第二十話
生きてまーす
頭を下げ続けるミコト様は小さな幼子のようでもあった。こちらの返事を待つようでいて、ひどく怯えてもいる。
すぐに答えを聞きたいけれど、永遠に知らないままでいたい。
そんな葛藤が見て取れた。
「頭をお上げください」
ぴくり、と一瞬だけ身体が揺れて顔を上げた。
その顔は様々な感情が入り混じっているように見えた。
「ロゼリア辺境伯家としてはともかく、私個人としてミコト様とご友人となれることに否はありません。戦争にも反対ですし、この国の現状は先程拝見しましたが・・・・・ひどいもの。打開は必須であると考えます」
「あ、あの!私も!魔法の大家なんて呼ばれて嬉しいですが、この国の衰退には私の一族のせいでもあると思うんです!平和になりすぎた生活魔法や外敵を寄せ付けなかった結界魔法が結果として他の貴族の危機感を鈍らせてしまったかと!・・・・だから、そのぅ、私にもお手伝いさせてください!実家にもこの事は伝えてみますから!」
「ありがとう・・・・存じますの」
ポツリと涙を流したミコト様は笑顔を見せて、また頭を下げた。
そうして、魔法による遠隔連絡を使用して家に現状を伝えたところ『こちらでも最善は尽くす。思う通りにやってみよ』との返事をいただいた。
鍛錬と辺境伯家までの連絡と必要な雑貨の買い出しなどで日付けはすぎ、あっという間に入学式の日がやってきた。




