液状病
私、『与国 春』は病気だ
病気の名前は「液状病」
体が水でできる為物を掴むことや受け止める事ができなく
なるらしい。
お医者さんによると原因不明の希病らしい……
でも、すぐ死ぬ訳ではないからそこは救いだと思う。
「市ヶ谷先生!」
「はい、何ですか?」
「市ヶ谷先生」はココロ医院の医師で私の病気の進行を抑えてくれる、先生である。私は体がいつ完全に水になってしまうのか、わからないので心医院に長期入院している。
「市ヶ谷先生、入院室のベットが一つ増えていましたど……
誰か入院するのですか?」
「与国さん、貴方賢いですね。そうです…君と同じ歳の子
が入院します。君と同じ長期入院です。」
「友達になれますか?」
「えぇ、君なら友達になれるでしょう。」
新しくくる子も希病なのかなぁ?
辛くない病気だといいんだけど……
「今から入院なのでここには早く来た先輩として
医院の事教えてあげて下さいね?」
今から?もう夜遅いけど?
カランコロン
風変わりな音が医院内に響き渡った。
「どうやら来たようですね。」
市ヶ谷先生は玄関の方は歩き出した。
「こんばんは、葵くん。これからよろしくお願いしますね」
ドアから出てきたのは色白で私より背が少し小さい男の子だった。紺色の目がとても綺麗だ。
私は彼の元へ走り出した。
「こんばんは!初めまして!
私、与国 春同じ入院仲間仲良くやろうね。」
「……葵 冬真よろしく……」
スタスタ
彼は…冬真君はそれだけを言うと歩いて行った。
「与国さん、気にしないで下さい。彼は少し不安なんです」
「不安……」
「えぇ、誰だって新しい環境で過ごすとなると不安になる
ものです……ましては病気にかかって長期入院……
不安になるのも仕方がないです。与国さん、彼をよろしく
頼みましたよ。」
「はい……あの市ヶ谷先生」
「何ですか?」
「彼はなんの病気で入院するのですか?」
私がそう市ヶ谷先生に質問すると曇った顔で市ヶ谷先生は
答えてくれた。
「……冷病。葵くんは冷病という病気のせいで入院しま
す。」
「市ヶ谷先生『冷病』ってどんな病気ですか?」
長くの間この病院に入院して希病の事を調べたけど、初めて聞いた病気だった。
「冷病は体がとても冷たくなる病気です……
簡単に言うとドライアイス人間、彼に触れると凍傷
になってしまいます。本人はとても暑いそうですが…
それだけではありません……
彼は太陽の光を二度と浴びる事が出来ないのです。」
「日光に?」
まさか、ドライアイスみたいに冷たいという事だから
溶けちゃう!?
「そうです。与国さん
彼の体が氷みたいに冷たいせいか…日光は温かいので
溶けてしまうのです。」
「それじゃ、今まで通りの生活ができないという事ですか」
「そうです。しかし彼も日光に当たらなければ長生きでき
るはずです。」
良かった……
「与国さん…葵くんと仲良くすることはとっても良い事で
す。友達を作ることは大切です。
しかし、貴方は一つ気をつけなきゃいけない事がありま
す。」
一体何だろう。
「彼に直接触れないで下さい。絶対に」
「どうしてですか?」
「さっき言った通り普通の人が触ると凍傷になりますが貴方の場合……《液状病》ですので、貴方の体は水……
彼に触れると凍ってしまいます。
凍った所は二度と治らず……最悪死にます。」
「!」
「僕は進行をゆっくりにするだけで完全に治す事はできません。なので患者さんには少しでも長生きして欲しいのです。無力な医師ですが、患者の事はとても大切に思ってます。そして、患者の意思を大切に思います。与国さんがする事は止めませんが、自分の事は大切にしてくださいね。」
市ヶ谷先生……
「大丈夫ですよ!市ヶ谷先生。
絶対約束守りますから。」
「ふふっ、絶対ですよ。ほらもう夜は遅いですから早く
寝ましょうね。」
「はい!市ヶ谷先生おやすみなさーい。」
「はい、おやすみなさい」
明日は葵くんの所に行って見よう!