第4話
そこで、彼女に遠方から取り寄せた珍しい果物などを贈ることにした。取って置きの、ある特殊な配合の香も付けて。
少し考えて、駄目押しに彼女の食事に雫も垂らした。
彼女が体調を崩したのはそれから三日後。后妃崩御が発表されたのは、さらにその十日後のことであった。
私が彼女を姉のように慕っていたことは、すでに周知の事実であった。
なので、私は喪に服すことにした。とやかく言う者もいたが、押し切った。
彼女の喪が明けてからも、我が国には訃報が続いた。流行り病で皇太后と皇帝が亡くなったのだ。
葬儀もそこそこに、私は急ぎ新皇帝として即位した。
途中、異母弟派による新皇帝暗殺未遂があったが、生憎側室や異母弟が関与したという証拠はなかった。困ったものだが、取り敢えず暫くは静かにしているであろう。
最近では朝廷内の綱紀粛正も終わり、国内の混乱も鎮まり始めている。
だが、安定の兆しが見え始めたからだろうか。最近、縁談の誘いが鬱陶しいことこの上ない。
無視しようかとも思ったが、宰相があまりにもしつこく促すので、釣書を適当に眺めることにした。
その中の一枚で手が止まる。
機は熟した。
――自分の望みは、自ら掴みに行く。叶わないなどとは言わせない。
……まあ、彼女には盛大に文句を言われるだろうが……。