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ネルハはその明るい笑顔と元気な姿勢で周囲を明るく照らす少女だった。彼女の瞳には冒険への憧れと興奮が輝いており、どんな困難なことも前向きに受け止め、楽しむことができる性格を持っていた。
身体能力こそまだ未熟だが、その情熱と努力家な姿勢が彼女を強く支えていた。
だからこそ、彼女は冒険者になりたかったし目指していた。子供でありながら遊びもせず冒険者が集う酒場にだって通った。彼女にはお目当ての人がいた。
「おーい!エリク」
エリクは彼女の方を振り向き、無愛想な声で答えた。
「聞いとらん」
「聞いているじゃん」
ネルハが笑いながら反論すると、エリクは苦笑いを浮かべて肩をすくめた。ネルハが元気いっぱいに呼びかけてきた。
「エリク!」
「なんだ?」
エリクは少し無理矢理な笑顔を見せながら答えた。この後のネルハのセリフは容易に想像がついた。ネルハの目には真剣な光が宿っていた。
「師匠になって」
エリクはしばらく黙って考え込んだ後、肩をすくめた。
「パルハにでも許可をもらうのだな。」
想像したとおりにのセリフにネルハががくりと肩を落とす。エリクはふざけたように言ったが、その目は優しい笑いを浮かべていた。
その後もネルハは頑張って説得しようとするが、エリクは少し疲れたような表情でため息をついた。