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王子  作者: KMY
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第12話 第3節「思い出と共に去りぬ」4

 ザファロ将軍は、10万の兵を城に残し、10万の騎馬兵を率いて、零時治の陣を潰しにかかった。


「オサム様!」

 兵士が、陣のテントの中で寝ていた治を大声を以って起こす。

「何?」

治が眼をこすりながら起き、テントから出る。

「敵襲でございます!城から多数の兵士が確認されました!」

「そうか・・・、兵士たちはどこに集まっている?」

「あちらでございます、」

と、兵士は治を兵士のたむろしている所に案内する。治はたくさんの兵士の前の、少し高いところに立ち、怒鳴る。

「これから君達を2つに分ける。」

治が言うと、兵士たちはこきれいに、治の目前を境として二つに分かれた。それを確認すると、治は再び怒鳴る。

「右は騎馬に乗りあの兵と戦う。俺が合図したら左右に分かれなさい。再び合図したら敵兵を挟みこむ。そして左は陣払いをする。」

「は、」

と、兵士たちは左右に分かれ、右の5万は馬に乗り槍を整え、左の5万は陣の柵の撤去を開始する。

 激戦だった。しかし、兵士の差もありザファロ将軍の軍隊は治の軍隊を押しのけていった。そして、もうすぐ陣まで迫ろうとしていた。それを認めた治は、陣払いを済ませて待機していた兵士たちに言う。

「弓を構え。」

そう言うと、兵士たちは弓を構える。

「よし、騎馬兵に合図を。」

治が言うと、数人の兵士が銅鑼を鳴らす。それを聞いた騎馬兵達は、右に左に分かれる。そうしてできた前への進路を兵士たちは突き進んだ。

「射よ。」

治が合図をすると、弓兵は一斉に前に対して弓を射た。怯んだ前兵を見て、治は言った。

「銅鑼を。」

そう言うと、数人の兵士が銅鑼を鳴らす。すると左右に退けていた騎馬兵が一気に弓で撹乱された兵士たちを挟みうちにする。

 10万の兵士たちの前方は混乱した。前方は道案内の役も担っていて、道案内がいなければ後方はそれ以上進めない。

「ええい、前方を全滅させるな!続け!」

ザファロ将軍はそう言い、前に騎馬を進める。後方の兵士達も一斉に馬を進める。その様子を見て、治は言った。

「攻撃、やめい。退け!」

そう言うと、モルデス国の兵士達は一気に合流し、山の方へ逃げていった。山の登り道辺りになってから、治は馬を止めた。兵士達も一緒に馬を止める。

 ここは、昨日兵士たちに待ち伏せをさせた、こちらから一番近い場所に当たる。治は言った。

「やぶに隠れる。弓兵は俺の指示に従え。」


 ザファロ将軍の軍勢は、混乱して前に進むことが出来なかった。

「ええい、静まれ!敵はあんなに遠くに逃げた!」

ザファロ将軍が一喝すると、兵士達はまばらにザファロ将軍の方に視線を集める。それを認めたザファロ将軍は、言った。

「進め。」


「君は3、君は1・・・」

 治は、兵士達の一人一人に、ばらばらに番号を付けていった。番号付けが終わると、治は全ての兵士たちに対して言った。

「俺が1から5まで数えるから、俺がさっき言った番号を言ったら弓を一本放つ。」

治はそれだけ言うと、弓兵より更に奥の騎馬兵に対して怒鳴る。

「俺が8まで数えたら一斉に出る。」

「は、」

と、兵士達は言った。


 ザファロ将軍の軍勢は、進軍が混乱の故に遅れ、山の登り道辺りに差しかかった。ザファロ将軍の軍勢は、左右にあるやぶを無視して前方に進んでいった。

「1!」

突然横から声がして、兵士達はびっくりする。と、同時に、まばらな方向から数百本の矢が飛んでくる。油断していた兵士達は矢に刺され倒れる。

「2!」

まだ声がし、兵士達は怯んだ。まばらな、先程とは違う方向から数百本の矢が飛んでくる。数百人の兵士たちがまた、倒れる。

「3!」

兵士達はもう逃げるしかなかった。そして、いろんな方向から矢が飛んできて、兵士達は後ろへ逃げ出そうとする。

「4!」

もう混乱してしまい、逃げることさえ出来ない。どこから矢が飛んでくるかわからない。そうしている間にまだもや矢が飛んでくる。

「5!」

矢が飛ぶ。

「6!7!」

治はそこまで数え、それから一呼吸置いて念をこめて怒鳴る。

「8!」

同時に、騎馬兵が突然出てきて、混乱していた前方は更に混乱する。騎馬兵はついに前方を壊滅させ、後方めかけて進軍する。

 前の心配ばかりする前方とは違い、後方は前ではなく後ろの心配をするものだから、いきなり前から敵が進んできて、後方の前方は混乱した。

「ひけ!」

治が怒鳴ると、騎馬兵は全員引き揚げた。

「ここに陣を作れ。」

 山の入り口付近に、兵士達は陣を作り始めた。


 混乱したザファロ将軍の軍勢は、城への退却を開始した。

 ザファロ将軍は、後ろを見つつ思った。

「モルデス国にいつからあんな策士がいたのだろう・・・、明日はこちらも策を立てて臨まねばならぬだろう―――・・」

ちょっと理屈が分かりにくいとは思うのですが、

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