第四話 過去の世界
ぼくは目を覚ました。
ぼくは子供になった。
サラリーマンだったぼくは転生したのだ。
もちろん前世の記憶は持ってる。
だがあんな屑みたいな過去は捨てよう。
やり直すんだ楽しい人生を。
今は姉妹と一緒に田舎の学校に通っている。
綺麗な姉とかわいい妹だ。
毎日人生エンジョイしてやるぜ。
子供っであることに、まだ違和感は多少ある。
でも最近は慣れてきていた。
「今日は手つなぎ鬼をしようよ~」
「そうだね、しよう、しようー」
「うん~」
「じゃあいつものように姉が鬼ね」
最近弟の様子がおかしい。
前はこんなに楽しく遊びには付き合わなかった。
そう、あれは一週間ぐらい前。
弟が突然記憶喪失になったのだ。
それからというもの、弟は私や家族の事をしつこく聞いてくる。
もう答えるのが嫌になるくらいに。
本当に記憶がなくなったのか。
ただ芝居をしているだけじゃないのか、
最初はそう思った。
でも弟は違う、
弟は弟ではない別の何かになってしまった。
「弟よ、手伝え」
最近弟が変わってしまった。
本人は記憶喪失と言っているがあれは完全に別の何かだ。
本人ではない別の何かが入り込んでいるに違いない。
だが急に今までと違う反応をするのも変なので、、、
私はあえていつもどうりの態度をとる。
今の弟の中身は、、、
しかし本当の弟はどこに行ってしまったのだろう。
「妹ちゃんを捕まえますかー」
「…」
病院には何回も連れて行った。
体に異常は無いという。
しかしあのメガネは…
「あはは。毎日楽しいなー……」
「妹ちゃんは今日はどこに隠れているかなー?」
そしてこの無駄な毎日エンジョイしてる感……は何なんだ……
それからもぼくは姉妹たちと毎日の遊びを楽しんでいた。
数日後。
「私、今度アイドルのオーディション受けるの」
「みんな協力してくれない?」
「アイドルなんて妹ちゃんにできるの?」
「うざ…」
「ん?何か言ったー?」
「…」
でも姉から普段どうりにしていてと言われたので
いつもどうりにしなくちゃ。
「できるじゃなくてやるんだよ~」
何とか怒りを抑えて冷静になって言った。
姉の方をちらりと見る。
「そういえば…」
「最近人気のアイドルがいるらしいわね」
「へぇ、どんなかわいい子なの?」
「かわいい子だけど男の子よ」
「なーんだ」
最近少し姉妹の様子がおかしい。
明らかにぼくのことを避けている時がある。
そしてたまに意地悪をしてくる。
「なぜだっ」
「えっ…?」
「いや、なんでもないよ…」
ついつい独り言が出てしまった、
まだあの頃の癖は抜けてないようだ。
ぼくはこのまま楽しい日々は
永遠には続かないのかもと日に日に思うようになっていった。