第二十四話
「我描くは火のシンボル!妖魔焼き尽くす業火となりて安寧をもたらせ!『流火ノ漁火』!」
「剣士隊続け!身体強化!」
「「「「応!」」」」
があん!ぎいん!
と硬質の鈍い音が響く。
まるで金属の棒で岩を叩いたような異音。
「ウソ・・・だろ」
目の前には狼型の妖魔。禍々しい魔力を纏い、辺りを破壊するもの。
『流火ノ漁火』は中級に位置する範囲攻撃魔法。素早い狼型を相手にするには及第の判断と言える。
だが範囲魔法である以上、威力の減退は免れないし岩のようなあの肌を焼くのは難しい。
文字通りの焼け石に水ということだ。
ではどうするか、といえば単純である。
妖魔の属性が分かれば良い。
シンボルの属性は妖魔に対抗するために生み出されたもの。自然と妖魔の属性と同じになる。
妖魔がどんな性質を持っているか、何に働きかけて攻撃してくるか。
そういった部分から妖魔の得意とする属性を判別し、反対の属性をつけば損傷を与えられる。
「っていう授業をやったはずなのですが」
「あくまで基礎知識、ということで頭にあっても身についてる人は少ないようですの」
現在、木の上である。誰も気付かず、目の前の狼型相手に10人程の人数でこの有様。
これが、この国の今代もしくは次代の戦力?
なんとも頭が頭痛で痛い状態だ。
「『水妖陣』」
「『凍れる棺』」
無数の水の手で相手を絡め取る魔法に一定範囲の温度を下げ凍らせる魔法。どちらも中級で先の『流火ノ漁火』と同等だが、詠唱なしで高精度。的確に相手を捕まえた。
更にはチラリとこちらに視線を投げかけてきた。
そして。
「『身体強化・点』」
「『仙水弾』」
一撃一点を強化する特殊な身体強化。そして水の弾丸。
これは初級魔法だ。
「落ち着いて!我々でも冷静に対処すればこの通り妖魔も倒せます!」
「班ごとに戦力を確認して!警戒しながら行きましょう!」
「リズ、あの方達はご存知?」
「はい、水系魔法の大家であるパール家の双子。シンシア様とプリシア様です」
あの集団を統率してみせた。これなら余程のことがなければ何とかなるだろう。
ここから遠くでは既に余程のことが起きているが・・・・。




