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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

噂のかっぱ

作者: 星屑様

「ねぇ聞いてよ」

昼休み、私は隣の席の親友、夏美に話かけられた。

「何?」

「いつも通学してる道から入れる森があるじゃん」

「あるね」

「そこの森の少し奥に川があるらしいんだけどさ、私の友達の弟のクラスメイトがその川でかっぱを見たんだって!」

「かっぱ?」

「そう!かっぱ!」

「かっぱなんているはずないでしょ。」

「あ!今フラグ立てたね!みどり!そう言ってる人ほど恐怖体験をするんだよ!みどりが緑のかっぱに攫わられる。なんちってww」

「・・・」

「と、!ということで今日の放課後一緒にその川に行こ!!」

「その誘いこそフラグだと思うけどね。まぁいいよ。」

「やったー!ていうかみどりって【いないよ】って言ってくる割にはなんだかんだでこういうの付き合ってくれるよね!この前の花子さんのときもその前の、」

「うるさい」

「みどり実は好きでしょこういう話」

「行かないよ」

「待ってごめんって、一緒に行こ?ね?」

「はぁ、、。で?今日の放課後って学校帰り?」

「うん!みどり大好き」

「おけ」

そして昼休みが終わり、その後の授業も終わっていき、、

「いいかお前ら。もうすぐ夏休みだからと言って気をぬくなよ。怪我して夏休み楽しめなくなって悲しいのは自分だからな。じゃあ気をつけて帰れよ。」

という先生の話と共にホームルームが終わって放課後が始まった。

「じゃあみどり行こっ!」

「うん」




夏美と共に私は森に足を踏み入れた。

「なんだかんだでこの森に入ったの初めてかも」

夏美が言った。

「私も」

私はそう返事をして中に歩いていった。




この森に入ってから5分ぐらいが経っただろうか

「みどりまだー?」

「知らないよ夏美が少し奥って言ったんでしょってあれ?あそこじゃない?川っぽいのあるよ。」

「えっ!ほんとだー!!」

夏美が川の方へ走って行った。私も続いて夏美を追いかけて行くと

「見てみどり!意外とこの川綺麗だねー!!」

「ほんとにそうだね」

水が透き通っていて川に沈んでいる石がよく見えている

私はしゃがんで川の中に手をいれた。

(気持ちいい、、)

水は冷たく夏によって暑くなっていた私の体にはちょうどよかった。

「夏なのに冷たいね」

夏美も私と同じくしゃがんで川に手を入れて言った。

「木の日陰で冷えてるのかな」

「ていうかかっぱいないね」

辺りを見回した。

「雰囲気はあるけどね」

「確かに」

「かっぱいないのは当たり前だよ。いたとしてもそんなすぐに見つけれるはずない」

「だよね〜、」

「帰ろ」

「うん」

夏美は川から手を出して立ち来た道を戻りはじめた。

私も続いて立ち来た道を戻ろうとした。が、

『ぽちん』

なんとも言えない音が聞こえた。

(ん?)

私は振り向いた。けど後ろはさっきと変わらない光景だ。

「みどりー?どうしたのー?」

夏美は私から離れた距離で叫んだ

「なんでもないよーなんか変な音が聞こえただけー。気のせいかもー。」

私はそう返事をして夏美のほうへ走って向かった。




「なんかただ川が綺麗なだけだったね」

私たちは森をぬけて通学の道を歩いていた。

「そうだね」

「てかみどりさっき変な音が聞こえたとか言ってたよね?その後気のせいって言ってたけど」

「うん。なんか『ぽちん』?みたいな音」

「なにそれーw変な音w」

「それな」

「あ、もうばいばいだね」

私と夏美の家に帰る道は少し違う。だからここの分かれ道で別れるのだ。

「じゃあまた明日ね」

「うんまた明日」

そうして別れ少しの道を歩き家に着いた。

「ただいまー」

「おかえりーご飯できてるからお風呂の前に食べよー」

お母さんがそう言い私はご飯を食べお風呂に入り寝る時間になった。

「はぁー」

私は大きなため息をついた。

(疲れた。)

ふとスクールバッグに目を向けると

「あれ?」

夏美とお揃いのキーホルダーがついてなかった。

家のどこかに落としたと思い家の中を探し回った。

「待って最悪なんだけどない。」

そして私は先ほどの音を思い出した。【ぽちん】。

(もしかしてあの音ってキーホルダーを落とした音、、?)

時計をみると22時を過ぎていた。とてもじゃないけどこの時間帯で探しに行こうとは思えなかった。

(明日探しに行こう。夏美には謝らないと。)

私はそう思い眠りについた。




朝になり支度をし、家を出て夏美と会い謝った。

「ごめん夏美。昨日川行ったじゃん?その時お揃いのキーホルダー落としちゃったかもしれない」

「あ、まじ?全然大丈夫だよ!!ていうか元々は私があの川に行きたいって言ったからだしみどりが悪い訳じゃないよ!今日またあの川行こっ!」

「え、いいの?」

「いいよ!一緒に探そっ!」

「ありがとう夏美」





学校を終えて放課後になった。

「ごめん。ほんっとにごめん!!」

「え、何どうしたの?」

「私今日塾あるの忘れてた。だから一緒に探しに行けない。」

「あ、そうなの?大丈夫だよ。塾頑張ってね」

「ほんとにごめんね。見つからなかったらまた新しいの買い行こ!!」

「うん。ありがと」

そして私たちは別れた。






「この前は夏美がいたからなんとも感じなかったけど一人で来ると結構不気味だな」

そう呟き私は下を向き落ちていないか確認しながらあの川へ向かった。

(見つかるといいな)

夏美とお揃いのものは他にもあるが、あのキーホルダーは夏美と始めて買ったお揃いの物だ。だからこそなんとしても見つけたかった。

そうして川に着いた。

私はしゃがみながら辺りを探し始めた。




「ん?あれって、、」

何か小さい物が落ちていた。私はそこに行って拾い上げた。

「やった、、!見つかった!」

あったのだ。

私は安堵しキーホルダーを胸に抱えてしゃがみ込んだ。

前を見ると水面に自分の顔が写っている。

落ちていた場所は川に落ちるギリギリのところだった。

(見つかったことだし、帰ろ!)

そして立って来た道を戻ろうしたが手が滑ってキーホルダーが地面に落下した。その瞬間、

『ぽちん』

という変な音がした。

(やっぱりキーホルダーを落とした音だったんだ。ちょっと面白い。)

私はそう思い、また立ってキーホルダーを落とした。

『ぽちちゃん』

(え?)

さっきとは違う音がなった。不思議に思いもう一回同じ動作をした。

『ぽちゃちん』

(違う音だ。いや、違う。キーホルダーの音じゃない。いや、キーホルダーの音?べつ、、、?)

私はまた同じ動作をした。








「ぽちゃん」

 「ちん」









(別の音だ。しかもこれ絶対偶然音が混じってないよ。誰かいる、、?)





「ぽちゃん」

その音が聞こえた瞬間私の足首に変な感触があった。

「え?」

私は自分の足首に目を向けると緑色の手が足首を掴んでいるのが目に写った。

【かっぱ】という単語がすぐに私の脳に浮かんだ。私は逃げるために思いっきり地を蹴って走ろうとした。が、

「いった」

手が強く足首を掴んでいて走るどころか転んでしまった。足首から離れない。

「いたい、いだい」

さらに力が強くなっている。私はとにかく必死に逃げるために手を使って足首から手を離すために後ろを向いた。

必然的に視界に写ってしまった。

足首を引っ張っている人を。

そう。

人だ。

かっぱではなかったのだ。

体が水分を吸収しすぎたのかぱんぱんに膨らんでいる。

日が経ちすぎたのか【緑】色のこけが体に張り付いている。





水死体だ。





「ひっ」

私の恐怖はさらに増した。

(このままじゃ川に引きずり込まれる。)

体で必死に抵抗した。

手を蹴り、顔を蹴り、手で殴った。

何をしても足首にから手が離れない。

「助けでぇぇおねがぃたすげでぇぇぇぇぇ」

必死に助けを叫んだ。

足が水に入り始めた。

昨日は涼しく感じた川が今は体が凍りつくように冷たく痛かった。寒い。

「おねがいしますたずげてくださいいいいいだいいだい離しておねがいいだい寒いしにだくないいやだおねがい」

首下が水に入っている

「いやだぁぁぁぁっおねがい」

顎まできている

「だすけでぇぇぇぇえええええええええええええぇぇぅぇえううううぇうえうくくくうぐくうぐぐぐウヴェ工エエェェェ工エエェェェェエエ工えええええええ工ヴェググププププ」





「ぽちゃん」










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