弱き者の為に…
感想ありがとうごさいます!
では第二章スタート!
ルスウェム村、その村から離れた難所の森デファト森のさらに奥。夜の暗闇の中、凄まじい速さで何者かが駆け抜けていた者がいた。
走っていたのは一人の女騎士だ。肌は褐色で髪は艶やかな黒でポニーテール。身に付けている灰色の服の上には黒の鎧を身に付けていた。所々泥や傷がある。残念ながら露出度は全くと言っていい。それだけなら褐色女騎士だ、と思ってしまうだろうが下半身は馬だった。
そう、俗に言うと馬人だ。下半身の馬の部分までも鎧を身に纏っている。その背には槍と盾を装備していた。
彼女はモンスターの群れから逃げている。そのモンスターは緑色の狼、森狼に追いかけられていた。モンスターランクはDなのだが、群になるとCランクにもなる。だが群れは森狼だけでない。森狼のリーダー、森狼主も先頭に追いかけていたのだ。大きさは森狼の2倍もある。ランクはBだ。
だが、彼女は槍や盾を手に 持たずただ森狼から逃げていた。それには理由がある。
「うっ…うっ…お、お姉ちゃん、怖いよぉ…」
腕の中には少女が抱えられていた。年齢は10歳にも満たないだろう。彼女は腕の中で泣きじゃくる少女を必死に励ます。
「大丈夫、大丈夫だからね。」
しばらく逃げ続けるが敵が多くなってくる。数は50は越えるだろうか。
本当であればこのまま村に戻りたいのだが、これほどのモンスターを連れていけば村に被害が出てしまう。
彼女は苦渋な表情を見せると走るスピードを一気に加速して走ると隠れるのに調度良い場所を見つけた。
洞穴の中に何もいないことを確認すると少女を中に入ってもらい革のバックから一本の葉っぱを出す。
「これは…?」
「大事に持ってて。これがあればモンスターには襲われないし、見つからない。…もうすぐ朝だ。日が昇ったらこれを持って村に戻りなさい。此処のモンスター達は殆ど夜行性だからね」
「で、でも…」
「…怖い?」
「うん…」
「…わかった、なら私がここに戻ってくるまで大人しくできる?」
「うん!」
女騎士は敵がいないことを確認すると洞穴から出る。そして彼女の魔術を発動した。
「創造、結界!」
女騎士は洞穴に結界を施すとこの場から一番目立つであろう場所へと移動する。
辿り着くとバックから異様な笛を取り出す。見る者によっては芸術だと思う者もいるかもしれない。その笛を吹くのだが、多きな音で音色は人にとっては最悪だ。その音色が辺りに広がると追っていたモンスター達が一斉に女騎士に注目する。
「こっちだ!」
女騎士は声をあげると森の奥へと向かっていた。それに続いてモンスター達もその後に追いかけて行き、闇の中へと消えていった。
次からハク達が登場します!