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桶屋の罪状  作者: SBT-moya
14/25

「カール・ギブソンがシュートを止めると、日本は国際社会から一歩遠のく。」9



時刻は昼過ぎ。この日は休日で人通りもそこそこ増えてきた。


白人男性は、葛原に締め上げられてすっかり観念していた。

庄司は男性に手錠をかけ、偽装ワゴンに護送した。

簡素な住宅街で目立たないように大男を護送するのは、至難の業だった。


「……すうか? タバコ」


「…… ……」


「……お前さん名前は? どうせ理解できてるわけだろう?日本語」


「…… ……」


「婦警に負けると思ってなかったって顔だな。日本の警察も捨てたもんじゃないだろう」


「…… ……」


「里崎少年を問答無用で手にかけようとした理由は? お前さん、CIAだろ。アメリカはどこまで事態を把握している?」


「…… ……」


「なあ俺達は警察だ。お前もCIAなら味方同士のはずじゃねえか。ここはお互い協力したほうが合理的だと思うがね」


「…… ……全部じゃ」


「何が」


「アメリカ政府は状況を全部把握しちょる。このまま事態を放置しちょったら日本に駐屯している在日アメリカ兵が言葉を失のう可能性があんねん。

 じゃけん政府は、GIDAジーダの元で、omnisが発見した因子は見つけ次第排除することを決定したっちゅうこつや」


白人男性は訛りの強い日本語を喋るが、それが一体どこの訛りなのか庄司には全くわからなかった。


「……流暢な日本語じゃねえか。ちっとも内容が頭に入ってこねえな」


「地方勤務が長うて。おもさげながんす」


「どこの地方だよ……? まあいいや。予告もなしにヒットマンを寄越すなんて、随分アメリカはピィ事案に対して焦ってるんだな?」


「omnisの計算じゃと、おまん等日本警察がピィ事案を解決できる可能性は、低すぎて『わや』じゃ」


「……そりゃどうも。日本との国際関係は無視ってことかい」


「この任務もGIDAジーダが適応されちょる。よって、おまんらにワシは逮捕できん」


「あーGIDAなら知ってるよ。Global Intervention and Defense Act 通称ジーダだろ。うちの国にも『特事法』って似たようなもんがあるよ」


「それの上位互換じゃな。ワシにはピィ事案解決のためにやむを得ず、国際間の『敵』に先制攻撃する権利が認められちょる。ワシからの攻撃は合法的に事後処理される。それが日本でもじゃ」


「……怖い事言うじゃねえか」


「ワシらはおまんら日本人を信用しちょらん。事実、この事案に何日かけちょるんじゃ。もっと、危機感もちなはれ」


「言ってくれるじゃねえか。もう二、三発葛原から貰っとくか?」


「それは、勘弁勘弁、御勘弁」


「……調子のいい野郎だな。」


すると庄司の無線が鳴る。


「ピィマルニーよりマルイチ」


「こちらマルイチ。どうぞ」


「……里崎くんに見つかっちゃいました。こっちに来ます。どうしましょう……」


「……どんくせえなマルニーは。しょうがねえよ説明責任を果たせ。……手短にな。事を大きくするなよ」


「了解」


すると突然白人男性が会話に割り込んできた。


「今何時だ?」


白人男性は機械的な標準語で質問してきた。明らかに先ほどの彼とは空気が違うことが見受けられた。


「ああん?14時……40分か?」


すると、彼の顔が一瞬こわばる。


「NO!! 休日のこの時間帯は事案が発生する可能性があるぞ!! そんな事も調べてないのかお前等は!!」


「??……ピィマルイチよりマルニー」


「マルニーです。どうぞ」


「里崎は視認できてるか?どうぞ」


「目の前です。お?? ……いてて……どうぞ」


「ん? なんだ! 何があった!?」


「……なんでもないです! 無線機の不調かと思ったらただの耳鳴りでした!! 失礼しました!」


「あ、そう。……キヨジ、試しに英語喋ってみろ」


「? はい。…… あれ……なんでしたっけ?」


「英語だよ。なんでもいいから」


「……あれ?……あ……あれ?」


「キヨジ? 落ち着けよ……。じゃああれでいいよ。アップル。アップルって言ってみろ」


「…… ……あれ、……なんでだろう。え、なんだっけ言葉が出てこない。あれ……」


「キヨジ? ……アップルだよ。アップルって、言えよ!」


「…… ……ごめんなさい。…… ……無理……みたいです。」


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