表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

その記憶、ライターの火が揺らぐ様に

初めての物書きです。

俺の名前は「カイ」。

カイ、そうだよ。カイ、で合っている。

他の誰でもない、日本に住んでいる高校生。

その「カイ」である俺は今、自分の家のリビングでソファに座り、右手の親指でライターをつけ、ちいさな炎の揺らぎをじっと見つめている。


見つめているだけなのに、俺の頭の中に色んな映像や音、誰かの声が流れてくる。

頭の中の誰かが俺の事を「カイエン」と呼んだ。


女の声。


「カイエン。大丈夫か。歩けるか?帰ろう。」


その声は「僕」である「カイエン」の身体の具合を心配しているようだが、その声の持ち主の方こそずっと辛そうだ。

痛みとひどい疲れでやっとその声を出しているのがわかる。

頭の中の映像はノイズがかかっているようでハッキリとはしないが、その俺を案じてくれている女は、

服が刃物か獣の爪で引き裂かれたようなボロボロの服に鉄の鎖?でできたような鎧めいたものを着こんでいる。

顔、は泥なのか血が渇いているのか、茶色く汚れている。

右目を怪我しているのか、左目しか開いていない。

髪もボサボサ。

まるで事故にでもあったような、いや熊にでも襲われたようなボロボロの女は、それでも綺麗な顔の作りをしているとわかる。


そう、わかる。

違う、知っている。

そうだよ、俺は知っているんだ。

この女の事を。


カイエンは仰向けに倒れている。

女は片膝をついて、その傷と疲労で辛そうにしながらもカイエンの顔を覗き込み、心配そうに声をかけてくれている。


そこでハッとして我に返ると薄暗いリビングに座っている「俺」に戻ってきた。

右手に握っていたライターの火で指が熱くなってきたので親指を離す。

火が消えて少しの焦げ臭さがリビングを満たしてしまった。換気扇を回さないと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ