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王子  作者: KMY
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第29話 第6節「白馬の変態様」5

 治の母、零時静江れいじしずえは、弁護士と共に記者会見をしていた。

「誰にも気づかれず、北朝鮮に拉致された人も多いと思います。治もその一人だと思います。」

静江が泣きながら強い声で言い、記者会見は始まった。

「証言がないという理由で拉致被害者指定する日本政府の度胸・・・、誰にも気づかれずに拉致された可能性が極めて大きいです。」

集まっている記者の一人が、静江に尋ねる。

「なぜ北朝鮮に拉致されたと思われたのですか?」

「治のいなくなった次の日、私の隣に住んでいる韓国国籍の人が引っ越していきました。」

まったくの偶然である。しかもこの人は警察がいくら捜索しても見つからなかった。それもそうである。母は名前を覚えていなかったのだ。しかしこの場でこのようなことを言うことは、なんとなくリアリティーがある。

「治は子供の時から活発な子供でした。」

静江は涙ながらに、話し始めた。

「おじいちゃんが死んだときも、治は泣いていました。友達ともいっぱい遊びました。隠れて岡田さんと付き合っていました。中学校ではよくもでる方でした。かわいいところがあれば、反抗的なところもしばしばありました。そんな治を奪うなんて・・・。」

そう言うなり、静江は手を顔に合わせ、わーっと泣き出した。その背中を、静江の夫、誉帯たかおが撫でる。

 この二人は、日本政府に対し、治を拉致して医者にする訴訟を起こし、敗訴していたのである。

「しかし・・・、また第二審があります。」

母は、涙ながらに続けた。

「絶対・・・、第二審で治を拉致して医者にしてみせます。」

母は強い声でそう言った。


「まさか付き合っていたとはね。」

 学校の教室で、岡田檸檬は五十嵐由美に声をかけられていた。檸檬は気まずそうに答えた。

「う、うん・・・。」

「あら、別にいいんじゃない?」

と、由美は傍らの長谷川玲子をひじで突き、同意を求める。玲子は無言でうなずく。

 この教室は、治がいなくなってから、毎日のようにあった朝の爆発騒ぎが起こらなくなっていたのである。この引き金が治だったからである。

「俺さ・・・、」

前田渉が檸檬に言う。

「大きくなったらさ、一緒に北朝鮮に行って探さないか?」

渉が言うと、檸檬は涙してうなずく。

 檸檬は、治がいなくなった瞬間をみんなに話すことを躊躇していた。

 あの時、檸檬が窓から振り向いて、治の方を見ようとした。治がいない。辺りを見回してもいない。トイレと思って待ってみたが、1時間は軽く過ぎた。不安に思った檸檬は、携帯電話で母に連絡するも未着の返事。その日の夜になっても帰ってこなかったので、母と共に捜索願を警察に出したのである。

 つまり、ほんの5秒で、如何にして治を拉致して視界から消えることができたのか説明できず、言うことを躊躇していた。


 みんなは、治は北朝鮮に拉致されたとばかり思っていた。まさか異世界が存在するなどは思いもせずに―――・・


 治が召喚されてから、1ヶ月が過ぎた。あの後、ギルモとザファロは斬首、そしてタナトスは行方不明、事実上の戦死となった。いずれにしろ、いい結果とは言えない。

 次の戦争の作戦を練るために、モルデス45世を始め10人ほどの将軍が、一室に集まっていた。

「まず、次の戦争はどこにした方がよいか?」

モルデス45世が言うと、治は即手を上げる。

「王様。」

「何だ?」

「今度の戦いで兵士たちはすっかり疲れております。士気を回復してから次の戦いに望むべきかと思います。」

「君たちは?」

モルデス45世が他の将軍に尋ねると、皆言った。

「私も同調します。」

それを聞き、モルデス45世は治に尋ねる。

「次の戦いはいつころがいいか?」

「はい、1週間は必要かと思われますが、個人的には2週間を推奨します。」

「なぜ2週間?」

「兵士たちはハルスの魔法にすっかりおののいています。兵士たちのやる気を取り戻させるのにも時間がかかると思われます。」

「そうか・・・、ならば2週間後に再び議論を始める。解散。」

モルデス45世がそう言うと、将軍たちは一斉に立ち上がり、礼をすると部屋から出て行った。

「待て、治。」

モルデス45世が治を呼び止める。

「何でございましょうか?」

治が尋ねると、モルデス45世は、二人しかいない部屋で言った。

「2週間にはもうひとつ意味があると見た。」

「はい、それは何でしょうか?」

「発展か?」

「おっしゃるとおりでございます。」

治はモルデス45世に一礼した。

「俺の世界で、昔、管仲という人がいました。その人は、まずは与えることと言いました。」

「与える?」

「まずは民の望むものを与え、民の望まぬことを廃します。」

「そうか・・・、しかし2週間では足りないのでは?」

「2週間で攻撃力を培い、そして、一刻も早く、敵国と隣接しない都市を増やす努力が必要なのです。」

「そうか、あい分かった。下がってよい。」

「は、」

と治は一礼して部屋から出る。

「民の望むものを与え、民の望まぬことを廃す・・・。」

モルデス45世は、一人して部屋で、さっき治の言ったことを反復して言う。

次から第7節です。

衝撃の恋の戦争がスタートします。予定です。はい。

ハルスのライバルは・・・、

もうすでにこの小説に登場しています。

さあ、誰でしょう・・・?

まあ、こういうことはみんな興味ないと思いますので。

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