハの様子を見に行っている。特に何も言っていないが気が利く優しい子達だ。
「マグナさんの料理美味しいです!それにハクさんのマフィンも甘くて美味しい!…あ、実は…これ、作ったんですよ。良かったら食べてください!」
ミルが出した鍋の中には…おでんがグツグツと煮ていた。…とりあえず、だ。
「いつの間に作ったんだ?」
というか全く作っている素振りは無かったんだが…。
「おでんを作るのは大得意なんですよー!さ、食べてください!」
俺はそのおでんの中から大根を取ってひと口食べる。…美味い。大根におでんの中にある具材の出汁がよく染みていて口の中に入れるとほろほろと柔らく…熱い!だが美味い!
「美味しいですね」
「確かおでんって地球の世界の食べ物だよな?どうやって作り方を知ったんだ?」
「旅の中である都市で地球の人が営業している旅館で教えてもらったんです!旅館の女将なんですけど、日本の方でしたよ」
日本か…。
一度行ってみたいとは思っている。
亡くなった父親が日本人だったということがあって小さい時にかあさんから色々と教えてもらっていたな。日本、地球はここから天星や魔星の様に近くには無い。だが詳しくは分からないが地球には行来はできるらしい。地球の存在は知られてはいるが地球人がここを殆どは知られていないということだ。
「そうだ!皆さんは『雷の英雄』と『鎖の英雄』を知ってますか?」
…全く知らないので聞いてみるとエヌトマという小国でモンスターの大群が押し寄せ危機的状況になったのだがそこに雷を操る者と鎖を操る者が襲い掛かるモンスター達を一掃しエヌトマを救ったと言われてる。雷を操る者を『雷の英雄』、鎖を操る者を『鎖の英雄』と名付けられたそうだ。
熱烈に語りだすミルはそういうのが好きなんだなと思ったのだが…。
…
……
………
…………
『雷の英雄』って俺じゃん。
エヌトマっていう国も思い出した。平原に囲まれている国の事だ。
『鎖の英雄』も知っている。名前はカヅキ・アキサ。日本人ではあるが色々あってこの世界に迷い混んだのだ。ある国に引き取られたが様々な活躍をし勇者と称されていたが裏切られ今は冒険者をやっているかな。黒髪黒目で髪は癖毛が酷く忍者の様な格好をしている。今頃何やってるか…。
ミルは他にも世界を守護している四霊神に七天龍等の昔の出来事も軽く教えてくれた。
しばらくしてソフィアとミルは聖獣達と共に寝に行った。召喚獣達は元に戻し、外に残ったのは俺とマグマだけだ。
「おぃ、まだ寝ないのか?」
「俺はまだ寝なくても大丈夫だ。」
「…まさかだとは思うが朝まで起きてるつもりか?」
…何でわかる。
「…ま、いいや。」
「…。」
「…ハク、お前かなり強いがどんな鍛練をしてきたんだ?」
鍛練か…。
どんなことしてたかな…。
~~~~~
「え、今なんて?」
数年前、修行の中で俺はアジュリカ、かあさんが言ったことが理解できなかった。
「ん?今からハクとディオン、私の召喚獣達から全力で逃げろよ?」
「いや、無理だと…」
「ハクに同意だよ…」
「逃げるだけでいいんだ。捕まったらペナルティあるから。よし、いくぞ!」
「「ちょっ!?」」
「召喚!」
召喚されたのは双頭蛇龍、神喰狼、 妖精猫、そして…。
「我も来たぞー!!!」
「失礼します、主様。」
二人の少女が現れる。一人はアジュリカと同じ髪と目のツインテール美少女にもう一人は黒髪ロングで短くフリフリの浴衣美少女だ。
「エンとヤミか。どうした?」
「我も混ざりたいのだ!」
「…私は主様の傍にいたいです」
「…エン、お前は駄目だ。ヤミと一緒に私の所にいときなさい」
((ほっ…))
深淵妖液種であるエンと深淵闇龍のヤミが参加すれば本当に一緒で終わってしまう。
「なら我を抱っこしてほしいぞ!」
「なっ…。ずるぃ…」
エンは赤色のスライムになるとかあさんに抱き、その横でヤミが可愛らしく頬を膨らませていた。エンを抱え、空いた手でヤミの頭を撫でる。
「今はハクの修行中だからな、邪魔はしないでくれよ?…さぁ、ハク、ディオン逃げ切れよ?…スタート!!!」
双頭蛇龍、神喰狼、 妖精猫は俺達を捕まえようと襲ってきた。
「「俺達ぁ、ハクを追いかけるぜ!」」
「ディオン、追う」
「にゃーはハクを追いかけるにゃー!!」
…逃げ切れるわけないし?無理だ。しかもこの三体ってリミッターをかけてるとはいえSSSランクのモンスターだし、エンとヤミに関してはEXランクだから参加してくれなくてよかった…。
まあ、一分も掛からない内に捕まっちゃったけど…。
~~~~~
…大変だった。あれが毎日やったからな。
「…どうした?」
「あまり聞かないで欲しいな…」
「そうか、お前も苦労したんだな」
「うん…。」
それから俺とマグマは他愛のない話を夜遅くまで語るのだった…。