天使病
少し、気が向いただけだった。
いつもと違う道を歩きたいただそれだけだった。
「こんなところに病院があったなんて……」
病院の外観は決して古い訳ではない。
だが、新しいとも言えないがとてもオシャレで西洋の作りである。
まるで病院と思わせないように作っているような……
カランコロン
風変わりな音がした方と思ったら、病院のドアが開いた。
その開いたドアから私より少し身長が大きく、メガネをかけ、ロン毛で髪を結んでいる男が出てきた。
……好みではないがかなりの美形だと思う。
「こんにちわ。受診の要件は何でしょうか?」
「受診?私はそんなつもりできた訳では‥…」
予約していた患者と勘違いしているのだろうか?
「いえ、貴方は何かしらの奇病を患ってますね。」
「奇病……」
「はい、簡単に言うと普通の病院では治せ無い病気です。」
心あたりは十分ある。いやと言うほどある。
「とう病院はそれらを重視としております。今まで色々な
患者が受診されました。」
「………治ったんですか?」
「こればかりは個人の気持ちが関わってくるので何とも言
えませんが、治す確率はあります。」
……もし、もし本当に治るのなら……
「……受診します」
「はい、では中にお入りください。」
そして私は風変わりな音を聞きながら病院内へ入った。
診察室?に入ると私はイスに腰をかけた。
今までずっと歩いたいたから足が重い。
「では診察といきます。」
「はい」
「これを書きながら喋って結構ですので書いてもらえませ
んか?……体重など女性に聞くと殴られると聞いたので」
いや、体重聞かれても、そんな事しないのだが?
私は渡されたアンケート用紙に記入しだした。
カリカリ
広い診察室にボールペンの音が響きわたる。
「お名前を教えて下さい。」
「松屋 唯です……」
「唯さんですね。
ではとう医院の受診理由を教えてください。」
「……散歩していたら偶然……」
我ながら、冷めた言い方だと思う。
「そうですか。
はい、では何でもいいので自身の症状を教えてください」
カリ……
私は思わず手を止めてしまった。
「引きませんが?」
私は思った事を口にだしていた。
どこの病院もそうだった。皆んな変な物を見るような目をして……
「引きませんよ。ここは奇病専門の病院。
今まで色々な方が受診して下さいましたから、奇病と言
う物の在り方が分かりましたし、それにどんな奇病だっ
てその人の心を表している……そんな物に対して引く
けありません。」
何となくだがこの人に話しても大丈夫だと思ってしまう自分がいた。
「……症状は…」
私は思い切って着ているパーカーを脱いだ。
「これは……」
私は背中に生えている、翼を見せた。
「一か月前から急生えて来て…それを隠す為パーカー系しか
着れなくなって……」
そう、急に生えて来たのだ。
生えて来た当本人もびっくりである。
「そうですね…これは《天使病》です。」
「天使病?」
名前はかなり可愛いが、一体どんな病気なんだろう。
「天使病はウィルス感染から始まる病気です。
一か月前あたりに熱出しませんでしたか?」
「そういえば、若干微熱がありました。」
でも、体は動くし頭も元気だった。
「そこから始まったんでしょうね。天使病は翼が生えるの
は勿論見て分かりますか、厄介なのが翼の持ち主の栄養
を吸い取り成長し続け、持ち主を殺すそれが天使病です」
「じゃあ!私死んでしまうんですか!?」
そんなの嫌、まだやり残した事あるのに…
「治す方法はあります……それは…」
「えっ」
私は耳を疑った。一つ言うなら私はこの病気を治す事が出来ないと思った。
……どうせ死ぬなら最後まで悔い無く楽しもうそう思った。
私は、その後病院から出て家に帰った。そして生きている間
の事を日記に付ける事にした。