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精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
フタガの岩峰のハーピー

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第91話.襲われる蟲人

 霧の外から、戦いの気配がする。


 まだ遠いが、地上には馬車や荷車が見え、恐らくは隊商だろう。そして、上空にはハーピーの群れが見える。

 残念だけど、隊商はもうダメかもしれない。馬は倒され地上からも、大きな抵抗は見えない。

 上空ではハーピーの群れが3つの塊に分かれ、広がったり集まったりを繰り返している。


「空で戦ってるなら、あれは蟲人族か?」


『そうね、蟲人族みたいね。シナジー、そうでしょ』


「この谷を警護している蟲人よ。岩峰を離れて、これだけのハーピーが出てくるのは珍しい事だわ」


 霧で姿を作っているシナジーだが、顔も渋い表情を作ってみせる。


『カショウ、どうするの?』


「もちろん、助けるさ。ルーク達、任せたぞ!」


 それだけの言葉で、ウィスプ達は上空のハーピー達へと向かう。ルークが直線的にハーピー目掛けて進み、メーンとカンテはハーピーのさらに上へと目掛けて高度を上げる。


 もちろん、俺達もじっとはしていない。俺が走り出すと、シナジーの姿が消える。俺の周りに漂う魔力がシナジーによって制御され、一気に広がる。今までは10mが制御の限界だったが、今は50mくらいはある。

 マジックソードやマジックシールドの行動範囲も広がり、上空のハーピー達相手にも攻撃が届くだろう。ダークの操るマジックソードが先行して前を進む。


 そして俺の右を走るのは、ホーソン。学者肌のドワーフといっても一通りの武器は使えるらしく、手には弓を持っている。しかし矢であっり矢筒は持っておらず、何かを隠している。


 やや遅れて右を走るのソースイは慌てている。俺の攻撃範囲が広がり、ホーソンも弓を出して遠距離攻撃の構えを見せる。和弓も持ってはいるが、矢の数に限りがあるし、常に両手を使い盾を持つことは出来なくなる。


「ソースイ殿、これを使って下さい」


 ホーソンが投げたのは、投石用のスリング。確かにハンソがいれば弾の心配はないし、ソースイ以上にハンソを理解出来る者はいない。

 ハンソと2人で石を投げる姿を想像し少し躊躇いを見せるが、それしか方法がない。


「感謝する」


 短く言葉を発して覚悟を決める。


「ジェネラルが居るよ、3体!」


 ナレッジの言葉に緊張感が走る。100体程のハーピーの群れで、ジェネラルが3体いる。ゴブリンの時は考えられなかった上位種の多さに驚く。それと同時に、ハーピーは想像した以上に危険かもしれない。


 上空でハーピー達は、ウィスプ達や地上に現れた俺達に気付いているが、これといって意に介さず蟲人を襲い続け執着を見せる。確かに襲われている隊商や旅人を逃がす役目というのは適任かもしれない。


 そして襲われている蟲人族は、勝手な想像でカブトムシやクワガタムシを想像していたが、トンボだった。

 背中に昆虫のような翅があり、高速で動く事で空に浮かんでいる。顔は目の部分が大きな昆虫の目をし全体的に黒がかった色をしているが、それ以外はヒト族と大きく変わらない。

 それだけで何故トンボの蟲人だと分かるかというと、ホバリングしているからだ。空中で止まった姿勢が出来る昆虫は少なかったと思う。

 そして両手に大きな鎌を持ち、なぎ払ったり回転させ、ハーピーの接近を許さない。


 ルークがハーピー達の群れに攻撃を始める。得意ではないというだけで、それなりに広範囲攻撃は出来、何体かのハーピーがサンダーボルトを浴び地上へと落ちて行く。


 そこで初めて半数のハーピーがルークに向きを変えて、襲いかかってくる。これはハーピーの蟲人族に対する執着なのか、少し異常にも感じる。

 メーンやカンテの方も同様で、攻撃を仕掛けるまでハーピー達は襲ってこなかったが、これで防戦一方だった蟲人族も、少し余裕がでるはず。


 ウィスプ達が俺達の射程距離内へと、ハーピー達を誘い込む。

 ダークの操作するマジックソードは行動範囲が広がり、空を駆けるように自由に動き回り、ウィスプ達との連携を確認している。


 ホーソンは、矢を持たない状態で弓を引き、魔法を唱えている。


「ストーンアロー」


 魔法で射出されるだけでなく、そこに弓の物理的力を加わる事により、ストーンアローはより威力が増し遠くにまで届く。

 学者肌のドワーフだからこそ出来る魔法と武器の組合せで、他のドワーフでは真似出来ない芸当。


 そしてスリングを持ったソースイは、ハンソに指示して、石を出させている。想像した以上にスリングの射程距離は長く、普通の弓矢と同等くらいは石を飛ばせている。オニ族の体型や膂力との相性も良いみたいだ。


 “馬車の後ろ、危険”

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