第二話 アイドルになれちゃった
妹の爆弾発言から数か月後。
「今回は長いな」
今までは妹の提案に乗っても、ここまで長く続くことはなかった。
やれ果物を育てるだの、学校の先生になるだの。
電車の運転士になる、なんて言い出したこともあった。
「あれからみんな頑張ってるな」
お互いを補うように三人は頑張った。
姉は頭を使って、あらゆる手段を使いアイドルになれる道を作る。
「ネットで資料集めて重要な所コピーしといたから、みんな読んで」
情報収集から裏事情までも、やばい情報も姉にかかればお手のものだ。
「なになに…?コネを使ってアイドルになる方法…?」
「ちょっ、なにそれ~」
妹は感覚から、歌やダンス気になるものはすべて試して、
納得がいくまで練習していく。
「ほらここもう一度、はい気合い入れて~」
きちんと終わるまで何度も繰り返す。
なぜか僕もやらされているが。
「ほらそこ、よそ見しない~」
「なんで僕が…」
僕は姉妹の面倒を見ながらも悪い点や気になった点を指摘して、
意見を交えていく。
「ここはこうすればいいんじゃない?」
「弟よ、ありがとう」
「妹のためにも頑張らなきゃね」
みんななんでこんなにも本気なのだろう…
やろうとしたけどダメだった……
今までと違い、
だんだんと本気度が日々増していくのを目に見えて感じていた。
「今日は終わり~明日も頑張ろうね~」
「どうして今回はそんなに頑張れるんだ?」
「私にはアイドルになる夢があるからね」
「いつもそう言ってるじゃん…」
「そうだっけ~?」
毎日の特訓、三人で互いの協力もあり、だいぶ物になってきた。
数か月後。
「ついにこの日が来たわね」
「三人でオーディションを受けるのよ」
ついでに姉も受けることになっている。
僕もなぜか受けることになった。
妹の真剣な顔、姉のどや顔、僕のしょうゆ顔。
そしてついに姉妹がアイドルになる日がやってくる。