第40話 第8節「それだから隠すのだ。次いて恋、フィロストラトス以外」4
ミライ・ベラーミグン・ド・ミルギグは、国王の勅命により、1万の兵を引き連れ、7万の軍勢のいるところめかけで進軍を開始した。しかしその兵士たちの顔は、不安でいっぱいであった。その兵士たちの顔を、ミライは百も承知であった。だからこぞ、戦う。戦いている兵士たちを、今は沈静する時であった。
ミライ将軍は先ず、城の周りへ1万人全員を布陣した。兵を3つに分け、左翼、右翼ぞれぞれ500として近くのやぶにもぐりこませ、残りの9000は主体として城の守りにつかせた。
オサム将軍率いる7万の兵たちは、イファガラの城を視界に入れるところに陣を張り、その場で一夜を過ごした。オサムは、兵士たちよりも早く早朝に起き、イファガラの城を見ていた。
「オサム将軍、おはようございます。」
傍らから一人の男がオサムに話かける。
「おはようございます。」
オサムが返事をする。
「で、君は誰でしたっけ?」
「タナトス・ベラーミグン・ド・フォルダムと申します。」
タナトス将軍は一礼する。
「オサム将軍様、何か策を講じていらっしゃいますか。」
「うん・・・、あの城の周りにはたくさんやぶがあって、伏兵をするにはいい場所だから、誰に横をつかせようか迷っていたんだけと・・・、主体は手薄にして伏兵にたくさんの兵をつきこんだと見た。」
「は、はぁ・・・。」
「そして、伏兵たちに気を取らせて主体が背後から突撃すると思うんたけど、君は?」
「は、はい、なんとも言えません・・・。」
敗戦の経験をしてきた将軍は、次の戦争の時に怖じ気つくところがある。
「怖い?」
オサムに優しく問いかけられ、タナトスは退る。
「いいよ、別に怖からなくでも。」
治はそう言い、それから再び城の方を向いて言った。
「時間になったら召集を。」
「はっ。」
タナトスは一礼し、その場から去った。
オサムは、7万の兵を2つに分けた。自分は4万を率い、3万はタナトスに引かせ、それぞれやぶの中を荒らし、抜け出したところで城門の前で合流するという作法であった。
かくしてその日の朝のうちに、進軍は開始された。作戦は実行された。やぶの中に忍ばせていた伏兵たちはさっそうに二つの隊に壊滅させられた。そして城門の前に、まずオサムの隊が到着した。
その時、城壁の門が急に開いた。中から九千の兵士たちがオサムの軍勢に切ってかかった。隣のやぶばかり見つめていた兵士たちが横から突かれ、城門の近くにいた多くの兵たちが犠牲になった。同時に、同士打ちが起こった。伏兵たちはオサムの軍勢に紛れ、ミライが城門から打って出ると同時に同士打ちを始める事になっていたのである。兵たちの混乱は極限に達した。同じ頃、タナトス将軍のもぐりこんでいたやぶの中でも、大規模な同士打ちが起こっていた。ここではタイミングを早めに命令していた。やぶの中で、敵か味方か分からぬほど多くの兵たちが打ちあった。
この有様を見て、オサムは、ふと横に落ちている自国の旗に気づいた。オサムはその旗を拾い、その場に大きく掲げた。
「この旗の国の者は、直ちに槍尻をこっちへ向けよ!」
オサムが言うと、兵士たちのほとんどが槍尻を治に向けた。
「突進!」
オサムが怒鳴ると、兵士たちはいっせいに城内へなだれ込んだ。
逆転部分が短すぎですいません。




