第四十三話
黒い魔力に包まれた敵の姿。明らかに意識はない。
闇系統上位魔法陣・獅子傀儡。そんな不吉な言葉が頭に浮かんだ。
特定条件下のもと、強い魔力を持つものを操る魔法。
魔力の低いものであれば中位魔法に似た効果のものがある。
ではなぜこの魔法が不吉なのか。
獅子傀儡は操ったものの全てを操作する魔法。
全て。
例えば魔力を無理矢理暴走させて爆発を起こしたり。
例えば脳のリミッターを解いて肉体を強制的に動かしたり。
無論自害させたり罪を犯させることも可能だ。
あまりにも倫理観に欠けた魔法。
肉体のリミッターとは行ったが物理的な影響は受ける。仮にだが音速で動け、と操作したとしてもすぐに肉体は壊れるだろう。だが、生きてさえいれば魔力はある。逆に言えば手足がなくても魔力はあるわけで。
結論として怪我人や重病人を戦地に投入し、人間爆弾としたこともあったとか。
今やこの魔法を知っているのはこの魔法に抵抗するためだ。
この魔法、抵抗することは難しくない。
特定条件を満たさないか、抵抗魔法を使えばすぐにこれは瓦解する。
つまり、彼は望んでこの操作を受け入れている。
先程までの流麗な動きからは想像もつかないほど雑な動き。だが踏み込みは地面を割り、短剣を握った手からは血が流れている。
骸人形。
何が彼をここまでさせているのか。忠誠か、使命か、人質か。
それは今はどうでもいい。
私はこの魔法が気に食わない。
だから、破壊する。
展開された魔法は抵抗出来ない。これが、大前提。
それを覆すのは反属性による魔法解体魔法。
火と水。風と地と雷。そして光と闇。
反発する属性をぶつけることで魔法効果を無効化する。
闇には光。
光系統上位魔法・傀儡糸を断つもの。




