第二話
コンコン。硬い木製のドアをノックする。程なく入室の許可が出る。
「お父様、失礼いたします」
「スノウか。少し待っていなさい」
スノウの父、グロリアス・ロゼリア辺境伯。国の境界を守護するため本人も屈指の武人であるが、同時に良き為政者でもあった。
書類が一段落したらしく、声を掛けられる。
「スノウ、こちらに座りなさい」
「はい、お父様。失礼いたします」
「呼び立てたのは他でもない。スノウ、『学園』に興味はないか?」
「『学園』ですか?興味はありますが、必須とも思っていません」
「しかしな、レザンとの立ち会いではもう学ぶことはあるまい?ならば新しい場所で、より良い環境で学ぶことも良いのではないか?」
レザン。レザーマン・ロゼリア。先程までスノウと立ち会っていた兄だ。父はスノウの剣がレザーマンを軽く超えていることを看破していた。
「『学園』には魔法を研究する部門もあると聞く。もしかしたら、お前にとっては良き刺激になるであろう」
「・・・・・承知いたしました。『学園』へはいつ?」
「春からだ」
「それでは残りの時間も鍛錬に当てさせていただきます」
事務的な会話だがスノウは『学園』に行くことが決定した。
父、娘を溺愛してます。本当は他にやりたくないけど、強くもなって欲しいので板挟み状態でした。