第05話 第1節「長いトンネルを抜けると殴られた」5
「まず、この世界は、君が住んでいる世界ではございません。」
「えっ?」
とつぜん目の前の老人にそんな事を言われ、治は目を丸くする。
「冗談がお上手ですね。」
治が言うが、老人は黙って首を横に振る。
「この世界には、日本など存在しない。もちろんアメリカも、フランスも、イギリスも、ロジアも、そして地球もね・・・。」
「これはいい冗談で、」
「冗談などではない。」
老人が剣幕を見せたので、治は慌てて口を閉じる。老人はため息をついてから続ける。
「この世界には、魔法使いが存在します。」
「はい?」
「但し魔法が使えるのは王族だけでございますか。」
「王族だけ・・・なんだ、」
「君がさっき会ったハルス姫様は王族です。」
「はい?」
「王族だから魔法が使えるのです。」
「はい?そんな非科学的な、」
「信じたくない気持ちは分かりますが、これは現実です。」
老人はそれだけ言うと、再度ため息をつき、横を眺める。治も横を眺める。そこには大きな一枚の地図が入った額ふちがかけてあった。
「これはこの世界の地図です。」
「えっ?」
「その地図に書いている文字は、全て地球上には存在しません。」
「はい?」
そう言われ、治はその地図に何歩か近づき、書かれている地名の文字に目を凝らす。それは記号の羅列であった。
「記号・・・ですね?」
「それがこの世界の文字です。」
「はい?」
地図を見上げている治に対し、老人は後ろから説明する。
「この国、トルエンディング王国は、かつてこの地図に描かれている全ての大陸を統一していました。しかしモルデス39世様の暴虐政治のために一斉に多くの反乱が起き、今ではモルデス国は瀕死の小国でございます。」
「・・・・・・。」
「そのうち、モルデス44世様は反乱国の一つベールマルズ国と親交を結びました。」
「・・・・・・。」
「現在即位なされておりますモルデス45世様は現在この多くの勢力が乱立する大陸を統一せんと軍備を整えているのです。」
「・・・・・・。」
「ちなみに・・・、モルデス45世様からあなたへ本を頂きました。」
「本を?俺に?」
治が振り向きさまに、老人、健治は一冊の本を治に差し出す。
「これは兵法の本でございます。」
「俺まで巻き添えかよ。」
「さようでございます。」
「・・・・・・どうやって帰れるんだ?」
「私を見れば分かりましょう。」
「・・・・・・。」
治は重い顔でその本を受け取る。
「あなたのお気持ちは分かりますが・・・。実のところハルス姫様の魔力が実に膨大との噂を聞きまして、私も執事として仕官しました。」
「・・・・・・。」
「しかし、その魔力が余りにも膨大すぎでかえって使えないと分かりました。」
「・・・・・・。」
「なので、私はハルス姫様が魔法を操れるようになる日を待ち望んでおります。」
「・・・・・・。」
治は黙ってぶいとその場を離れた。後ろから老人は声をかける。
「私の正式な名称は、ケンジ・ザルロディエ・ド・ハセカワといいます。」
治は、目の前の部屋のドアを開ける。目の前のベットには一人の少女が座っていた。ハルス。泣いているようであった。治はドアを閉めると、ベットの方へ歩み寄る。
「来ないで!」
ハルスは顔を手で押さえて、さめざめと泣いていた。治は立ち止まる。
「あたしね、ベールマルズ国のウィルソン王子と結婚したかったのに・・、なのに、あんたが来るんだから・・・。」
「・・・・・・少なくとも俺に選ぶ権利はない。」
「そうね、あんたの選択肢はただ一つ、一年後の死。」
「・・・・・・。」
「一年経つまで余生を楽しみなさいね。」
と、ハルスは立ち上がり、背中に隠し持っていた一枚の布切れを治に投げつける。それは治の顔に命中した。顔から取った布をみて、治は言った。
「これ、何だよ?」
「雑巾。」
「へ?」
「ちょうどいいわ、じいがいない間あんたが代わりにこの部屋を掃除するのよ。」
「ち、ちょっと、余生を楽しむって話は、」
「あたしの召し使いになって上等でしょ?ね?」
「はい?」
治は悪寒を覚えた。
前回「次から第2節です」とか言ってましたが、
僕の指はいう事を聞きません^^;
ということで次からが・・・・・・
ここからがつまらないです。
これからつまらなくなるのです。
覚悟してください_______




