第三十七話
風を纏った私はその場で回転する。
風もついてくる。剣に、腕に、髪に。
さながら小規模な竜巻のように。
擬似的な『旋風』。
すべての水を散らして、肉薄。
斬撃を放つ。
「ちっ‥‥‥!」
浅い。
刺突、唐竹、横薙ぎ、とまさに縦横無尽に剣を振るう。
敵もさる者、回避したり金属を仕込んだ腕で受けたり水の盾を出して対応する。
使っているのは水だけだ。他の属性は?雷でも使われれば逃げられる算段が付くかもしれないのに。否、その前に闇を使っていた。それも高度な姿隠し。
お互いに残る魔力は少ない。無理をすれば反動がくる。ただでさえ樹上の枝の上。軽く飛び回れる私と違い、あちらはかなり疲弊しているだろう。
「水の4、操血」
服を汚していたはずの血がすべて集まり短剣に集約される。血を操る魔法。まさに捨て身の攻撃か。たしか、他人の血液が取り込まれると体が拒否反応を起こす場合があるとか。実質、あれは毒の剣だ。
風で体を保護。僅かな飛沫はこれで吹き飛ばす。あとはあの剣を解かせて拘束する。
っていうのはあっちも考えるだろう。あちらの現在の目的は逃走に切り替わったはず。私を人質兼盾にしてこの場を離れるのがベストなはず。
! そのための毒の剣。隙を作るならこれほどのものはないだろう。
剣技で負けるつもりは毛頭ないけどっ!
ザン!と足場の枝を切る。私は風に押されて。あちらはそのまま体勢を崩して落下する。いや、剣を構えた。やる気だ。着地。
「『時計じかけの大牢』」
私ごと閉じ込める先生の拘束魔法。剣で勝負したかったけど、これであちらの第一目標である逃走は潰した。
あとは
「さぁ、決着を着けましょうか」
私が剣でこの人に勝つだけだ。




