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悲しき逸話

作者: 佐伯ハルク
掲載日:2023/03/26

深い深い海の底

いつもいつも明るく見えうる天の空


いつ落ちたのか、わからぬが

いつの間にやら海の底

天を見上げて過ごして候


いつ堕ちたのか、わからぬが

知らぬ間にやら泳ぐ事さえ忘却し

天を仰ぐが日課になりて候


上で泳ぐ、かの人は

いつか海面まで行くのだろうか

いつか明るい天へ顔を出すのだろうか


泳ぐ誰かを羨むばかり

傷を負ったと言い訳しては

泳ぐ気なんぞは、とうになかりけり


暗い底でうずくまる臆病者に

声をかける者は居らず

誰も気付かず


我、岩と化す


泣き喚いたとて

海の底では

声、音にならず

ガボガボ…と空気の泡が出るばかり


涙の粒なんぞ見えもせず

どんなに泣いたとて

魚さえも同情せず



我、岩と化す


我、海と化す



天に憧れ抱きながら

見えない涙が

誰にも気付かれずに

今宵の海の味を変えてゆく


「今宵の海は少々塩辛くなりたもうたか…」

と、誰かが申したら


海の底の臆病者が

顔を歪ませ僅かに笑い候



愚かしい臆病者

海の底で哀れな魔の者と化する……



あな恐ろしや

悲しき逸話

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