第06話 第2節「100万回ごまかされた猫」1
治は命の危険を感じていた。
先ほどまで治はハルスの不在の折、ハルスの部屋に雑巾をかけていた。その時、治はとんでもない大失態を犯したのである。たんすの上に置いてあった花瓶を落として割ってしまったのである。たんすは治の胸ほどの高さで、花瓶はその上に置かれて赤い花などが飾られていた。たたてさえハルスは自分に毛嫌いをしている態度だったので、これが口実に何をされるかわからない。そんな状況であった。
おまけに、少し前に、ハルスの執事のケンジにささやかれたのである。ハルスは本来ベールマルズ国の王子ウィルソンを召喚し結婚したかったということである。これが故にハルスは怒っていたのかと思うと、治の逃げ腰に拍車をかけたのである。
ハルスのいぬうちにこの城を脱出せんと、広大な城内を治はかけまわっていた。しかし設計図のひとかけらも見ていない広大な城中を走るにも疲れた。立ち止まって息をついている時、目の前に一人の女性が立っているのを感じた。慌てて治は顔を上げる。
「あらぁ、はじめまして。」
そこには見知らぬ女性が立っていた。治はその女性に対し、
「ごめん、」
と、彼女と壁の隙間をゆって逃げ出さんとした。すると走って行く治の後ろから意味不明な言葉の羅列が聞こえ、治が10歩は走ったところで、体が後ろに引っ張られていった。ついには前へ行く力がついにそれに負け、治はずずずと後ろに引っ張られてゆく。
やがてその女性の目の前まで引っ張られた後、急に肩の力が抜け治はどずんと地べたにひじもちをついた。
「失礼なごあいさつねぇ、」
とその女性は治を見下ろす。
「い、今俺を引っ張ったのは、」
治が尋ねる。その女性は平然と答える。
「魔法じゃないの、」
「えっ?」
「だから、魔法が引っ張ったのよ。それくらいわからないの?」
女性は高慢な態度であった。
「お前は一体誰なんだよ、」
治が怒鳴ると、その女性はわけもなく違う話題を持ち出す。
「あんた、この前召喚された人じゃない。なのになんで雑巾なんか、」
「ハルスに召し使いにされてんだよ。」
「おもちゃみたいなやつ。」
「俺はおもちゃ以下に扱われているんだよ。」
「妙な待遇ね。」
とその女性は言う。
「で、それが嫌で城を抜け出そうと?」
治は自分が思っていたこととほとんど同じことを言われ、目を丸くする。
「やっぱりそうなのね。」
「いや、ちょっとだけ違う。」
「何が?」
「俺さ、ハルスのたんすの上の花瓶を割っちゃってさ、」
「えっ?あれはハルスのお気に入りの花瓶じゃないの。」
「えっ?やっぱり・・・。」
「あれを割ったんじゃあ、死んでも済まされないわよ。あんたの遺体袋に入れられて川に流されるわよ。」
「そんな伍子胥みたいにされて・・・」
「ごしぞって誰?」
「だからさ、」
と治は立ち上がる。
「とにかくさ、出口教えてくれよ。」
「出口・・・その前に仲直りをした方がいいわよ。あんたどことん探されてしまいには磔にされるわよ。」
「ひぃ・・・」
「あの女の子ね、きちんとあやかればうまくごまかせるわよ。」
「えっ?」
「そのうまいごまかしかた、教えてあける。」
「あのさ、ちなみにおねえさんの名前、」
「その前に仲直りよ。」
「・・・あ、なんかこまかされたような・・・。」
治は言うが、女性は説明を始める。
一方、ハルスは散歩から帰って、自分の部屋で、自分お気に入りの花瓶が割れている事に気付いた。しかも近くには治に持たせた雑巾、そして治の姿はない、証拠過多である。ハルスは激怒し、その部屋のドアをばっと開ける。
「!」
ドアの向こうには、治が立っていた。
「ねえ、この花瓶はどういうこと?」
と、ハルスは治と出会いさまに襟を引っ張ってドアを閉め、花瓶を人差し指で指し治に怒鳴る。
「ねえ、答えなさいよ、」
とハルスが治の方を振り向く。
「ははは、ちょっとさ、」
と治は笑顔を振りまく。
「・・・・・・!」
ハルスは治の笑顔をまともに見てしまい、慌ててそっぽを向く。
「そ、それでさ、えっと、あの、ど、どうして、」
と、恥ずかしそうな声でおしゃべりを続ける。
「ハルス姫様の嫌いな虫が沢山入っていたのです。」
「そ、そう・・・。」
ハルスはやっぱり頬を染めて、そっぽを向いていた。
「虫の卵も沢山あって、これはもう駄目だと思ったのです、ハルス姫様。」
治がニコニコして言うが、ハルスはそんな治の顔をまともに見れなかった。
「そ、そう・・・、なら、れ、例外で、そ、そ、掃除を、その、つ、続けて・・・。」
とハルスは目を瞑って治に人差し指を立て、指図とは思えない指図をする。
第2節は、
治とハルスの片方がとんでもないことをしてしまい
お互いに弁解をする、
小話の繰り返しにしていきます。はい。
しかし、こんな平和な日々も、
___によって・・・なおちもあるのですが、
とりあえず今はこれを楽しんでください。
そして、一生懸命欠点を探して苦情をください。
待っていますw
できるだけ鋭い苦情をお願いしますw




