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第十話
寮の自室には既に私物が運び込まれていた。
ただし、ベッドや棚は備え付けのものがあるし、私物は箱詰めされたままだが。
シャワーも浴びずにベッドに倒れ込む。
立ち会いの間は汗一つ、息すら乱さなかったが、突然疲労感を覚えた。そして今、指一本動かすのさえ億劫なほど疲れている。
楽しかった。
まさしく時間を忘れていた。
ミコト・カグラザカ様。流麗な技術の高さ。
もしあそこに魔法が使われたら?
実戦だったならどうなっていただろうか?
名前からして東方の出身だろうか。
そういえば剣の形も私の剣とはずいぶん違っていた。
他にもミコト様のような方がいるのだろうか。そう考えるとこの学園に来た意味が大きく変わってくる。
今このまま眠ったらあの剣の舞踏の続きが見れるだろうか。
そんな考えが頭をよぎるも、乙女としてシャワーも浴びずに汗だくで寝るのはいかがかものかと気合で起き上がるのだった。