第三十九話
とんとん、とつま先で地面を軽く蹴る。
来る!と分かっていても反応が追いつかない。
身を捩って無理矢理な体勢で薄皮一枚切らせて躱す。
浅い傷だが、これが今の私と相手との差だ。
ミコト様となら互角の剣舞を出来るはずなのだが。相手はミコト様よりも上の実力なのだろうか?
それとも普段からミコト様は私を相手に手加減をしていたのか。
なんにせよ、私は出会ってきた誰よりも弱いのではないだろうか?
リズだって私の知らないすごい魔法が使えるだろう。実際、今だってミコト様の治癒をしている。攻撃も治癒も防御も!どんな魔法だって使いこなしてる。
それに比べて私はどうだ。
ミコト様には剣で敵わない。
リズには魔法で敵わない。
中途半端。
それが私だ。
眼の前の敵にも敵わないのではないか。
魔法は今使えない。私に残されたのは既に相手との差が示された剣技しかない。
勝てるの?
生き残れるの?
ここで、死ぬの?
ダメだ。ダメだダメだダメだダメだ。
ダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメ。
矜持を持て。
私が倒れたらどうなる。
侵され蹂躙されるのは民ぞ。土地ぞ。
それを許すな。
敵を、殺せ。
私と相手との差、それは
殺意。




