常人は現し世を視る
僕は常人でいることにした
ありのままの姿で
本来在るはずの普通を
在るがままに受け止めた
風に乗る葉の香りを
歪みなく呑み込んだのは
いつぶりだっただろう
真の狂人に挟まれて
狂人に憧れて真似事を続け
彼岸の向こうに居座れば
いつかは僕も人を超えられる
先に死に逝き辿り着いた狂人と
肩を並べて語り合える
そんな幻想を抱いた常人が
今も現し世に遺されている
本来生者は居るべきではないと
少しは自覚できたかもしれない
死人花の種を蒔いて
僕はもう少し常人でいることにした