第三十四話
「ちぃっ!『青天の霹靂!』」
『時計仕掛けの大牢』の中で電光が爆ぜる。
同じ質、つまり自分の魔力で自分は傷つかないと判っていてもここまで思い切りよく魔法を放つとは思わない。
「無駄だっての。時間の縛りは固い。『一定時間その檻を維持し続ける効果』が働くからな。そら!お仲間は捕まったぞ!助け出せなければこのまま連行して尋問になるだけだ!どうする!」
リズの『銀鎖の裁極光』により翼竜は抑えられてるとはいえ、そう長くは保たない。ただでさえミコト様の治癒も同時並行でしてもらっているのだ。魔力の枯渇、精神の疲労、僅かな集中の途切れ。どれかで今の状況は崩れる。
もう一人の先生は光のシンボルスタンプを使い、いくつかの魔法を待機させている。攻撃、防御、補助どれでも、どんな対応でも出来るのだろう。
「先生、先に黒い石を破壊してもよろしいですか?」
これで黒い石が目的ならば相手は動かざるをえないはず。
今の私に出来るのは、ここにいる皆の負担を少しでも軽くすること。私は恐らく、相手側に『脅威』としては認識されていない。良くて敵、悪くておじゃま虫か。
そんなおじゃま虫からの場を乱す一言。私が空を翔べることも先程の戦闘で見せた。
空中にいる翼竜の額にある黒い石を破壊することは可能である。
「先生方、私が黒い石を破壊します。このまま時間だけが過ぎていくのは看過できません」
「うむ、そうだな。お前は空も飛べるようだし、あの様子なら良いだろう」
「はい!」
再び『蒲公英』を使い翼竜の額へ跳ぶ。大上段に構えて、思い切り剣を振り下ろす。
多分、剣と黒い石がぶつかる瞬間。水の矢が私を襲う。
はずだった。
水の矢は恐らく『穿孔弾』系の魔法が使われたのだろうが、先生が待機させていた魔法のほうが強かった。
防御魔法『天使のベール』。幕状の障壁を作る魔法。効果は単純だが、幕の内側を守ることに特化しており、柔軟性も併せ持つ。
結論から言えば。水の矢は弾かれ、私は黒い石を破壊し、もう一人の敵を視認した。




