表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子  作者: KMY
8/46

第08話 第2節「100万回ごまかされた猫」3

 ハルスは、治に部屋の掃除を任せると、ふらりと部屋から出、城内の廊下を歩いていた。

「なんでだろう・・・、あたしはウィルソン王子が好きなはずなのに・・・。」

ハルスはそう言い、呆然と上を向いていた。

「あら、どうしたの、そんなところで。」

突然前からウィリエの声がし、ハルスは慌ててそちらを見る。

「恋わずらい?」

いきなりそんなことを言われ、ハルスはムカッとする。

「そんなわけないでしょ!」

「顔に書いてあるわよ?」

ハルスの顔は真っ赤であった。

「だっから、あたしはウィルソン王子が好きなの!ウィ・ル・ソ・ン」

「自分に嘘をついているの?それとも一度決めたことを貫きたいの?」

「貫く。あたし、治なんか嫌いなんだもん。」

「治が嫌いなら、ぼかぼか殴らないとねえ、」

と、ウィリエが挑発を含んだ声で言ったのでハルスは激怒した。

「するわよ、殴りもなんでも、死ぬまで!」

そう言い、ハルスはどすどすと歩き、部屋へ戻った。

 部屋では、治が雑巾をかけていた。ハルスは床をふいている治の方へずんずんと行き、怒鳴る。

「棒でも持ってきなさい!」

「何で?」

「いいから、棒を持ってきなさい!」

「わ、わかったよ、」

美少女の剣幕に押され、治は慌てて部屋の中から棒と思しき物をハルスに差し出す。ハルスはそれを掴みさまに、治の頭に力いっぱいぶつける。

 今朝のことで、ハルスも自分を好きではないかと思っていた治にとっては、不意打ちであった。いきなりハルスに棒で殴られたのである。

「あんたなんか、だっきらい!」

そう言い、ハルスは第二の凶刃を振り上げる。治は慌てて横へよけるも、ハルスは棒を横にバットの如く治の脇に力いっぱいぶつける。

「がががぎづ?」

治はそれ以上言うよしもなく、その場に倒れてしまった。ハルスは治を縛り上げて壁に放り投げ、さらに凶刃を振るう。治の体はとんとん痛めつけられ・・・。

 しかしちょうどいいところで棒は折れてしまった。ハルスは二本になった棒をそこに放り投げると、棒の代わりを取りに部屋から出て行きばたんとドアを閉める。それとすれちがいさまにウィリエは部屋に入ってきた。

「こんにちは。」

ウィリエは治の前に立ち、声をかける。しかし治は返事をしない。

「こんにちは。」

ウィリエはしゃがみ、治に再度声をかける。しかし治は返事をしない。

「ねえ、」

とウィリエは、治の額に手を当てる。そして、そっと治の唇に、自らのそれをつける。

「あっ・・・。」

はっとしてウィリエが振り返ると、ドアにはハルスが新しい棍棒を持って立っていた。

「ね、ねえちゃん、」

ハルスは真っ白になっていた。

「やっぱり、これが本当の恋なのね。」

ウィリエはそう言い、立ち上がる。

「なに言ってんの、姉ちゃん。だから、あ、あたしは、ウィルソンが好きなの!」

「まーた、そんな事言っちゃって。」

と、ウィリエはハルスの肩をボンと叩くと、部屋から出て行きさまに、

「もしあたしと治が一緒になれるなら、治に甘い言葉をかけるわよ。あんたはどうなの?」

と、挑発口調で言ったものだからハルスはたまらない。

「待ってよ!」

「なーに?」

「いいかげん、そういうところやめてよ!」

「だーめ。」

と、ウィリエはドアを閉め、部屋から出ていってしまう。足音が少しずつ小さくなっていく。ゆっくり歩いている。揶揄しているのだろう。そう思うと、ハルスはすっかり真っ赤になり、治の前に行きしゃがむ。そうしてハルスはゆっくりと治の額に手を当て、治の意識がない事を確認すると、

「ほ、本命じゃないからね、」

と、ゆっくり、治の唇に自らのそれを合わせる。


 治が起きたのは、その日の深夜であった。

 治は目を覚ましざまに、はっと起き上がる。隣にはハルスが寝ていた。胴体のあちこちがずきずきしてくる。その痛みを感じているうちに、治の中で一つの思考が出た。

 逃げよう。城から脱出しよう。暴力を振るわれるなら、乏しい営みをするほうがましである。治はこっそりベットから抜け出、部屋のドアを静かに開け、閉め、部屋から出て行く。治は城内の廊下を慎重に歩いて行き、やっとのことで下りる階段を見つける。

「待て!」

そう怒鳴られ、治はビクッとして後ろを向く。そこには、こちらに槍を向けた兵士が立っていた。

「君はこの前姫様に召喚された若者ではないか。こんなところでどうした?」

「あ、すいません、ちょっとハルスの許可を得て、散歩に行くところです。」

「散歩?こんな深夜に?」

「はい、俺、夜に散歩すると気持ちが落ち着くんです。」

治がそう言うと、兵士は、

「ウモライ国の工作員がいるかもしれない。そうやって人目に触れないところで、彼らは、」

「ちょっと待ってください、ウモライ国って何ですか?」

「知らないのか?モルデス国と何回も戦争をしている国ではないか。」

「はい?」

治は目を丸くする。兵士は更に続ける。

「モルデス45世様は、あさってにもこちらから攻撃をしかけるとしている。あ、いや、もう1時・・・明日だな。」

「そ、そんな・・・。」

「そして、その御大将として、治を試してみようとおっしゃっている。」

「そ、そんな・・・。」

治はますます逃げたい気持ちが募ってきた。

「明日は早い。早く寝なさい。」

「は、はい・・・。」

「モルデス45世様からのお告げでな、城外に出る事は許さん。」

「は、はい・・・。」

 治はすっかり動揺していた。

次から第3節です。

毎週金曜日を休載にしたかったのですが、

運営している三国志NET KMY Versionで、

そろそろ第5期が始まるんです。

土曜日夜9時リセットの準備のため大忙しです。

・・・でも今鯖落ちしていますので日曜日になるかも・・・

とりあえず、三国志NETサーバーの状態によっては

土曜日も休止になるかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
※この小説は打ち切られています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ